『美坂家の秘め事』68

「栞ー、時間なくなるんだけど」

「なんかムードないなぁ」

 ずっと待たされていた拓弥が痺れを切らして声を掛けた。

 向かい合いスカートに手を入れたままで立ち尽くす二人は顔を見合わせた。

 不満そうな栞に拓弥が自信たっぷりに微笑んだ。

「ムード?問題ない」

 ニッと笑うと栞の頬にチュッとキスをする。

 チュッ、チュッと唇を移動させながら耳たぶを口に含んだ。

「んっ…」

 クチュクチュと濡れた音が耳の中で響いた。

 見計らったように拓弥の右手が触れるか触れないかの位置で栞の太ももを撫でる。

「足…開いて」

 耳たぶを口に含んだまま拓弥が呟く。

 栞は肩幅ほど足を開いた。

 拓弥の指が栞の太ももの付け根を往復する。

 指先が掠めるように肌に触れる度に栞の口から短く吐息が漏れた。

「いい子だ。まだ足りない?」

「な…にが?」

「ムード」

「足り…てる」

 照れくさそうに返事をする栞を見て拓弥はクスッと笑った。

 拓弥は唇を首筋に移動させてチュッチュッとキスを繰り返しながら左手を服の下へと潜り込ませた。


 ブラの上から優しく撫でる。

 栞は拓弥の首に手を回すと自分から舌を伸ばしてキスをした。


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