『美坂家の秘め事』65

「すごい感じやすい体のくせに今までイッたことも潮吹いた事もなかったんだよな。俺が初めてだったんだろ?」

「…も…いぃ…やめて」

 栞は耳を塞いでしまいたかった。

 拓弥の言葉の一つ一つがあの日の記憶を鮮明に蘇らせていく。

「それと…耳舐めると中が締まるって知ってたか?ほら…こうやって…ピチャ…」

「んぅっ!」

 拓弥が栞の耳を舐め上げる。

 栞は思わず出てしまった喘ぎ声に俯いた。

(これ以上は無理…もう…)

「お互い恋人が出来るまでの間だけって事にすればいいだろ?栞に彼氏が出来たらそこで止めていいからさ」

 徐々に追い詰められていく感じ。

 拓弥は栞の様子を伺いながら言葉を続けていく。

「その辺の男と適当にやるくらいなら俺でもいいんじゃねぇの?俺だったら栞を大事にしてるし傷つくようなことしないだろ?」

「拓兄…私…」

「俺は…可愛い栞が乱れる姿をもっと見てみたい。俺の手で淫らになってく栞が見たい」

「で、でも…私…」

「もっと気持ちいいこと俺としたいだろ?ん?」

 あの日…初めて兄妹の線を越えたあの時からこうなる事は分かっていた。

 気付かないフリをしていただけで栞は拓弥の体を求めていた。

 もう誤魔化すことなんて出来なかった。

「…うん…いいよ…」 

「やっぱり嫌だとかはナシな?」

「うん…分かってる」

 拓弥は栞の手首から手を離すと指を絡めるようにして手を繋いだ。

 車に押し付けたまま両頬にキスをすると最後に唇にキスをした。


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