『美坂家の秘め事』27
「どうしたんだよ」
あまりに泣きじゃくる栞を拓弥は優しく抱きしめた。
拓弥の腕の中で子供のように震えている。
「何も泣くことないだろう?」
背中をトントンと叩いてあやしながら優しく語り掛ける。
「だ、だってぇ…」
しゃくり上げる栞が言葉を続ける。
「お漏らし…しちゃ…っ」
最後まで言葉にならずにまた泣き出した。
拓弥の胸には栞の涙が次から次へと零れ落ちる。
「バーカ、あれはお漏らしじゃないよ」
拓弥の言葉に栞が顔を上げた。
「潮吹いたの初めてだったんだろ?」
「あれが…潮?」
「そっ、気持ちよかったろ?」
「分かんない…」
(あれが潮を吹くって事なんだ…)
てっきり失禁したと思っていた栞はホッと胸を撫で下ろした。
拓弥とのセックスは初めてのことばかりだ。
今までのはまるで子供のお遊戯のように幼稚だったんだと気付かされた。
"本当のセックス教えてやるよ"
この時ようやく拓弥の言葉を理解出来た。
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