『美坂家の秘め事』28

「分かんないってお前なぁ…」

 拓弥はガッカリした表情を浮かべた。

「でも…今までとは全然違う」

 気持ちよくないわけではなかった。

 あまりにも強い快感に体も頭もついていかないだけだった。

「今までの男がよっぽど下手だったんだろ」

 拓弥はバカにしたように笑った。

(うん…確かにそうかもしれない)

 栞は返事はしなかったけれどクスッと笑った。

「次は一緒に気持ちよくなろうな」

 拓弥は手を伸ばして銀色の包みを手に取った。

 指で摘まんだまま口で封を開けると中身を取り出した。

 手際よく薄いゴムを被せていく。

 拓弥の肉棒は薄いゴムに包まれてよりそのシルエットがはっきりとしたような気がした。

「そんな顔すんなよ」

 拓弥が栞の鼻を摘まんで左右に揺らしながら笑った。

(やだな…どんな顔してたんだろう)

 摘ままれた鼻をさすりながら栞はぎこちなく笑顔を返した。

「挿れるよ」

 足を膝を立てて開かされてその間に拓弥がいる。

 栞は自然と頭を上げて今まさに結合しようとしている部分を覗き込んだ。

「アッ…」

 先端が入り口に触れただけで栞は思わず声を上げた。

(拓兄のが入ってくるんだ…)

 栞は目を閉じてその時を待った。


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