『美坂家の秘め事』15
静かな部屋にクチュ、クチュと音がする。
栞は拓弥の首に手を回して甘えるようにしがみ付きながら拓弥の舌を受け入れた。
強く吸われたかと思うとこれ以上ないくらい優しく歯裏を舐められる。
大きく口を開いた栞の口角からはどちらとも分からない唾液が顎を伝う。
「はぁっ…ちゅく…」
それは今まで経験もした事のない長く深いキスだった。
拓弥は栞の上着の裾から中に手を入れると背中に手を回した。
滑らかな肌を撫でながら優しく栞の体を抱き寄せる。
(あっ…拓兄もぅ…)
移動すると尻に硬い感触を感じた。
拓兄のものはすっかり張りつめている。
栞の舌の動きが激しさを増した。
舌を絡めながら拓弥の手はまるで羽根のように柔らかいタッチで栞の背中や脇腹に触れた。
「ふぅ…んっ」
栞はその弱い刺激に体を震わせた。
(もっとちゃんと触ってほしいのに…)
触って欲しい場所になかなか触れてもらえずに栞は体をくねらせた。
それを知ってか知らずか拓弥は力を抜いた指先で栞の背骨を撫であげる
「んぁっ…やぁっん!」
堪らず栞が背中を反らせるとちゅぷっと音がして二人の唇が離れた。
二人の唇を濃くなった唾液が繋ぐ。
「拓兄ぃ…もぅっ…」
快感で潤んだ瞳で拓兄を見上げる。
拓弥もまた熱っぽい瞳で栞を見つめ返す。
「ちゃんと触ってってば」
「可愛いおねだりの仕方を教わらなかったのか?」
恋人同士じゃないせいかこんな時まで普段と変わらない言葉が出る。
拓弥は呆れたように笑うと栞の耳元でボソボソと囁いた。
「やだっ」
「やじゃない。栞、言ってごらん」
今、耳元で囁いたばかりの言葉が頭の中でこだまする。
(自分から求める積極的なエッチの経験はあるけどこれは…)
口にするのを躊躇してしまう。
けれど栞はまるで魔法がかかってしまったように口を開いた。
「お兄ちゃん…し、栞のおっぱい触って…」
栞は指先まで真っ赤に染めていた。
「うわぁっ…やっべぇ…そこらのAVより萌える〜マジで近親相姦みてぇ」
「ちょっ…!拓兄が言えって言ったんでしょ!それにこれは立派な近親相姦だと思うんだけど?」
恥ずかしい事を言わされて眦に涙を浮かべながら訴える。
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