『美坂家の秘め事』10

 二人は抱き合いながら何度も唇を合わせた。

 拓弥の舌が栞の唇をなぞると何の躊躇もなく唇を開いてするりと入ってくる舌を受け入れた。

 チュッ、クチュ−

 二人の舌を絡める音がリビングに響きその音に触発されたように二人夢中で互いの舌を貪り合った。

「っ……はぁ」

 唇が腫れぼったくなるほどキスを交わした二人がようやく唇を離す。

 それでも拓弥はまだ離れがたいとでもいうように栞の唇に何度も吸い付いてようやく離れた。

 息の上がった二人はお互いの瞳を見つめ合ったまま沈黙した。

 ここから先へ進んだら…

 栞は残っていた理性で拓弥の身体から離れようと拓弥の胸を腕で押した。

「栞?」

「拓兄、やっぱりマズイよ」

「どうして」

「兄妹だよ?こんなのダメ」

 栞は揺れ動く自分に言い聞かせるように言った。

「俺は別に栞と結婚したい! とかそんな風には思ってないけど?」

「いや…思ってたら困るけど」

 栞は少し顔をしかめて答えた。

「じゃあいいじゃん。お互いに気持ちよくなってそれでおしまい!」

 拓弥明るい声で何でもない事のように言いきった。

 だが栞はなかなか割り切れずに下を向いた。

 今までだって恋愛感情のないただのエッチはした事はあるけれど、それは友人だったりしたわけで…。

「ってかね、ここで同意してくれないと無理矢理犯すよ?」

 拓弥の瞳がギラッと光った。

「拓兄?」

「俺、もう限界だから」

 拓弥は栞の腕を取ると自分の股間の上に押し付けた。

 栞はズボンの上からでも分かる膨らみを感じてカァッと赤くなった。


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