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▼午前一時が限度

「くっくっく……夜闇が迫った。ここからは狩りの時間じゃよ、月永くん」
「わはははは☆ それもしかしてレイの真似か!? 似てないぞ名前っ!」
「ええ? 嘘、めっちゃ似てたし」
「顔が違う」
「☆顔面偏差値――――!」

時刻は十二時を過ぎた頃あい。おそらくルカたんは寝静まっているだろう時間帯、レオと私は二人で一つのベッドの中に居た。と書くとすごく不穏な感じだが、会話からお察しの通り危ないことは何一つない。

そう、始まるのだ……大乱闘の時間がな!

「おれピカチュウにする!」
「カラーリング変えたら?」
「色変わるのかっ!?」
「ほれ、ここ押してみ」

レオの持っているコントローラーに触れ、ボタンを押す。すると、テレビ画面でかわいらしいスタンダードな姿を見せてくれていたピカチュウが、可愛い帽子をかぶって再登場。

レオはきらきらと目を輝かせて夢中でボタンを押しまくっている。帽子にゴーグル、ハチマキと、様々な姿を見せるかわいらしさには、さすがのレオも撃沈したらしい。

「んん〜っ、かわいいぞ! とんがり帽子!」
「私はカービィにする」
「おおっ!? それ覚えてるぞ! 『Knights』みたいな名前のあいつの! 仮面とれたときのやつだ〜!」
「メタナイトね、メタナイト。まぁ、メタナイトもちゃんと別枠にいるけど」

深夜に幼馴染とやるゲーム、中々に楽しいものだ。二人で掛布団を被りながら、ゴロゴロと転がりながらテレビに向かう。これぞ夏休みの典型である。……泉に知られたら不健康だって説教食らいそうだけど。

「ていうかレオ、よく覚えてたねー? メタナイトとか」
「小学生のとき名前がカービィにハマってただろ? それで覚えてた!」
「人の名前を覚えられないのに、ゲームのキャラは覚えてるんだから不思議だよねぇ」

まあ、私も身に覚えがあるので深くは追及しませんが。
2人とも最初は寝転がりながらプレイした。画面で飛んだり跳ねたりする可愛い生き物2匹。これで殴り合うのだからアレだけど。

「うおお!? 名前っ、メテオ攻撃するなー!」
「はいレオ一機死んだ〜」
「おれのピカチュウ〜っ! くっそ、カービィも場外にしてやるっ!」
「ああっアイテムとられた!」
「わははははは☆ 一斉掃射だ!」
「ちょっ、銃弾に押し出されてくからやめ、ああああっ!」

ぽよ〜っ! という可愛くも悲痛な叫び声と共に私のカービィは場外へドロップアウト。れ、レオめなんて非道な……!

とこのような感じで盛り上がり、しまいには二人とも何故か起き上がり、ベッドの上に座っていた。私たちが押し合っても全く画面上に影響はないのに、なぜか身を寄せ合って押し合いへし合いみたいな状態になっているので不思議だ。

「ああああまた負けた! おれの馬鹿っ、天才だけど馬鹿!」
「ふふーん、ゲームでは私の方が天才だね」
「悔しいからもうやんないっ!」
「あはは、レオまたそれ〜? ってうわっ!」

思いっきりレオが抱き着いてきて、そのままベッドになだれ込む。コントローラーを私の枕の上に置いて、ぎゅうぎゅうと抱きしめられる。

「眠いの?」
「まだ寝ない……」
「ちょっと、私に乗っかったまま寝ないでよ?」
「寝ないってばぁ……負けっぱなしじゃ、いやなんだよぉぉ……」

妙なところでレオは負けず嫌いというか何というか。けれど眠気には勝てないのか、レオは私の上に乗っかったままうつらうつらとしている。

「はいはい、じゃあ続きはまた明日ねー」
「うん……おやすみ、なまえ……」

ごろん、とレオが転がって私の隣に着地。布団をもぞもぞと引き寄せて、自分の枕(とレオが勝手に決めているおさかな型の平たいぬいぐるみ)に頭を乗っけた。今日は私の部屋で寝るらしい。

なんだかその様子は子供みたいで、可愛いって思ってしまう。ふに、とほっぺをつついたら、レオはうっすらと目を開けた。邪魔するなー、と言いたそうに綺麗な緑色を細めるので、ごめんごめんと微笑む。

「おやすみ、レオ」
「んー……」

もぞ、とレオが布団から手を出し、私の頬を軽く撫でた。そのまま、最後の意識を振り絞ったように、のろまなキスを落としてきた。

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