17.お花見



(※実は「21.お弁当」の後日談です)



「佐伯くん、佐伯くん」
「何だよ?」
「はい、あーんv」
「…………」
「あーんv」
「…………」
「佐伯くーん?」
「………………」
「………………?」
「ああ、もうっ!」
「わっ」
「ヤメロ! 恥かしい! バカップルか、俺たちは!」
「……そんなに照れなくてもいいのに」
「照れるよ、照れるだろ、照れなきゃおかしいよ、だって、こんなの……見ろよ、二人っきりならいざ知らず、公園で弁当広げて『はい、あーんv』って、そんなの恥かしいに決まってるだろ!」
「人前じゃなかったらいいの?」
「…………う」
「二人きりなら、いいの?」
「……いや、二人きりなら、二人きりでまた別の問題があるけど…………こう、我慢とか、自制心が危なくなるかもっていう…………」
「佐伯くん……」
「と、とにかく! 恥かしいから、そういうのは無し。ほら、お前だってイヤだろ? バカップルっぽいのはさ」
「別にイヤじゃないよ?」
「……そうだな、聞いた俺が悪かったな。おまえはそういうヤツだった」
「バカップルでも、構わないのになあ……(しゅん)」
「(……う)」
「…………」
「……その、俺だって、さ」
「?」
「人の目とか、気にしすぎるの、バカみたいだって思う時もあるんだぞ? だって、こういうのは結局俺たち二人の問題なんだから……」
「佐伯くん……」
「だから、その、つまり……俺が訊きたいのは、おまえは恥かしくないのかってこと。例えばの話、俺がそういうバカみたいなことをしたりしたら、おまえが愛想尽かすんじゃないかって……」
「もう、バカだなあ」
「はっ!? バ、バカって何だよ!」
「わたしは気にしないって、さっきから言ってるのに。わたし、佐伯くんとなら、バカップルっぽくても全然平気なんだよ?」
「あかり……」

「おー、バカップル発見! って、何だ、おまえらか」

「○×△□☆…………!!!」
「あっ、ハリーだ。オッス!」
「オッス」
「ハリーもお花見? よかったら、一緒しない?」
「はあ!?」
「いや、俺は今からバイト」
「そうなんだ。残念」
「また今度な」
「うん、また今度ね」
「佐伯も、邪魔したな?」
「ああ本当にな……あ、いや! 本当、残念だなあ! 一緒にお花見出来なくて!」
「何いきなり態度変えてんだよ。気色悪ぃなあ」
「……針谷、ちょっと面貸せ」
「は?」
「ちょっとケンカはダメだよ、二人とも」
「ケンカじゃない。話し合いだ」
「お、おい、佐伯……何だよ急に?!」

(こそっ)
「……針谷、おまえは空気が読めるヤツだと思ってたんだけど」
「悪ぃ。ついからかいたくなった。つーか、だから、バイト行くって辞退してやったんだろ! それでいいじゃねーか」
「だったら最初っから声かけてくんな。見て見ぬフリしてスルーしろよ」
「いやー、だってよぉ」
「何だよ? つか、笑うな」
「いやだって、おまえらすっげーバカップルっぽかったぜ? アレ見たらからかわずにいられないって」
「バカップルって言うな! 気にしてんだよ、こっちは!」
「へえ、自覚はあるんだな。お熱いことで」
「ウルサイ!」
「まあ落ち着けって。それより、いいのか? アイツ放っておいて。なんか、春の陽気に当てられたバカに声かけられてるみてぇだぞ」
「は? ……あ、の、バカ! キャッチとナンパと丘サーファーはスルーしろって、あれだけ言っておいたのに……!」
「ま、頑張れよー?」
「おまえが言うな!」



2011.03.25
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花よりだんごどころか、桜完全ログアウトですみません。何より佐伯くんが怒りすぎててごめんなさい。
このあと、佐伯くんがナンパ撃退→チョップ、注意、お小言、「でも佐伯くんが来てくれてよかったv」「デイジー……///」みたいな展開になるんじゃないかなって思います。バカップル万歳。

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