16.年越ソバ



*卒業後、一緒に年越ソバ中の20歳な瑛主。


「そういえば……」
「何だよ」
「何で年越ソバって食べるんだっけ?」
「知らないのか」
「うーん、どこかで聞いたことはある気はするんだけど……」
「ふーん、聞いたことはある訳だ」
「あっ、何よ、そのバカにした笑い方! じゃあ、瑛くんは分かるの?」
「俺は知ってる。こんなの常識だろ」
「常識……分かった、当てて見せるから正解言わないで!」
「はいはい」
「………………」
「………………」
「……………………」
「………………随分、考えるんだな」
「待っててってば! ええと……」
「…………………」
「………………ソバとかけまして」
「うん?」
「ずっと末永くソバにいるため、とか?」
「何で疑問形なんだ」
「ずっとソバにいれたらいいねv」
「…………ふうん?」
(パコッ)(チョップの音)
「痛っ!」
「残念。不正解。正しくは“細く長く達者に暮らせるように”ソバを食べるんだ」
「……よく知ってるね、瑛くん」
「だから常識だろ……」
「流石おじいちゃんっ子……」
「そういうのは関係ないだろ」
「そうかなあ……」
「…………」
「…………あ、そろそろ行く年来る年始りそう!」
「……なあ」
「除夜の鐘、一回で良いから直接聞いてみたいんだよね……ん? なあに?」
「さっきの“ずっとそばに”っていうのさ」
「う、うん?」
「はずれだけど、ちょっといいな?」
「……うん、そうだね」
「はずれだけどな?」
「うん。来年も一緒にいれたらいいね」
「うん。来年も、そのずっと先も」
「うん、ずっと」
「来年もよろしくな」
「うん。よろしくね」


2010.12.31
良いお年を!
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