18.弱点



「俺に弱点なんかない」
「またまた〜」
「ウルサイ。ないって言ったらないんだ」
「そうかなあ? じゃあ、挙げてみるよ?」
「よし、やってみろ」
「じゃあ、まずはダンス。わたし、何回も足を踏まれたんだから」
「あっあれは、弱点というか苦手だろ? 大体、あれはおまえも悪い。本当に上手なヤツはエスコートも上手なんだから、ちゃんとサポート出来ないおまえも……って、分かったよ! そんな目で見んな!」
「あとはー、歌?」
「それも弱点ってゆーか、苦手項目。いいんだよ別に。俺、人前じゃ絶対に歌わないから」
「えー聴きたいなあ瑛くんの歌」
「かわいく言ったって無駄だ」
「うーん、意外と恐がりなとこ?」
「それもどっちかっていうと苦手項目」
「寒がりとか」
「そんなの誰だって苦手だろ」
「うーん……」
「ネタ切れか」
「うー……」
「ほらな、やっぱり俺には弱点なんかないんだ」
「うーん、そうかなあ……。でも、どんなに苦手なことや弱点があっても、わたし、瑛くんが好きだよ?」
「……分かった」
「え?」
「俺の弱点はおまえだ」
「えっ、どういうこと?」


2011.04.15
君には決して敵いません。的な。
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