「誕生日おめでとーーッ!かんぱーいッ!」
ロウソクの火が吹き消されてクラッカーが鳴る。グラスにはサイダー。
最初は不安だらけのメンバーだったが、日が落ちる頃にはなんとか準備を終える事ができた。 飾り付けは昨日山崎が考えてきた図案を元に行ったらしい。自分の誕生日なのに何やってんだコイツは。料理も志村弟がテキパキと指示を出し、非常に手際よくすすんだ。この地味キャラコンビの気合いの入れようには感心してしまう。 ケーキはコージーコーナーで買ったイチゴのホールケーキ。
「すっげーナ、本格的ネ!飾りも綺麗アル!」
そりゃそうだよなー昨日頑張って下準備したんだもんなーザキの癖に。まぁ見事に俺んちのリビングを誕生日一色にしてくれやがって。つうか、チャイナ喜び過ぎじゃね?俺の作った焼そばも褒めろよ。山崎もまんざらじゃない顔しやがってる。
「そーですか?いやぁ照れるなぁあはははは…ぐふぁっ、い、痛っ」
「あ、悪ィ山崎。手が滑った」
「わざとですよね!今の完全にわざとですよね!殺意込められてましたよね!」
人はみな生きていれば手が滑ってみぞおちに拳が入ってしまうこともあるのだ。 夜道には気をつけろ、山崎。
「気のせいだろィ」
「やぁ〜お妙さんと俺がいればこんなもんよ、ねぇお妙さん!」
「失せろゴリラ」
「まぁまぁまぁ、近藤さんも姉上も折角なんだから楽しみましょうよ」
「ずっとこんな調子でこっちは疲れたぜ、全く誰だよこんな振り分けにしたのはよ」
てめえだ、空気読め土方。
「あんたでしょうが、土方さん。ていうかね、僕だって大変でしたよ…」
「そーですぜィ、俺にも気を使えよ死ね土方」
「なんか言ったかー総悟」
「あ、そうだ。土方さんにこれを」
「んぁ?マヨネーズか?…でもなんかピンクいけど?何コレ?」
「限定ピンクのマヨネーズらしいですぜ、イトーヨーカドーに売ってやした」
「マジでか」
そういうとアホ土方はさっそく焼そばにマヨをぐにゅぐにゅと絞り始める。 さぁ、喰いやがれ。 丸々一本絞りきったところでおもむろに箸をさっきまで焼きそばだったものにつける、もはや犬のエサだ、犬の。
「…って辛ッッッッ!!んだコレッッッ総悟てめーふざけんなよォッッ!」
「限定マヨネーズなんてあるわけねーじゃないですか、脳にまでコレステロール溜まってんですかィ」
タバスコとマヨネーズの絶妙なハーモニー。いいと思ったんだけど。
「お、おまっマジぶっころしてやんからな!!」
「なになにー、トッシーにプレゼントアルか〜?沖田お前そういう趣味だったのかヨ。キモっ!!」
山崎と話していたチャイナがこちらに寄ってきて隣にぺたんと腰を下ろした。 そしてワンピースから覗く太腿に目を奪われる。制服なんてコレよりも短いはずなのに異様にいやらしくみえてしまうのはどうした事か。 …みんな居てよかった。二人きりだったら確実にアレだ、アレ。
「違うし」
「じゃー私にもなにかくれヨ。あ、冷凍庫で眠ってるパピコがいいアル〜」
「それただ今喰いたいだけじゃねーか」
「いーじゃねーかヨ、減るもんじゃないアルー」
「いや、減るだろ」
「土方さん…なんで神楽ちゃんは沖田さんちの冷凍庫事情を知ってるんですかね」
「さぁな…世の中にはなしらねえほうがいい事もあるんだよ、メガネ弟」
そうして夜は更けていく。