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「…………………そっかぁ、悲しかったね。 俺が同じ学校に通ってやれなくてラッキー?そんな姿の千愛を見ないで済んだから。でも千愛は一人ぼっちで、虐められて…よく耐えたね。…その持病は相変わらず見たいだけど!」 分かってくれた。 ありがとう、 「ふ、ッうう…ック…ぅううぅぅっ。」 安心したらまた涙が溢れてきた。 ジローに言わなきゃ、 ありがとうって、 慰めてくれて、 私を分かってくれてありがとうって伝えなきゃ。 いつも泣いてる私を、 理由もあまりなく泣いている私を慰めてくれるのはずっとジローだけだった。 「あり、ッ…あ、がッ…。」 一生懸命言葉を紡ぐ。 「うん、…お礼なんていらないよ。俺だって千愛がちゃんと話してくれなかったらきっと、また千愛を傷つけてる。」 違う。私はジローに傷つけられたこと無い。 だって私達はそれぞれ過剰に反応するしかないんだもん。だから、私達はお互いがお互いで傷つくことは絶対にないって、言ったじゃん。 そう思っていると余計悲しくなった。溢れ出る涙に拍車をかけた。 「そうだ、明日氷帝に来てよ! 俺の友達に医者の子が居るんだ。しかも大きい病院の! だからコネを使ってその病院行こうよ。千愛の体中にある痣も綺麗に治してくれるよ。嬉C?ねぇねぇ、嬉C?これって正解?」 …医者の子だからって関係ないと思うけど、 でも、ジローが私の気分転換に付き合ってくれるようだ。気遣ってくれている。氷帝に遊びに来ないかって言ってくれている。だから私は甘えれるものには甘えておこうと思う。 私はジローの言葉に小さくうなずいた。 「ありがと…正解だよ。」 行く、というメッセージに気付いたジローはそれ以上は話しかけてこなかった。 黙って私の背中をずっとポンポンと摩ってくれた。 心地の良いリズムの中で私は再び意識を手放した。 気がつけば朝の6時、 あれから私は熟睡してしまったようだ。 ジローの姿は何処にもない。 枕元に視線をやると昨日までなかった紙切れがあった。 何だろうと思って拾い上げ、見た。 それはジローの置手紙だった。 『おはよう!…になるかな? 俺千愛が寝ちゃったようだから家に帰るね。親がたまにしか帰ってこない千愛の家に泊まることはダメって母さんに言われてたんだ。でも千愛が俺んちに泊まるのはいいらしいからたまには昔みたいにお泊まり会をしようよ。岳人や宍戸も誘ってさ! で、明日の部活のことだけど9時開始だから、8時に迎えに来るからそれまでに準備しててね!もし俺が8時ちょっと過ぎまでに来なかったら俺んち来てー、俺多分まだ寝てるから! じゃ、また後でね。 ジローより』 「…ジローらしいや。」 岳人に亮…か、懐かしいな。 最後に見かけたのいつだっけ?半年ぐらい前だっけ。もっと前かも。皆テニス部で大活躍してるみたいだから、土日に会った覚えもないし…。 とりあえず8時までにお風呂入ろう。 あのまま寝ちゃったから制服皺だらけだよ。最近、土にまみれることが多いから大した差はないんだけどね。ジローの制服汚してないかな。氷帝の制服ってクソ高いんだもん。あ、でも家がクリーニング屋だからいいかな。 私はお風呂場に移動して制服を脱ぐ。 今更お湯を張るのは面倒くさいからシャワーだけにしよう。 「あー…気持ち悪い。」 気持ち悪い体。 擦り傷があって赤くなったり、瘡蓋になって黒くなってる。痣も、紫や、青、緑、黄色。色とりどりだ。 これは本当に人の体の色か、 私は人外的な涙を流すのに、 さらに人外になってしまったということか、 内面からも、外見からも、 私はどこの科に所属してやろうかしら。 ―――― 2012,03,15〜2012,03,31拍手 |
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