02 |
案の定、私は次の日から虐めを受け始めた。 私の欲は叶えられず、予想通り私は立海生全員に虐められるようになった。 約1割が直接暴力をふるってくる。テニス部部員の割合だが、 約3割がそれに便乗して、面白がって水をかけたりしてくる。きっとテニス部に近しい人達。 残りは見て見ぬ振りをする傍観者。 こんな状況が続いていて先生たちもとっくの昔に気づいているのに、私の存在は無視され続けている。 何故かって? 単純明快、私を虐めている主犯がテニス部だから。 全国制覇をしたテニス部が、三連覇を目指している優等生のテニス部が一人の女子を虐めて出場停止だなんて、バカらし過ぎるから。職員会議にて私が虐められていることに対して口を出さないことは暗黙の了解となったようだ。 私の涙はそんな現実に対して戸惑うことなく溢れ出てくる。 もう泣かない時間は寝ているときだけじゃないのかと言いたいぐらい私は涙を流している。 涙が枯れないことが不思議でならない。 日課となったテニス部からの暴力を受け、 痛いと悲鳴を上げる体に鞭を撃ち、私は家に帰っている。 此処を庇って歩けば、あっちが痛む。 あっちを庇って歩けば、此処が痛む。 その痛みでまた涙が溢れ出る。 あー…涙の流し過ぎで、脱水症状になって死にそー…。間抜けな死因だな。 私は死ぬなら畳の上で孫に囲まれて死にたいと思っているのに。そんな平凡な夢も叶えられないまま私は死んでしまうのか。 もう少しで家に着く。 とりあえず水分を摂ろう。それから手当。今日は金曜日だから明日から少しだけ休めれる。 私は家の玄関に手をかけた。 「あー!!千愛じゃん、久しぶりだC!元気?ねぇ元気?」 陽気な声が後ろからかかってきた。 振り向いてみると、私の家の近所で幼馴染で、大切な友達のジローが居た。 「あ…ッジ、ロ……っう、はッ。」 また涙で声が出ない。 「ッ!?千愛どうしたの!?」 慌てた様にジローが駆け寄っていてくれる。でも良く見えない。 また涙が邪魔をした。 そこで私は意識が遠退いた。 「――、――――――千愛?」 誰かに呼ばれた。起きなくては、 私は重たい瞼をこじ開けた。 「…ジロー。」 ジローの姿を確認して私は何処に今いるのか確かめた。 私は今、自分の部屋に居た。 「もう!なんで運動でもない千愛が脱水症状が出てた訳!? 俺がテニス部に入ってなかったら手当もできなかったんだよ!でも嬉C!千愛の役に立てて!」 「それは…ごめん。」 「最近暑いんだよ!気を付けないと!……って…和やかに世間話でもしたかったんでけどさ。だって久しぶりに会えたんだもん。でも、そうはいかないよね?」 「……。」 「訳…話してくれるよね?誰にも話して無いっしょ。やったー!俺一番だC!」 「…ッうぅ……っ。」 話そうと思い出してみると止めどなく涙が再び出てきた。 あーくそ、邪魔だよ涙。 「あ、メンゴメンゴ…落ち着いて、落ち着いて、ね? ほら、ゆっくり息を吸って、吐いて、吸って――…。伝えたい言葉を単語で言ってみて?」 ジローが私を覆いかぶさるように抱きしめてくれた。 それから背中を優しくポンポンと摩ってくれた。 少し落ち着けた。 流石幼馴染歴約15年、私の対応に慣れている。 「テニス部、の、マネが、私、虐めたことにッな、っ。私…してないッ学校、虐める。無視してくる、うぅ。痛いの、苦しいの、」 なんて支離滅裂な単語を並べてしまったんだ。 でもこれが限界。分かってくれるかな? ――――― 2012,03,01〜2012,03,14拍手 |
<< TOP >> |