トリップ続編 | ナノ
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賑やかな宴会から一夜明けて二日酔いなのかいつも以上にダラっとしている銀さんは、ソファーを掃除してる新八くんに邪魔扱いされて今寝室に布団を敷きうつ伏せになりながらジャンプを読んでいる。

これはこの上無いチャンス到来。

洗濯物を持って寝室に入りタンスの前で畳む、ここまではいつも通りだし何も思われないだろう。
静かに立ち上がってそっと背中を跨ぎ腰辺りにゆっくり体重を掛けて座る。


………………えっ、何も反応されない。寝てる? いや起きてる、今ページ捲った。

何で? 雑誌で読んだ、ドSがされて嫌がる事に背中に座られる、がランクインされていた。屈辱的に感じるらしいそれを気になって実行しているのが現在、だけど何も反応すら無い。
別に怒るとは思わなかったけど、何かしら反応を期待したのに無反応って。

自分で勝手に乗っといて無反応が悲しくなり目の前にある背中をマッサージする事にした。

腰から背中に掛けて力を入れてほぐしていく、広い背中に中々骨が折れるけど念入りに揉みほぐし膝で歩いて次は肩。


「座って」

「えっ?」

「座ってやって。」


本来の目的を忘れ膝で立ったまま肩を揉んでいたら下から声が聞こえ、内臓潰れないか心配になりながらゆっくり体重掛けて座る。

ジャンプを読むのを止めたらしく自分の腕に頬を乗せて目を瞑ってリラックスしているように見えるから、座ったまませっせと肩を揉んでいると「頭もやって。」と要望があり、頭皮マッサージまで終え腕に疲労感を残し揉みほぐしが完了した。


「すげェ気持ちかった。」

「なら良かった。」

起き上がって胡座をかきながら眠たそうな目で笑って言われたから、本来の目的は結果得られなかったけど良かったとしよう。


「マッサージしてくれる為に乗って来たの?」

「っえ、」

そりゃ気になるか、いきなり人の上乗るとか何だと思うよね。


「……ご、ごめんね、雑誌でドS特集読んで、背中に乗られるの嫌ってランクインされてたの。」

「気になって座ってみたって?」

「……そう、……ごめんね、」

「何で謝んの?」

「え、だって、わ!」

軽く身体が浮いたと思ったら銀さんの脚の上に跨ぐように下ろされて、私の背中に両腕が回り胸元に顔が来る。


「乗られんのも座られんのも何でも歓迎よ?」

「え、……え?……何か違う事言ってる? ドSが嫌いな事特集だったの。」

「変わった特集してんのな」

「背中乗られるの屈辱的?」

「んー、それ人に寄るんじゃね? お前じゃ無かったら落としてた。」

「じゃ嫌なんだ、雑誌当たってる。」

「つか何とも思わねぇヤツ居んの?」

「土方さん特に何も言ってこないよ。」

「……」

「……マッサージ、を、してるだけです。」

「へぇ、」

「っ、し、新八くん居間に居るよ!」

「お前が声出さなきゃ大丈夫だろ。」

「っ、……っ、銀さんっ、」

「しー」


しー、じゃない!

背中にある手が素肌を撫でながらどんどん上に上がって行く、首元に寄せられる唇が緩く肌に触れながら顔にふわふわした銀髪が触れて、別に拘束なんてされてないの銀さんの肩に手を置いてるだけで全然動けない。


「……っ、……っっ、銀さ、」

「そんなに?どっち、手?口?」

「く……、空気、」

「そっちィ? どんだけだよ、少しは慣れなさいっての。」

「だっ、て、…こわい、」

「大丈夫大丈夫、……お前心音凄いぞ、落ち着け。」


落ち着けと言いながら服から手を出して抱き締められる、今度は銀さんの顔が横に来て頬同士が触れるのが心地良い。


「これは好き。」

頬を擦り付けるように動かせばその頬に唇が降ってくる。


「ふふっ、」

「ご機嫌ですねぇ、こんなちっせぇ事で。ガキじゃねんだから。」

「銀さんは抱き締めるのとか、頬引っ付けるの嫌い?」

「……好きだけど。」

「なら良いじゃん。」

「良いけどね、良いけどよ。でももうちょい触りてぇと思うだろ。」

「じゃあ変な空気にしないで、じゃれあいながら触って。」

「俺これでも結構頑張ってんよ?」

「うん、分かってる、……ごめんね。もし無理ってなって何か起こっても、私頑張るから。」

「ダメ、そん時は蹴ってでも止めろ。」

「え? なんで?」

「それは俺の意思じゃないしお前の許可が無ェのならそれは合意じゃない、何としてでも止めろ。」

「…………分かった。」

「空気に寄っちゃ結構いけんのにな。俺の前で服脱げんの?」

「空気に寄る」

「脱げんの!? 」

「下着までなら多分。」

「え、何で空気に寄ってそんな違ぇの? 空気清浄機でも買うか。」

「良いね、怪しげな空気を浄化してくれるやつ。」

「あー、俺が吹き飛ばすからお披露目して。」

「この空気保てるなら」

「耐えるわ」

「じゃあ今度ね。」






折角だから新しい下着を新調しようと思い、神楽ちゃんにも何か欲しい物をと誘ったら皆で行く事になった。


「皆で買い物久しぶりだねぇ」

「揃って同じ所に出掛けるのは珍しいですよね、特に銀さんデパートに用事あるんですか?」

「まぁな」


デパート自体久しぶりに来た、斬られたりして駄目になったし服も買っておこうかな。


「神楽ちゃん昆虫見るだけなんだよね?」

「そうアル 」

「時間決めて合流しますか?」

「そうだね、じゃ2時間後にフードコートに行こうか? アイス全品100円だって。」

「食べたいネ!」

「食べて帰ろっか。」

「じゃあ僕CDショップ行って来ますね。」

「分かったー、銀さんは? 」

「んー、お前は? 」

「服見てくる、今更だけど一緒に歩く時スカートの方が良い?」

「別に何でも可愛いし良んじゃね?」


スカートも好きだけどよ。と店内案内板を見ながら続けた銀さん。


「ごめんお手洗い行って来る」

「え? おぉ、行って、」


既に別れた神楽ちゃんと新八くんを追い抜いて走る、てかトイレ何処、


「名前さんどうしたんですか顔赤いで、」


新八くんの言葉を素通りして走っても、これ絶対バレたよ、何で言ったの新八くん!いや新八くんは何も悪くない、兎に角追い付かれる前に逃げなきゃ。
絶対追って来てる、足音聞こえるもんトイレ何処なの!?


非常識極まり無いだろうくらい全力で走ってやっとトイレの看板を見付けたのに、


「っ、はい、捕獲ー。」

「ぎゃぁ!? いやっ!離して!!」

「大人しくしろよ。店ん中走らせやがって、非常識だろー?」


扉に手を掛けた瞬間だった。後ろからお腹に回ってきた腕に抱き上げられて足が浮き、暴れる私を無視してリニューアル中の人気の無いテナント前まで連れて来られた。

取り敢えず下ろされたから壁に寄って隠してるけど、まだ絶対冷めてない、現在進行形で熱い、早く冷めて、お願い冷めて……っ、


「何で逃げんの? つか何処で照れた?」

「…………、別に。」

「何だそれ。」

「っちょ! やめっ、」

「うお、真っ赤じゃん。マジで何処で照れたのお前、触って無くても照れる時あったの?」

「……っ、て、てれてない!」

「いやいや、リンゴみたいに真っ赤よ? 」


何なのこの人は、何で頬掴んでまで顔見てくるの!? 離れようと身体押したら手首まで掴んできた、隠してるの分かってるよね、何でこんなに意地悪いの。


「もっ、やだ!…っ、離してよ!」

「そんな抵抗すんのも珍しいな、つか何だこれ新鮮。取り敢えず早く言わねぇと、ちゅーすんぞ。」

「はぁ!? 馬鹿じゃないの!? 馬鹿じゃないの!! 離して!」

「動揺し過ぎじゃね? 同じ事2回言ってる。」

「離せっての!! 」

「そろそろ脚出る? その前に口悪ィし塞いどくか。」

「や!? やっ、んん!? っん!! っふ、ぁ、」


頬を掴んだまま顔を寄せ唇を覆うように塞がれて、足が一歩後ろに下がっても背中が壁にぶつかるだけで距離なんて開かない。ドクドク煩い私の心臓は落ち着きたいと願っているのにそれは叶わず、軽く唇吸われ、ちゅ、とリップ音まで自分の唇から聞こえて来て熱い顔が更に熱くなる。


「次は深くいくから。」

「っ!? まっ、て! ……待って落ち着きたい、ね、1回トイレに、」

「往生際の悪いやつだな。今言わねぇと夜に持ち越すんだぞ? 」

「……っ、……、」


酷い、こんなに嫌がってるのに無理矢理言わせるなんて非道だと思うよ。
こんな熱上がった顔して言ったって効果無いの分かるから言わないけども。


「ほら言っとけって。何処で照れた?」

「っ、あ、………………っか、っっ、可愛いって、言われたから!」

「は?」

「もー!良いでしょ離して離して! やだ離してぇ!!」

「どんだけ照れてんのよ。 つか俺言った? 」

「無意識だから照れんの!! 手ぇ離して!! 」

「離したら逃げんだろ」

「逃がして!!」

「逃がさねぇ」

「やだもうっ、何で……っ」

「えー、泣くなって。」

「泣いて無い!」

「つか言われ慣れてんだろ、そんな照れる事か?」

「……慣れてない、」

「嘘だろ、目の前で言われてんの聞いたぞ。」

「…………………………ぎ、銀さん、に、」

「なに?」

「銀、さんに、……初めて、言われた、から……、」

「……え?」


出会ってから1度も言われた事無いもん、初めて言われた。しかも無意識に。照れるくらい放っておいて欲しい、勝手に戻るから。


「……はぁ、もう疲れた、服見てくる。」


だんだん落ち着いて来たし、もう良いや馬鹿にすれば良いよ。あんな一言でわーわー騒いで余計恥ずかしいよね。

頬を掴んでる手を下に押せばすんなり離れてくれた。


「……ごめんね、……騒ぎ過ぎた、私もう行……え? 銀さんどうしたの?」

「っ、……いや、……、」

「いやって、顔赤いんですけど、何で?」

「……あー、……ちょっと便所行って来るわ。」

「待ちなさいよ、逃がすと思ってんの? 」


形勢逆転逃すわけ無い。


「………」

「なに」

「いや、……思っては……いた。」

「何が?」

「可愛いって。…………多分最初っから」

「……最初?」

「最初会った時」

「え? 布団で?」

「うん」

「……え?どうゆう……、あぁ、怯えてたから?」

「じゃなくて、顔、タイプだったりする。」

「え!? 」


驚き過ぎて大きい声出た、さっきから声大きい気もするけど、でもここ離れだし大丈夫?

と言うか、え? 顔、が?タイプ? かお? 顔、……私の顔? 私の顔がタイプなの? タイプってなんだ? タイプ?


「……タイプ、って、」

「好きって事。」

「……え、嘘でしょ、私の顔が好きって? 有り得ない何で? あっ、好きな顔沢山あるの?」

「んなわけあるか。」

「美人見すぎて好みおかしくなった?」

「お前自己評価低すぎねぇ?」


だって有り得なくない? 銀さんの周り美人揃いなんだから。


「だって、」

「人から見てお前がどう映ってんのかは知らねぇけどよ、俺はタイプなの。だから笑った顔とか特にイイし、まぁ怒った顔もイイけどな。」


そう言って笑いながら頭を撫でてくる銀さんは、本気で言ってくれてるんだろうけど、……こんな面と向かってタイプとか、てかタイプって、


「……どうも。」

「何で時々そんなツンなんの? だからデレると余計厄介なんだろ。」

「なにが?……銀さんモテそうだね、そんな事サラッと言えちゃうの。女の子喜ぶよ」

「お前は?」

「疑問が勝ったけど喜んでるよ」

「ふぅん」

「そう言えば、万斉さんの言ってた事もしかして冗談って事も無かったのかな」

「は? 万斉?」

「高杉さんに連れて行かれる時、私ボロボロでどう考えてもお相手しようと思える格好じゃ無かったのに、顔見られて直ぐ連れて来いって言われたの。」

「……」

「桂さん言ってたよね、銀さんと高杉さんタイプ似てるって、まさか本当に私の顔、……っわぁ、ええ?」


凄い顔してる、青筋? え、青筋出来てない?


「やだこわいどうしたの、顔すっごいよ、どしたの、」

「……高杉に何か言われたのか」

「えっ、いや何も。何で私なんですかって騒いだら万斉さんが高杉さんの好みだったんだろうって。」

「……次会ったら絶対ェ殺す。」

「えぇ!? なんで!? 何処に怒ったの!?」

「気に入られてる処の騒ぎじゃ無ェじゃねぇか。完全に目ェ付けられてんだろ。だからか、おかしいと思ったわ。風呂貸して? 膝枕に添い寝? アイツがんな事すんの想像出来ねぇし、したくもねぇし。着物貸して短刀持たせて、終いにゃ賭けだァ? 絶対ェ殺す。」

「や、止めなよ、一応昔のお仲間なんでしょう?」

「あ? アイツの肩持つ気か?」

「いやそうじゃなくて…………あっ、私、下着買いに行くんだった、どう? 一緒に。」

「……行く」

「うん行こう、はい手繋ぐ?」

「うん」


わ、素直。良かった、取り敢えずこの会話止めよう。

銀さんにフィルターかかってるの知ってるから私がとても美化されて見えてるんだろうけど、タイプ言われるとは思わなかった。てかタイプって……、どうも素直に喜べないし信じ難い、顔が? この顔が? いや、嬉しいけども、でも……えぇ?



「信じてねぇの。」

「え!? いや、……」

「お前俺の気持ち疑うよな」

「……」

「知った時も疑ってたし、離さねぇつっても信じねぇし、今もそうだ。」

「っ、ご、こめ、」

「いや、…けど、他の奴なら信じんだろ。」


そう言った銀さんの横顔が少し寂しそうで、見てるだけで胸が締め付けられそうになる


「……私、凄く凄く銀さんの事好きなんだよね。その銀さんが私の顔がタイプだと言ったら疑いたくもなる、しかも最初からとかそんな有難い事ある? 顔って毎日見るし好かれるに越した事無いけどタイプって…… でも本気で言ってくれてるんだって分かってるよ、だからその言葉を疑ってる訳じゃなくて嬉しすぎて信じられないってのと、自分に自信ないってのもある。それでも銀さんが好きって言ってくれるならこの顔で良かったって今思ってる。」

「……」

「離さ無い云々の話は、……銀さんに臆病なんだって私、失うのが怖い、居なくなるのが怖い、……銀さんが手を離すって考えるのは、そう思って無いといざって時耐えられないから。 大切過ぎて幸せだと思うと同時に失う恐怖が付いて来る。でもこれは多分皆同じなんだよね、どうもウダウダと考えちゃう性格みたいで勝手にハマって抜けれ無くなるけど、今は手を離させないように私にも出来る事あるって思ってる。後は銀さんがスイッチ押してくれるから、ね? 絶対離さないって言葉で安心させてくれてるんでしょ? その為に銀さんは賭けに勝ってくれたんでしょ? しっかり掴んでて、私が弱ったらぎゅっと強く握って。銀さんか弱った時は私が全力ハグするね。」

「……何度だって、言ってやらァ。泣いて離せっつっても離してやんねーかんな。」

「ふふっ、大歓迎。」


ぎゅっと強く握られた手を握り返す、銀さんの気持ちを疑ってるって言うより自分に自信が無いから出る不安からの疑問だと思う。だって嘘言ってるとか思ってない、本当にそう思ってくれてるんだって分かるから。





「銀さん入るの恥ずかしくないの?」

「別に? お前が嫌なら良いよ。」

「私は大丈夫だよ、ここお店だし。」


下着売り場を前にして聞いて来た台詞に返せば自分も平気だと言い平然と俺の手を引きながら入って行ったが、お店だしってそれは空気の話か? プールん時もそうだったよな、人が居る所なら平気だった。俺の目そんな怖くなんの? 俺どんな目ェしてこいつの事見てんだろ。


「わ、これ触ってみて、ジェルみたいなパット入ってる。」


普通に下着触らせて来んだけど、いや俺は良いんだけどね、だけどここまで微塵も照れたりしないモンなのか? さっき叫びながら照れまくってたの何処行った。


「……良んじゃね? 可愛いと思うよ。」

「ね!これだと触ってて気持ちんじゃない?」

「……え?……俺が? なら要らねぇよ、俺はこんな人工的な膨らみが触りてぇワケじゃ無ェかんな?」

「ふにふにしてるよ?」

「お前のふにふにがイイ」

「私大したふに感無いよきっと。」

「何だ、ふに感って。」


つか何も反応無かった、さっき言った可愛い普通にスルーされたんですけど。


「……俺はお前の照れるポイントが分からねぇよ。」

「え? 」


あ、声に出てたらしい見上げて聞き返された。


「……いや、俺今可愛いっつったけどお前スルーしたじゃん?」

「んー、……銀さん格好良いよね。」

「え? どうも?」

「うん、じゃあちょっとしゃがんで。」


下の商品に触る振りをしながら俺の耳元に口を近付けて内緒話をするように小声で囁かれる


「歩いてて人とぶつかりそうになった時とか転びそうになった時、銀さん繋いでる手引いてくれたり、そのまま抱き止めたりしてくれるでしょ? それずっと格好良いなって思ってたよ。」

「……どうも」

「ふふ、分かった?」


下から覗き込むようにして聞いてくるが、正直分からねぇ。
お前が格好良いと思ってくれてたって事しか分かんねぇわ。


「格好良いって言ってもさっき照れないのに今は照れたでしょ?」

「……まぁ」

「同じ言葉でも伝え方とかタイミングで捉え方も違うじゃない? 何となく言った格好良いと、それを思い出して言うのとでも違う。無意識って普段からそう思ってないとポロっと出たりしないよね、つまり銀さんは私の事を可愛いって思ってくれてたって事なの。 服が、じゃなくて私の事を。だからだよ。」


言いたい事は分かったし意味も理解できた、確かにお前が俺に抱いていた格好良いポイントは嬉しい。

けど腑に落ちねぇんだが、お前は俺の好意を何だと思ってたんだ?
思ってくれてたって、んなモン当たり前だろ何故そんなに自己評価が低いんだ、俺がちゃんと言わねぇからか?


「………………お、まえの、笑った顔とかすげェ可愛い、と、思う…………ぞ。」

「ふふっ、ありがとーっ」


何だこれ、こっちまで被爆すんだけど。そして どもり過ぎだろ俺。
けどまぁ、こんな はにかんだように笑って嬉しそうだし、こっちまで気分良いわな。


「銀さんも選ぶ?」

「っえ、俺選んで良いの?」

「良いよ? でもあんまり変なの選ばないでね」

「変なのって?」

「布少ないやつとか」

「あぁなるほど、大丈夫普通の探すから。」


あっち見てくる、と言う名前と別れて一人で選んだ。何色持ってんのか知らねぇけど、服のテイストから見てピンクとか白のイメージだな。黒とかも見てみてぇとも思うけど似合いそうなのにするか、あんまり一人で物色して変な目で見られても困るし歩きながら見て目に付いたやつにした。


「良いのあった?」

「これは?」

「わ、可愛いね!」


笑って俺の手から受け取ってくれた、良かった嫌がられなくて。


「買ってくる!」

「お前は選んで無ぇの?」

「選んだよ、もうレジに預けてるの。一緒に買ってくるね、待ってて」


走って買いに行く姿を見ながら、お披露目時に着てくれるのだろうかと期待せずにはいられねぇよな。







期待数値無限大



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