トリップ続編 | ナノ
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今日は遅くなったけど私の快気祝いを、との事で皆で真選組にお邪魔している宴会は、万事屋とお妙ちゃんが加わって色んな意味で賑わってる、本当に、色んな意味で。

銀さん達は用意されていたテーブルで一心不乱に食べていて唖然としながら眺めていたら、沖田くんに手を引かれ離れたテーブルに来た。


「あんなにお腹空いてたんだね、もう少しバイトの日数増やそうかな。」

「ただ食い意地張ってるだけでさァ」

「つか何でお前が飯食わしてやってんだよ。」

「だって、私別に働くの苦じゃ無いですもん。皆優しいから寧ろ楽しい」


近藤さんの事は山崎さんに任せたらしく反対側には土方さんが座ってお酒を飲んでいる。


「そういや、そろそろ潜入来そうですぜ。」

「待ってた、楽しみでならない。お仕事はちゃんとするから写真撮っても良い?」

「いーですぜ、折角だし双子コーデにしやしょう。」

「何とか化粧で頬のお肉とか隠せるよう頑張るね!」

「お前本気で来るつもりか?」

「可能ならばで良いんです。邪魔なら止めますよ勿論。」

「居てくれた方が助かるって話になったじゃねぇですかィ」

「そうだがよ、まぁ本人が乗り気なら好きにすりゃァ良い」

「土方さんもするんですか?」

「いや、俺は潜入はしねぇ、後から突入する方。」

「なんだぁ残念、土方さんなら美人になると思うのに。沖田くんは絶対可愛い、隊員さんもメロメロになるよ。」

「どーも。」

「絶世の美女になると思う、ね、土方さん。」

「知らねぇし興味も無ぇ。」

「ふっ、見た瞬間咥えてる煙草落とす姿が想像出来ます。」

「何でちょっとドヤ顔? 」


だって可愛いに決まってる、想像より絶対可愛いのも分かってる。


「どう想像しても可愛い結果にしかならないですもん、だって沖田くんですよ? 女版沖田くん見たことっ、……わぁ!この粗挽きすっごい太いね!どうやって作ったんだろう!」

「あからさま過ぎんだろ。」

「しかも何で粗挽き? せめて違う所チョイスして下せェよ。」

「……すみません、」


馬鹿過ぎる。今完全に調子に乗って何も考えないでそのまま口から言葉を出した。私最低だ、女版沖田くんってお姉さん居たんだから見たことあるに決まってるし、多分土方さんと何かあったんだろうとも分かってるのにこの話振るのは良く無かった。


「良い仕上がりになったら煙草でも何でも落としてやるよ。」

「じゃあ髪の毛全部落として貰って良いですかィ?」

「良い訳ねぇだろ、そもそも落ちねぇよ。」

「大丈夫でさァ俺が手伝うんで」

「ふざけんな髪の毛処か首まで落とされんだろ。」

「仕方ねぇ名前さんにやって貰いやしょうかねィ。女版の俺見せ付けて土方さんの毛根削ぎ落としてやりやしょう。」

「だから髪の毛は落とさねぇって」


何でこの人達こんなに優しいのかな。


「……土方さん男前だからハゲても似合うと思いますよ。」

「そうゆう問題じゃねぇよ。」

「アンタ気にしすぎ。そっちは知りやせんが俺に遠慮したらどうなるか忘れたんで?」

「これは遠慮とは違うよ、親しき仲にも礼儀ありでしょ。無神経な発言良くなかった、完全に調子に乗ってたの自分で分かるもん。ごめんね、以後気を付けます!」

「何処が無神経なんで? 女版俺ってフレーズが姉上を連想させるかもって? 似てるか似てねぇかは分かんねぇけど連想させたら駄目なんで? アンタは連想させる事を無神経だと言ったって事だろ、俺が思い出す事で悲しむかも知れねぇから。その気遣いは遠慮にならねぇんで? 俺がそんな気遣い求めてると、本気で思っ、 」

「ごめんなさぁぁい!!!! ごめんね! 本当にごめんね!遠慮だったのかも! 遠慮だったね、ごめんね! だから起きよ!? ほらもう、土方さんにも乗っかっちゃってるし!ねっ!?」


話してる途中から声のトーンと目が怪しいとは思った、冷や汗を流してたら喋りながらゆっくり私に手を伸ばして、ゆっくり肩を押して背中が土方さんにぶつかっても気にせず押されて胡座をかいてる脚の上に倒された。
倒れた瞬間にぐっと距離を詰められて唇スレスレになった所で私が叫んだ。
もう謝るしかない、無神経な事への反省だったけど、もう遠慮って事で良いや。


「ぐっ、うぅ、重……っ。沖田く、…ちょ、本当に潰れる、」

「おいバカップルなら他所でやれ、脚重いっつの。」

「いや、私もっ、……重、てか背中痛い、土方さんの膝痛い。」

「俺のせいじゃ無ぇだろ頑張って退かせ。」

「ム、リっ! まさか沖田くん寝たの!? 」

「起きてやす。」

「退けて!? なら退けよ!? 」

「お前膝立てんな裾捲れてきてんぞ。」

「踏ん張んないと起き上がれない! 土方さんも飲んでないで手ぇ貸して下さいよ!」

「巻き添え食らうのは御免だ。」

「くっそ、なら対ドS用で。」

「は? 何だ対ドS用って。」


胸元にある沖田くんの首の後ろに腕をしっかり回して自分に密着させるように固定、
動けないようにしたまま反対の手で後頭部の髪を指に絡ませて頭皮を揉むように撫で動かす。


撫でながら土方さん側の耳を出す為に垂れた髪を耳に掛ければほんのり赤くなってるのが見えてくる。これやったら怒りそうだけど、下を向いてる顎を掴んで無理矢理土方さんの方に顔を向かせれば案の定睨まれた。


「退けるって言ったら止めてあげるよ。」

「………………退けやす」


凄く渋々告げられた言葉に手を離すとゆらりと起き上がり重さは消えた、でも完全には退けてくれなくて土方さんの脚を避け私の頭の上と横に手を付き真上から見下ろしてくる。


「……お目めが怖い事になってるよ、」

「前から思ってやしたがドS相手に良く仕掛けられやすね。」

「いやそんな、私は抵抗をしてるだけで何も仕掛けちゃいないよ?」

「泣いて頼む事も出来んだろ、そうやって煽られると泣きながら俺の名前呼ばせたくなる」

「えー、良いよ。……っ、沖田く、も、退けてっ、」

「足りねぇ、もうちょい激しめで。」

「っは、……ぁっ、くるし、」

「止めろアホ共ォォォォ!!!!」

「い!ったい……、」

「イッテェ、」


叩かれた。頭を擦りながら今度こそ起き上がった沖田くんに腕を引かれて私も起き上がる。


「何で叩くんですかー」

「欲情しやした?」

「しねぇよ!けど周り見てみろっての。」


向かえのテーブルを見るとさっきまで座っていた隊員さん達は居なくなっていた。


「あれ?皆さん何処へ?」

「お前らのせいで避難した」

「えっ、」

「耐え性の無ェ奴等。」

「睨み効かせてた癖に何言ってやがる。」


そう言ってため息を吐いた土方さんはお疲れのご様子。


「飲み直しましょうか、注ぎますよ。」

「ったく大人しくしてろよ」

「はーい、さっきの粗挽き食べようかな。これすっごい太いですね、自家製?」


わ、汁凄いなフォーク刺したら垂れてきた。

落ちそうになった肉汁を舐めてから頬張ろうとしたら、口に入る瞬間に突然身体が動いた


「っんぐっ!? 」


びっくりし過ぎて目が見開いたと思う。一瞬何が起きたのか分からなかったけど、目の前に焦ったような顔してる銀さんとその背後に天井が見える。私が倒れないようになのか背中を膝で支えながら後ろから両手で口を塞がれたんだ、そのせいで首が反れて真上に銀さんと天井。
でも右手首まで掴まれてるの何でだろう、てか銀さんの両手は口にあるから誰? 右側なら場所的に土方さん?持ってたフォークが手に無いけど何処行ったの?

銀さんがゆっくり手を離してくれて背中も押されそのまま身体を起こすと、右手首はやっぱり土方さんに掴まれていた。と言うか私から離そうとしてるのか自分の手がさっきより遠い。


「……え、…いったい何が?」


離された腕をどうしたら良いのか分からず上げたままにしてると反対側からフォークが視界に入った。
目を向けると先程食べようとしていた粗挽きが一口サイズにカットされてお皿に乗っている。


「え? 沖田くん切ってくれたの? ありがとう、でも私そんなお上品じゃないし大丈夫だよ?」

「アンタが大丈夫でも平気じゃ無ぇ人も居るんでさァ。」

そう言ってフォークを持たされた。


「あっお行儀悪かった? 汁凄かったもんね、飛んじゃうかもしれないか。」

「やめて、お願いだからやめて? 」

「何が?」


何で銀さん項垂れてるの?顔を手で覆ってぐったりしてる。
土方さんまで目元に手の平を当ててテーブルに肘を付きながら項垂れてるよ。


「え?なに?どうしたの?そんな見てられない程お行儀悪かったの?」

「男は皆馬鹿な生き物なんで。気にしねぇで食いなせェ。」

「えぇ?だってこれ、二人ともぐったりしてるの私のせいでしょ? しかも銀さんさっきまで遠くに居たのに何でここに居るの? 」

「すげェ勢いで走って来たからでさァ。」

「そんな走ってまでお行儀悪いの止めに来てくれたの? お母さん?」

「母ちゃんなんて優しいもんじゃ無ェですぜ。でも少し気を付けなせェ、どっか知らねぇ所でやられたら困るんで言いやすけどね、ブツ咥えてるようにしか見えねぇから食うなら切ってから食いなせェよ。」

「ブツ? 何ブツって。」

「男がぶら下げてるブツでさァ。」

「え? 刀?」

「いや違いやす。あー、…え、俺の触る?」

「ふざけんな、お前の触らせんなら俺ので良いだろ。」

「え? 銀さんも持ってるの?」

「持って無きゃ困るっつの。」

「木刀?…竹刀?」

「そっちから離れろって、んな健全なモンじゃねぇから。」

「健全じゃない? 不健全な物なの?」

「あー、……え、これ触って理解して貰う感じで良いの?」

「良いわけねぇだろ!」

「もー! 分かんない!何ですか!?」

「だからそれだよ。」

「それって何ですか!?」

「そう、ナニ。」

「何がっ…………………………、えっ、」

「やっと分かったか。」

「…………え、……咥え、……」

「他の食べ物も気を付けなせェよ。」

「……いや、……待っておかしくない? これを口に入れたら、そうゆう風に見えるの? だったらこの世の中ごまんと居るよね? だってどうせバナナ食べても言うんでしょそれ。」

「あー、言うでしょうね。」

「普通に皆食べてる、そんな事考えながらバナナ食べてる人見てるの?」

「誰でもかんでも思うワケじゃねぇかんな? 他の奴が食ってても別に何も思わねぇよ、好いてる女、もしくは知り合いとか心配対象の奴が食ってりゃァ止めたくもなんの。他の野郎がお前をそうゆう目で見無ェとも限らねぇだろ。」

「あ、……心配、してくれてたんだ。…ごめん、何かわーわー騒いで。」

「いや俺はそうゆう目で見たけどな、ここで耐えられなくなっても妥協も何も出来ねぇから止めた。」

「馬鹿じゃないの。」


何なんだ。結局そうなんじゃん。


「土方さんありがとうございます。腕掴んでたのって食べるの止めさせようとしてくれたんですね。」

「あー、……わりーな。」

「いえいえ、ありがとうございます」

「そいつ絶対ェむっつりだかんな。お前安心してたら変な事されっかもしんねぇぞ。」

「する訳ねぇだろ、お前と一緒にすんじゃねぇよ。」

「銀さんの前じゃバナナも食べれないね。あと何だろ、ポッキーは?」

「ほっそ!ポッキーって、細すぎて無理だ。」

「じゃアイスは? 棒のやつ」

「ダメ。完全にアウトだわ、しかもあれ舐めんじゃん。一番ダメ。」

「噛めば良いの?」

「こわい! 何かこわいからダメ。」

「えぇ、魚肉ソーセージは?」

「あぁぁ、ダメ。」

「んー、……あ!キュウリは?まるごとで。」

「キュウリかぁ、」

「お味噌付けて食べるの」

「あー、それ舐めんだろ、ダメだわ。」

「ははっ、後はー、んー、他何かある?」

「ヨーグルトとかも場合によっちゃアウトでさァ」

「マジな、こいつ唇舐めたりすっから余計ダメなやつ。」

「え? 何でヨーグルト? 」

「苺じゃなくて真っ白なプレーンな。」

「味指定あるの?」

「比較的どろっとしてるタイプのモンがアウトでィ」

「細かいね、それ何連想してるの?」

答えが返って来る前に遠くのテーブルが折れた音が聞こえた、振り向けば近藤さんが……、あれ生きてるよね?


「え、大丈夫かな近藤さん。」

「山崎の奴何してやがんだ」

「あっ、私も行きます。」


・・・


「知らなくて良いんでさァ、……アンタがされてると思うと、……らしくもなく庇護欲が、出ねぇ事も無ェ。」

「安心しろ俺もだ。んなグロテスクなモンをアイツの口に突っ込みてぇなんざ思わねんだよなァ、これが。」

「ドSが聞いて呆れやすね。」

「ホントなァ。自信無くすわー、散々触ってた癖にいざとなると怖くて手が出せねぇ。俺って本当にドSだっけ?」

「やっぱり調教されやしたかね、まァ、俺は別にこれで良いですけどねィ。笑って頼ってくれんなら、傍に居てくれんなら何だって。」


そう言い放った総一郎くんはこっちを向いて笑いながら手を振っている名前に手を振り返している。


俺だって笑って傍に居てくれんなら何だって、と言いたい所だけど以前の関係でも良いのかと言われると笑ってだけど良くは無い。だけどお前か笑ってる事が前提な事は変わり無ェからな。

同じく俺も手を振り返せば、俺の分なのか手が一本増えて両手で振り返して来る姿に心温まるのはもう仕方無ェ気がする。






つまり今に不満なんざ無ェって事



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