トリップ続編 | ナノ
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「行ってきまーす」

「おー、行ってら」


銀さんは面倒らしいから3人で買い物に出た、買い物と言っても夕食の買い出しだけどこの時間は値引き商品が狙い目だから家計が助かる。


「今日は何作ろうね?」

「餃子食べたいアル!」

「良いね餃子、皮安いし中に入れるのはお好みで良いもんね、安いやつ詰めよっか。手伝ってくれる?」

「任せるネ!一番おっきいの作るヨ!」

「皮繋げてみようか」

「名前さん止めないと本当にフライパン入らないレベルで作りますよ神楽ちゃん。」

「それは困る、今度お妙ちゃんとも餃子パーティーしたいねぇ、皆で包みながら食べるの楽しいし」

「あっ楽しそうですね! でも作るのは僕達でやりましょう」

「包むのも駄目なの?」

「焼くのは僕らでやればセーフですかね」

「真っ黒い物が生み出されるネ」


真っ黒は嫌だ、なら包む所まではやって貰って焼くのは代わろう。でも目の前で焼くなら見てられるし大丈夫な気もするけどな


「近藤さんも来るかもしれないから沢山作らないとね」

「ストーカー招き入れる気満々ですか、家が大惨事になりますよ。」

「新八くんのお家にしようか」

「どうゆう意味ですか!? ウチは大惨事になっても良いんですか!?」

「今更ダロ」

「ちゃんと後片付け手伝うよ」

「そんな……ストーカー追い出せば良いだけなのに……」


土方さんも居てくれれば近藤さんのストッパーになってくれるし少しは穏やな食卓になりそうだな。沖田くんに話してみようかな。


「ゲ、」

「んー? あっ、沖田くんだ!」

「どーもー。買い出しですかィ? 」

「うん、皆で夕食の買い出し。沖田くんは見廻り?」

「どうせサボってるだけネ、お前名前のストーカーじゃないアルか。ベタベタ触ってくんじゃねーヨ」

「見廻りでさァ、名前さんの周囲を彷徨くピーピー煩ェどっかのチャイナの怪力に被害合わねぇように。」

「ギャァ!? 」

「神楽ちゃん!? 」

「あ、手ェ滑りやした。」


服にジュースが! でも今のわざとだったよね!?


「ちょっと沖田くん!」

「何するアルか!! くそサドが、返り討ちにしてくれるネ!」

「ハッ、上等でィ。前回の決着付けてやらァ。」


えぇ、何か始まったんですけど。
でも値引き商品買いに行きたいし見届ける時間は無い。


「二人とも骨折しちゃ駄目だからねー!」

「いや止めないんですか!? 骨折って!」

「だってスーパー早く行かないと無くなっちゃうよ?」

「……まぁ、いつもの事ではありますけどね。」

「うん、行こっか。」


ただのじゃれ合いなんだよね、たまに行き過ぎちゃってケガ酷くなるけど、それも今じゃご愛嬌。




スーパーにつき新八くんと手分けして無事餃子に使えそうな食材を買うことが出来た。
後は帰って下準備して神楽ちゃん待とうかな、きっと移動しちゃってるし帰り道にも居ないと思う。


「あれ? お妙ちゃんが居るよ?」

「え? 本当だ、何してるんだろう」


1人スーパーの前で立っていたお妙ちゃんの側に寄ると足元に並ぶスーパーの袋。一緒に買い出しに来てた人が急遽離れる事になって途方にくれていたらしい。


「近藤さんは?」

「ゴリラが何?名前さん。」

「……いえ、何でも無いです。」


困ってるお妙ちゃん見たら直ぐ飛んで来そうなのになって思ったけど、撃退しちゃったの……かな。


「じゃ、すまいる通って帰ろっか!」

「でも名前さん夕食の準備ありますよね? 僕が手伝って来ますので先に帰ってて下さい、先に使う材料だけ持って帰って貰っても良いですか?」

「なら全部持って帰るよ、そっちの荷物の方が重そうだしこっち食材だけで重くは無いからね。」

「え、でも名前さん1人に持たせる訳には行かないですし」

「大丈夫だって、お妙ちゃん今度一緒に餃子パーティーしようね!」

「えぇ勿論、新ちゃん借りちゃってごめんなさいね」


スーパーの袋2つだから本当にそこまでじゃない、両隣にあった温もりがスーパーの袋になっただけ。
いや例えが虚しいな、早く帰ってお帰りのハグでもして貰お。




「ただいまー」

「おけーり。あ? 1人か?」

「うん、神楽ちゃんは沖田くんと決着つけに行って、新八くんはお妙ちゃんの荷物持ちに行って貰ったの。」

「その辺で電話借りて呼べば良かったろ」

「袋2つだけだもん、そんな重くないし。」


ソファーに転がってる銀さんの顔がこっちを向いたけど、取り敢えず荷物を台所に置き手洗ってから傍に向かう。


「ただいまっ」

「おけーり、ってさっき聞いたわ、どしたの珍しいな甘えて来てんの?」


腰辺りの空いてる隙間に座って倒れ込むと、持ってたジャンプを上げて場所を作ってくれるから胸元に耳を付けて穏やかな心音に目を閉じる。眠りたい訳じゃない、ちょっと休憩してからご飯作ろうかなと思っただけ。
ゆるゆる撫でてくれる手の温もりに睡魔が襲ってくるけどそこはギリギリまで耐える。


「……もう眠い……」

「飯なに?」

「餃子作るの、皆で包むからね。」

「なら下準備しねぇとな、起こしてやんよ。」


腰を支えながら起き上がった銀さんに自ずと上に乗ってた私の身体も起き上がって目が覚める。

今の一瞬でとっても癒された、大量の下準備もはかどりそう。


「わ、え? 何してるの?」


さぁ台所へ戻ろうと浮かせた腰が引かれ、ソファーに座ってる銀さんに乗っかってしまったと思ったら、あっという間に脚の上で横向きにされて上半身を倒された。
人の足首掴んで持ち上げてるし本当に何してるの?


「目ェ覚ましてやろうと思って」

「いやもう覚めたから大丈夫。駄目だよ、直ぐ二人共帰って来るからね」

「あれ、俺が何しようとしてるか分かるんだ?」

「どうせ足舐めようとしてるんでしょ、いっつもそうやって変な事しようとする。」

「足ね、まぁ足っちゃ足だけど、太腿に痕付けさして」

「えぇ……」

「その顔止めろ」


想像を絶した、足首掴んでるからその辺かと思ったのに違った、太腿って……、太腿に痕って口を付けるの? 前にやってた時こんな格好じゃなかったよね。


「座った状態じゃ駄目なの?」

「座った状態だと脚開かないと内側届かねぇじゃん。恥ずかしいだろ?」


内側だったんだ……、そんな気遣い出来るなら止める選択肢を選んで欲しかった。


どうしてこんなに変態なんだろう、不思議でしょうがない。

私が黙ったからか、足首に唇付けて舐めて来た、どうやら始まってしまったらしい。
足を持ち上げられてるせいで、緩い裾なんだから捲れ上がって太腿まで見えてる、そしてどんどん舐め進んで本当に太腿にも口を付け始めた。


「やわ、気持ちーここ。」


身体を少し前に倒して、膝の裏を手で支えながら内腿舐めてる姿には流石に目を逸らした。何か恥ずかしくなってきたし、ふわふわした毛先が肌に触れてくすぐったい、何より格好が……何これ、なんでこんな格好してんの私。


「っ、……じゅるって聞こえた……」

「興奮し過ぎてよだれ出た」

「…………ふ、ふふっ、馬鹿じゃないの」


恥ずかしいから手で顔隠してたけど、もう意味が分からないよ、発言おかしいよね、思わず笑っちゃったし指の隙間からチラッと見たら銀さんも口元笑ってた。


「、ん、……ねぇそんな付けなくても良くない?」

「どんだけ付けても足りねぇよ」

「えぇ? もー、ペロペロし過ぎ。はい終わり、ご飯作ってくる。」

「んじゃこれ最後」

「んっ! っ、た、」


思いっきり吸われた、痛みを伴うくらい吸い付いて来たよね今、しかも付け根ギリギリだし下着見えたんじゃないの。


「白」

「言わなくて良いよ」


見えたんじゃなくて見たんだ、変態め。

至極楽しそうな顔して手を引っ張り起こしてくれた、ついでに額にキスされたけど、さっきまで人の脚舐めまくってたの見てたんだから癒されない。
と、思ったのに、何で嬉しいとか思っちゃうんだろう。額に唇くっ付けながら手の平で片頬覆われて、それが温かくて気持ちいいから自分の手を上から重ねてしまう。

瞼に触れた唇が目尻から頬骨に下りて顔中に温もりが降ってくる、ほんの軽く触れるだけのふんわりした温かさ。片手で支えてくれてる背中からもじんわり温かくなってきてる。

癒し求めて傍に寄ったら脚舐められて、相変わらず変な事したがると思ったのに急にこうやって優しく触れてくるから結局ふわふわして来た。


「そーゆー顔すっから俺が付け上がんだぞ。」


頬にあった手がクイっと顔を上げさせて直ぐ目の前に銀さんの顔。だってさ、こんな優しく触れられて嬉しくならない訳無くない? 大事な物を壊さないようにそっと触れてるみたいにゆっくり触れてくれるんだもん。さっきまでペロペロ舐めてたのにどうしたのさ、そんな優しい触り方されたら直ぐ、まぁ良いかってなっちゃうんだよ私だって。


「早く逃げ無いとチューしちゃうよー。」


こんな唇ギリギリで何を言うかな。この流れだと優しいやつしてくれるんじゃないの、ほっこりするやつ。でもちょっと笑ってるから違うの来るのかな。


「……ん、」


自分からくっ付けといて変な声出た。ちょっと顔を前に出すだけで直ぐ触れるくらい近かったから、銀さんがしてくれる優しいやつを自分から。軽くくっ付けて唇食べるみたいにやんわり覆って沿わせながら離し、聞こえるのは小さなリップ音。

そしてダッシュで逃げる。


掴まれるかと思ったけど大丈夫だった、逃げ切れた。
あっつ、凄い熱い、照れるならやらなきゃ良いのに。でも目の前にあったんだもん、されるのとするのだとやっぱり違うな、慣れてきたかなって思っても最近銀さん唇舐めてくるから慣れが飛んだ気がする。だから私がさっとして逃げれば優しいやつで終わるかと思って、あっついけど作戦は成功だと思う、熱いけど。



・・・



「ただいま帰りましたー、って銀さん何してるんですか?」

「……何でもない」


最近の成長ぶりが心臓に悪くなってきた、なんせ突然来る、してって言わなきゃ自分からなんぞ殆んどして来ねぇのに。しかも軽く触れただけじゃなかった、確実に一回覆われたし可愛らしいリップ音付きだし。逃げたあいつを追う余裕すら奪われて無様にソファーに転がる俺を誰か笑ってくれ。





余韻が長すぎたのか転がる俺を他所に食材を持ち戻って来た名前は普通だった。きっとあの後直ぐに追い掛けたら全力で照れてるであろう顔を拝めたんだろうが、如何せん俺も無事では済まないしお互い照れてちゃ何も出来ねぇ。


作りながら焼いて食うらしくホットプレートが乗せられたテーブルに食材が並んでるが、餡子まであんだけど何これ俺用?
つか、餃子の具以外にチーズは良いとして酢昆布まであるが、まさか入れるつもりか。


「特製餃子作るアル!」

「プレートに入る大きさじゃないと焼けないからね?」

「いや待てどんだけデケェの作る気だよ。つか何でこんな色々あんの? 」

「皆で好きなの包んで食べたら楽しいじゃない?」

「流石に無いと思ったんですけどね、名前さんが餡子も出すって言うから一応持って来ました」

「餡子は良んだ餡子は、じゃなくてこれハンバーグじゃね? 何で食材として並んでんの?」

「新八くんハンバーグ好きだから詰めれるように小さいの作ったの」

「丁度包める大きさでしたよ!」

「良かった! タレはこれねっ」


タレまで種類あったのか、皮を繋ぎ合わせてる神楽の隣で新八も楽しそうにハンバーグを包んでる、そのままタレに付けて食った方が旨いんじゃねぇか? それは既に完成形態だぞ。


「あ? これ、バナナ?」

「そう、餡子だけじゃ寂しいかと思って。苺高かったから。」


チラリと目線だけで隣を見れば特に変わりなくチーズを皮に乗せてる姿。どうやらバナナが解禁されたらしい、サイコロぐれぇ小さいけどな、切り刻まれてる。大丈夫、きっと他意は無い、皮に包みやすい大きさに切ってくれただけだよな? 餡子の中に入れれるようにだよな? 有り難く包もう。


「餡子とバナナの餃子って美味しいんですかね。」

「美味しいに決まってんだろ、文句無しのトッピングじゃねーか。な?」

「まぁ不味くは無さそう。おやつっぽいけどね、ご飯には合うかどうかは別だけど。」

「合うだろ、炭水化物と甘いモンは太古の昔から合うとされてんだ」

「そうだった。あ、ご飯と餡子の餃子も作れるね。」

「お前天才か」


最初に宇治銀時丼を隣で食った時は口に運ぶまでじっと見られて、食ったら何も言わず静かに頷かれた。試しに一口どうかと思って口まで運んだら無表情ではあったが食ってくれたけど、つぶ餡は好きじゃねぇらしい。でもたまに作ってくれっし今じゃこうやって餡子出してくれる、こうゆう所は全く引いたりしねぇなバナナの件は全力で引いてたけど。


「ハンバーグ餃子美味しいです!」

「本当?良かった!チーズも入れてみる? 」

「そうですね!大根おろしも入れてみようかな。」

「和風になるね!」


チーズ入れてるのに?
餡子は安定の旨さだ、飯入れても旨いしバナナも勿論合う。


「神楽ちゃんの焼けるまでに時間掛かりそうだから他の食べてたら良いよ、私沢山作ったからこっちも食べて?」

「食べるアルー!」


プレート半分以上使ってるからな、そりゃ焼けるまでに時間掛かるわ蓋閉まんねぇし。
しかも所々皮が破れてる、どんだけ詰め込んだんだ。


「あ、うま。何これ豆腐?」

「うんお豆腐入れた、後キャベツも。」


さっき渡されたチーズのも旨かったし卵入ってんのもある、迷わず包んでる所を見ると慣れてんな、あっちでやってたんか。……誰とだろう、これやるなら家だよな、そして複数名居るだろうし女だけとは限らない。親しい男が居なくても、もしかして隣に座って来る奴は居たりしちゃってた? 触って来はしなくても作ってと言われれば作るよなきっと今みたいに。


「酢昆布餃子美味しいネ!」

「良いアクセントになってるのかな?」


デケェ餃子を頬張る姿を見ても一度頭に過った隣に居たかも知れねぇ男が気になって仕方ねぇ。








「楽しかったね、お妙ちゃんとやる時はもう少し材料増やそっか」

「それあっちでやった事あんの?」

「あるよ? 何で?」

「いやぁ、慣れてんなって、ほら餃子に包んでたの旨かったし。」

「なら良かった! ありがとうっ」


笑顔で布団敷いてる隣でただ見てるだけの俺。別に良いんだけどよ、そもそも男が隣に居たとしてソイツに作ったとしても、こいつはもう戻らねぇし親しい仲だったワケでもねぇ。


「……男も居た?」

「え?」

「それ複数人で集まってやった感じだろ? 男も居たりすんの?」


シーツを敷いてる手が止まってこっち向いたから俺が代わりに敷く、面と向かって話す内容でも無いしな。別に照れ隠しでもねぇから、敷かなきゃ寝れねぇしさっきからやらせてばっかで俺何もしてねぇし。だから下から覗き込んで来んのやめろ、何だよ、何笑ってんの。


「……シーツ敷けねんだけど」

「それはやきもち焼いてるの? 」


ド直球だなコノヤロー。

頬を押して退けさせ敷くのを再開しても楽しそうに笑ってる声が聞こえてくる。分かってんだよ、んな気にする事でも無ェって事も別に何も無ェんだって事も。


「私の家でやる時は居ないけど友達の家でやる時は居たりもしたかな、でも私の友達じゃないし連絡先も知らないし、その時ちょっと話す程度で何も無いよ。」

「……作ってやったの」

「作ったのを食べてはいただろうけど、わざわざ作って渡した訳ではないよ? 」

「触られたりしねぇの? 大抵酒入ってたりすんだろ。」

「まぁお酒飲んではいるけどそんな泥酔する程皆飲まないし、変な人なら友達も呼ばないよ。ただ作って食べてただけだよ」


それでも俺の知らねぇお前が居んだって事が妙に引っ掛かった。あっちではどんな顔してたのかとか、きっと楽しそうにしてんだろうけど俺の知らねぇ奴等に囲まれて笑ってたと思うと分けわかんねぇ感情が渦巻いて、それがどんどん押し寄せて来るみてぇに、いつもの触りたいって感情じゃ無くその記憶が全部俺になれば良いのにとガキみてぇな理由で組み敷いた。

けど多分乱暴だったと思うのに、真下に居るこいつは何て事無いように抵抗もせず横たわったままだ。


「……悪い、」


こんな感情で触りたくない、過去なんざ気にして何になる。しかもただ同じ室内に居ただけじゃねぇか。俺の知らねぇコイツを知ってようが今のコイツを知ってんのは俺だ、それで良いじゃねぇか。


「今日は銀さん下になって?」

「……は?」

「私が触るから」


大人しく転がってた身体が起き上がり俺の肩を押して布団に寝かせてきた、自分は立ち上がり電気を消してから毛布を持って布団に入るいつもの就寝、では無く、俺の上に乗ってきたよ。身体をぴったりくっ付けて胸元に顔がある。


「ふふ、」


何やってんの? 笑いながら指で軽く寝間着の合わせめ開いて唇付けてんだけど、一度触れ直ぐに見上げて来たが何故そんなに楽しそうに笑ってんだ。今何始まってんの?


「鎖骨発見」

「……噛むなよ」

「んむぅ」


何だその反応は。噛みてぇの?
にこやかに指でなぞってってけど俺は少し変な気分になって来たんだが、狙ってやってんだよな? 俺のモヤモヤした思考を払ってくれようとしてるのは分かるが、そのやり方は高ぶっちゃうヤツなの分かるよな?


「っ、」

「舐めちゃったー、ふふ、」


舐められた、舐められた!? 何してんだマジで、鎖骨好きなの?


「喉って急遽だよね」


……おい待て噛む気か? 怖いんだけど、そんな喉ギリギリでんな事言われたら構えるだろうが、けど身に覚えがある。怖いって言われたわ、怖いね、ごめんこれ怖いね。俺噛むし余計怖いよね。


「……っ……は、」

「ふふ、」


声が漏れた。別に噛まれてねぇけどよ、つか何これ。何かちょっとアレな空気、お前の苦手な空気じゃねぇの? するのは良いの? 今すげェねっとり喉舐めて来たよね、思わず声が漏れたし自分の身体が揺れたのが分かった。そして聞こえた笑い声。

多分触ったら終わんだろうな。戯れてぇワケじゃなく、触るより触られる方が俺が満たされると思ったからこんな事し始めてんだと思う。モヤモヤしたまま触りたくねぇと思ったのは事実だしお陰で今はもう無い。

身体が密着してるからあったけぇし柔らかい、首筋に優しく触れる唇も時折舐められて反応しちまうけど俺の為にやってくれてんだ。俺を想い、俺の事を考えながら触れてくれてる、だからこんなにも温かいし、どんどん心も満たされていく。


「あむ」

「っ、ちょ、と、待て。」


あむって、効果音付きかよ。いや効果音は良いんだ、寧ろ可愛らしくも思う、けどやってる事はダメな領域だ、耳朶ダメだもうダメだ。


「ん、凄いどんどん熱くなって来た」

「ぁ、…ちょっと待てマジで、ヤバいヤバい」

「手ぇだめ。」


退けさせようと肩を押したら拒否られた。

いやダメじゃなくて。そんな細ェ腕で布団に押さえ付けられても簡単に振り払える、振り払えるけどッ!


「はむっ」

「ぅっ、……もう良い、もう良いから、ちょっと止まれって」

「は、あっつ」


おいィィィィィ!? 聞いてんのか俺の話を!? 人の耳食ってんじゃ無い!いや、すっげイイけど!けど止めろ!その台詞も耳元で止めろ、耳処か違うトコ熱くなりそうだしもうヤベェからマジで。


「私は銀さんが大好きだよ。男の人に触られたいとも触りたいとも思った事無かったけど、銀さんが頭撫でてくれたりハグしてくれるの最初から好きだった。今じゃ私も触りたいって思うし、こうやってじゃれるの楽しい。」


「こうやって触りたくなるの銀さんだけ」とコソッと教えてくれるみたいに耳元で囁かれた台詞に、危うくおかしな方向に高ぶりそうだった熱が喜びに紛れて落ち着いてきた。

抱き締めようと腕を動かしても今度は止められる事は無くすんなり背中にたどり着く。


「……ありがとな」

「銀さんがいつもしてくれる事だよ」

「俺に舐められんの喜んでくれてたの?」

「あっ、いつも安心させようとしてくれるでしょって意味……、不安消そうとしてくれるの。」

「あぁ成る程。」

「……舐められて喜んだ?」

「喜んだ」


そりゃ喜ぶだろ、誰でも無ェお前だぞ。寧ろ喜ばねぇでどうすんだ。


「……ちゅーしたらもっと喜ぶ?」

「すっげぇ喜ぶ、してくれんの?」

「……うん、」

「今日したみてぇにやって。」


さっきまで楽しそうで照れても無かったのに、真上に来た顔は目が合ったら直ぐ逸らされるし戸惑いが見て分かる。


「1回、だけだからね?」

「うん」


唇スレスレまで下りてきて止まり一瞬視線が重なったが直ぐに逸らされる、それでもじっと見てたら一呼吸のあと瞼を伏せ軽く触れた温もり、そしてその唇が触れたまま開き俺の口を覆って沿わせるように閉じて行く。ゆっくりと一つ一つ確かめるように動く様に大人しく何もせず見てたから、離れる途中で開いた目と直ぐに重なった。


「……何で見てるの、目瞑ってよ。」

「勿体無ェじゃん?」

「意味が分からない」


俺の肩に額付けて顔を隠すように倒れてくるお前の方が意味分かんねぇよ。お前さっき耳舐めてたろ、寧ろかぶり付いて来てたろうが、なのに何でこれはそんな照れてんだ。


「お前あっついぞ、俺より熱い。」

「……何で、ちゅーしたらこんな熱くなる……」

「ホントな、心拍すげェわ。ちょっと落ち着け」


抱き締めたまま横向きに倒れたら丁度腕に頭が乗っていつもの体勢だ、指にサラサラの髪を絡ませながらこれもいつものように撫でればすり寄って来るのもいつもと同じ。そして顔が緩んじまうのもいつもの事だし、直ぐ寝息聞こえんのも毎度お馴染み寝るのが早い。


だけど安心すんだと。俺が抱き締めて頭撫でたら安心と心地好さに意識保てないらしい、落ち着く体温だと言われ喜ばないワケが無ェ。だから好きなだけ安心すれば良い、俺はその安心に心地好さを感じるし、何つーか、ホッとする。つまり、これはあれだ。






癒されてんだろうな



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