トリップ続編 | ナノ
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「お仕事見付かった?」

「んーや」


あの戦場が嘘のようにまた平和な日々を過ごし、依頼も無く銀さんも変わらずグータラしているけど見慣れたから特に何も思わない。
だけど水鉄砲で負けた清算をする為だと怒りながら新八くんが銀さんの背中を押し仕事を探しに出歩いているらしく、けどそんな簡単にも見付かる筈も無く2日目の今日も収穫無しだったみたい。


「けど、確かに仕事しねぇと。お前働いてんのに俺食ってるだけとかどう考えてもおかしいわ。」


別に私は養ってるつもりなんて無いし好きで働いてる訳だから問題ないけど、でも真面目に考えるモードに入ってるなら珍しいから敢えて何も言わずそのままにしておこう。


「……出稼ぎに出るべきか。」


何処に? 万事屋以外で働くって事? え、銀さんって働けるの?


「失礼なヤツだな、俺だって働けるっつの。」

「わっ! え、ごめん声に出てた?」


びっくりしてお野菜が鍋に入りきらず床に落ちた、銀さんが直ぐ拾って洗い鍋に放り込んでくれたけど。


「ありがとう」

「ん。 」


イチゴ牛乳を持ったまま器用だな


「銀さん器用だし何でも出来そうなのにね。」

「お前さっきバカにした癖に何言ってんだ。」

「協調性がいまいちだから探すのが大変なのかも。」

「……あぁ、うん。素直な感想ありがとう。」


わしゃわしゃと乱暴に頭を撫でられたけど本当に何でも出来ると思うの、自由に動けるお仕事なら。


「万事屋さんって、銀さんにぴったりだよね。長期間何処かで働くのは無理でも、依頼で短期間なら適応出来るし順応も早いし器用だし。万事屋がもっと広まればお仕事簡単に増えるだろうけど、そしたら銀さん家に殆ど居なくなっちゃうからちょっと寂しい。私付いて行けないやつ増えちゃったら出張も多くなっちゃうし、お金は勿論大事だけど、お金無くても銀さんが銀さんなら文句無いし、私だけ働いてるとか思わないから良いのに。でも折角真面目に考えてるモードだし新八くん達のお給料の事もあるから…………あれ、…………」


待って何処から口に出してた? 手元意識しながら話してたからベラベラ喋ってた。全部口に出してた?


「……んっ!? ふっ、ちょっ、」


包丁が手から抜かれたと思ったら横から頬を掴まれて顔が上がった瞬間唇が合わさった。

ふわっと香る甘い匂い、銀さんがさっきまで飲んでたイチゴ牛乳だ。


「……お前も行ける日に仕事探してくるわ。」

「は、……ぅん、」


余計な事言ったかも、台所から出て行く前に見えた銀さんの顔が真剣な顔だった。









「それじゃ、そっちはお願いしますね。」

「おー、終わったら行くから頑張れよ。」

「仕事忘れて名前に迷惑掛けるなヨ。」

「大丈夫だって、な? 頑張ろーね名前ちゃん。」


本当に余計な事言ったわ、あの日の私に注意したい。

あれから見事に仕事を探して来た二人、2つの仕事日が重なったらしく、しかも私は午後から配達あるから午前中だけしか参加出来ない。新八くんが探して来た方は力仕事みたいだから私は午前中だけで終わる銀さんの方に行く事になった。 銀さんは、私が出来る仕事を探して来たと、それも行ける時間をしっかり確認もしてくれて最初喜んだけどさっき内容を聞いて後悔せずにはいられない。だって絶対わざと変なの探してきたよね、探すのが大変だったとか行ってたけど、それ仕事じゃなくて変なの探してるから大変だっただけじゃないの。そんな頑張り要らないよ。





「もう少し脚入れて貰って良いですか? 彼女さんはもう少し照れて下さい。」

「ほらー、だから言ってんだろぉ? ちゅーしてやろっか? 」

「いらない。」


さっきからニヤニヤニヤニヤと。そんなに楽しいの? こんな人様の前で服乱されて、銀さん以外皆女性だけど。

何で漫画家にツテなんてあるんだ。デッサンのモデルって言うのは分かるけど何でこんないかがわしいモデルの仕事をわざわざ探して来たの? おかしいよね、絶対わざとだよね。

仕事現場のご自宅に着くなり着物に着替えさせられた。銀さんは元々着物だから良いって言うのは納得出来るけど、何で私だけこんな脱がされかけてるの? 脚の間にある銀さんの片足が付け根まで上って裾捲れてるし胸元の合わせ目崩されて肩から着物落ちて来てるんだけど。これは一体どんな漫画なの。


「はい、次そのまま机の上に倒して下さい。」

「すっげ興奮すんな?」

「全然しないんだけど。」


これの何処に興奮する要素があるの?

寄り掛かってた机の上に寝かせられて足が浮いた。脚の間に銀さんの身体が入って来てさっきより着物捲れるし、銀さんは身体起こして見下ろして来てるけど最早ニヤニヤ通り越して目を細めて薄く笑ってる。え、こわ。


「彼女さんで大丈夫なんですよね? 触って貰うの平気ですか? 」

「大丈夫っすよー、何処触ります?」

「身体倒して進めてくれたら大丈夫です。」

「りょーかいしましたァ。」


楽しそうね。いや本当、凄く楽しそうね?


ぐっと倒れて来た銀さんの顔が首筋に埋まった、いつもの事だけどいつもと違う、とても冷静に銀髪が揺れる毛先を眺められる。


(人見てるとドキドキしてくんねんだ?)

(お仕事だもん)


耳元で小声で話し掛けてきた問いに答えたら小さく笑われた。

温かいとは思うけどね、熱くはならない。でもそれは銀さんもでしょ、楽しそうだけど遊んでるって感じで欲を乗せて触ってきてない。楽しそうだけど。


「はい、起きて大丈夫です。次逆になれます? 」

「んじゃ、はい、おっきしてー。」


どんだけ楽しそうなの。背中に腕を通して抱き締めなから起こしてくれた、明るい声を出しながら。


「わっ、」

「お尻らへん触ってて貰えますか?」


机の上に座った銀さんの脚を跨ぐように膝で立たされて裾から入って来た手が太腿の裏に置かれた。下着ギリギリのラインを指でなぞって胸元に顔を寄せて来てる。


(これ家でやったら絶対ェ怖がりそうなのにな?)

(空気のせい。)


はだけた合わせ目で喋るから息が肌に当たってくすぐったい、おまけにふわふわした髪の毛も当たって余計くすぐったい。


(ちょ、と……!)

(蹴りばっかしてっから固くなってきてんじゃん、揉んでほぐしとく?)


何なの!? お尻揉んで来るんですけど!! しかも両手で!そんな事リクエストされてないよね!


(やめてよ!)

(だってお尻触っててって言われたしィ?)

(揉めとは言ってないでしょ!)


「胸元に顔埋めといて下さいますか?」


(やりィ)

(ちょっ、! 舐めろとは言ってないでしょ!?)


「彼女さん抵抗は要らないです」

「……すみません」


肩に置いてた手で身体を押したら注意された、そしてニヤニヤする銀さんが見上げてくるのが腹立つ。


(お、これ俺選んだヤツじゃん。)

(っ!?)


何なんだこの人は! 歯で合わせ目引っ張って更に広げてきた、もう露出狂だよ私!


(止めてよ変態っ!)

(抵抗したらまた注意されんぞ、仕事なんだから。)


だから吸い付けなんて言われて無いでしょ!?


(やっぱ小さか無ェじゃん、ふっくらしてる。)

(いや膨らみくらい私にだってある、余らないって言ってるだけ)

(ふーん)

(広げないでよ! 何してるの!? )


お尻から離れた手が合わせ目から入って来て、もう前全開何ですけど!?


(サイズぴったりだな)

(本当ね、それは凄いと思ったわ。)

(もう座んな、脚疲れたっしょ)


腰を掴んで下ろされて、銀さんの顔が目線より高くなり見上げるようになる。


(すげェ乱されちゃってる)

(銀さんにね)

(俺以外に遊ばれんなよ)


下から掬うように顎を持ち上げられ、何の事言ってるのか分からなくて正面にある銀さんを見つめてたら、困ったような顔しながら近付いて来て唇が重なった。

ちう、と小さく音が響いた後に追って聞こえる女性のざわめき声。


「ありがとうございまーす! 次床座った状態で彼女さんが上でお願いします!」

「その前に少し休憩させてやっても良いっすかね? 服乱れちゃったし俺直すの手伝って来ますんで。」

「そうですね!なら30分休憩取ってから再開にしましょう。」


銀さんに手を引かれて着替えるのに使った部屋に連れて来られた。まだあるんだ、私上って何。


「ほれ、水飲んどけ。」

「…、ありがと。」

「全然照れなかったのにな? 何でキス一つでそんな照れる? 」

「……だって、」


そんなの分からないよ、勝手に熱くなるんだもん。


「てか何なのこれ、どんな漫画なの。」

「遊女とにゃんにゃんする漫画。」

「……」


あぁ、だから遊ばれんなよって? 私遊女だったんだ、知らなかった。


「次俺下かぁ、ご奉仕楽しみ。」


私の唇に付いてたんであろう水を指で掬い、楽しそうに笑いながら舌で舐め取り部屋を出て行った後を追う。


私も好きだよ、お遊びなら。

その余裕そうなお顔をちょっとでも崩す事出来ないかな。



・・・



「それじゃあ再開しますね、彼女さん側から迫って貰えますか?」

「分かりました。」


片足を伸ばし胡座を崩したように座って手を後ろに付け楽しそうに口角を上げてる銀さん、その正面に腰を下ろし片手で頬を触りもう片方は胸元に当て触れるギリギリまで下から唇を寄せて止める。


「そのままストップでお願いします!」


目が少し大きく見開いた銀さんに笑って頬に当ててる指で撫でると眉間に皺が寄った。


「はい、おっけーでーす、進めて下さーい。」


唇の下を少しだけ舐めたら目が細くなって見られたけど、気にせずわざとらしく見上げながら合わせ目から見える肌を指で撫でる


「おにーさん、脚に乗ってもいーですか?」

「……どーぞ?」


伸ばしてる片脚に跨がって軽く体温感じるくらいは座り人差し指だけ服に引っ掛け、くいっとインナーごと引っ張ると引き締まった線が見えて来た。
唇をそっと寄せたら当たり前だけど頬より硬く、改めて見ると筋肉も凄い。銀さんみたいに吸い付いてもきっと綺麗に付かないから止めて、指で筋肉の線をなぞりながらピクリと揺れる身体にまた唇を寄せる


(……あんま下行くんじゃ無ェぞ。)


何も言われないし時折微かに揺れる身体に楽しくなって、どんどん着物崩して唇寄せてたら上から小声が降って来た。
ご奉仕って言うから、それっぽい事した方が良いのかと思ったのに、違ったのかな。


(ご奉仕して欲しいんじゃないの?)

(……は? いやそうじゃねぇよ、そうゆう意味で言ったんじゃねぇから。)


違ったんだ、ならやっぱり同じ事するしかないかな。
鎖骨まで戻って唇で触れ、前髪辺りに息が掛かって見上げたら眉間に皺寄ってちょっと苦しそうな顔してたけどこの空間で怪しげな空気にはならないから大丈夫。
それにしても鎖骨の皮膚ってこんなに薄いんだ、もろ骨じゃん。


「っ、」

(ごっ、ごめん、!)


噛んじゃった……!! しかもガリッと……っ、


「はぁ、躾なってねぇな。お仕置き必要だと思いません?」

「どうぞどうぞ、お任せしまーす。」

「あわわわっ、ご、ごめっ、うっ……!」


許されない!押し倒されたし、お目めギラ付いてるし膝でまた捲って来るしっ


(俺最近噛んで無ェのに)

(ご、ごめんね、本当にごめ、っ!? )


……痛い噛まれた。鎖骨噛まれた、謝ったのに。

一気に悲しい気持ちになって力が抜けた、これ血出てるんじゃないの。


「いっ!? たい、」


何で肩噛んだの!? 何でまた脱がしてきてるの、私鎖骨一回噛んだだけだよね!?


(ちょっ、!?)


「客に歯形付けるたァ、随分お行儀悪ィな。教育不足か? そんなんじゃ可愛がって貰え無ェぞ。」

「っ!? ……っ、」


頬ごと口を掴まれて顔を横向きで固定されたと思ったら、引き離そうと抵抗した両手も頭の上で押さえられて、耳元で聞こえた台詞の直後耳の裏を噛まれた。


何これ酷い。あちこち痛いしヒリヒリする。遊女にこんな乱暴するなんてきっと追放されるよ、もうこの人は出入り禁止決定だよ。ざまみろだ。


「何だその目。反省して無ェの?」


え、目こわ。上から覗き込んで来た銀さんの目が冷たい、てか銀さん普通に喋ってる。これデッサンのモデルなのに、何でそんなに入りきってるの? 私噛まれて心折れたからもう出来ないよ。


「あっそ? なら反省するまでたっぷり可愛がってやろうか。使えなくなって捨てられたら、俺が拾ってやるよ。」


遊女潰す気!?!? この人遊女潰すまでいたぶる気なの!? 何する気なの!? こっ、こわ!こわい!


「あれ、どうしたよ。んな怯えた顔しちゃって、反省した? 今謝るなら許してやってもいーけど?」


一回噛んだだけで、三回も噛まれた挙げ句潰すまでいたぶって来ようとしてる癖に、何でこっちが謝らないとならないんだ。酷い、非道だよこの人。
と言うか、私謝ったよね? 最初にちゃんと謝ったよ。


だけど塞がれてた口から手が緩み今なら文句言えるけど言葉が出ない。至近距離から見下ろして来て至極楽しそうに笑ってるけどこわい。
緩んだ指が片手で両頬をゆるゆると撫でて来る、まるで早く言えと急かされてるようだ。こわ。


「言わねーの? 」


ねぇ、これやった事あるの? 貴方遊女潰した事あるの? 頬を弄くってた手が一度首を掴んでから親指が唇に置かれた。今首絞めようとした? え、こっわ。


「っ!……ったい、っ、」


私の脚を身体で押さえてるのはわざとだ、私が蹴るかもしれないから。掴まれてる手に力が入って痛みを伴う、こうなる前から抵抗はしてた、でもビクともしなかった。

今の銀さんは私に悪戯してるんじゃない、遊女のフリした私、いつもの戯れなら逃げ道作ってくれるし痛みなんて与えて来ない。私の力じゃ、この人から抜けれ無い。こんな時に特訓の事考えてる場合じゃないけど、銀さんだから抵抗出来ない以前にこの人から逃れる事は難しい気がする。いや、もしかしたら不可能かも。


「……っ、……ご、めんなさい、」

「はーい、良く出来ましたァ。」


恐ろしい、今さっき首絞めようとした手で頬を優しく撫でてキスしてきた。遊女いたぶって笑ってるよこの人。 ドSめ。


「わー、良かったですー、甘い感じと迷ってたのでいっそ両方描きます! ありがとうございました、助かりました!」

「いえいえー、こちらこそありがとうございました。またのご依頼、是非、お待ちしてまーす。」

「はい、また宜しくお願いします!」








「すげェ楽しい仕事だったな? あんなのなら毎日出来るわ。」

「どんだけ遊女さん潰したいの、店崩壊しちゃうよ。」

「バカ言え、お前いたぶって遊ぶから楽しんだろ。」


潰されるの私か。しかも今いたぶって遊ぶって言ったね? 絶対経験済みだよ。


「遊女さんいたぶった経験がお有りで?」

「遊女は無ェな」


遊女は無い。は、って。は、って言ったね。え、いたぶるの好き? 私出来る? ……痛いよ、えっ、……え、目瞑ってたら終わるかな。


「お前が楽しそうにしながら戯れんのはもっと楽しいよ。」


頭の中読まれた? チラっと横を見上げたら緩く笑って横目で見られてた。


「………私も、そっちが良い。」

「だな。昼飯どっかで食ってく?」

「まさか貰ったお給料で行く気なの?」

「折角だし?」

「お馬鹿。炒飯作ったげるから一回帰るよ、あの子達にお弁当持たせて働かせてるのに外食なんて駄目よ。」

「マジか!お前の炒飯旨いよな、店で食うより断然旨ェから外で食えなくなった。」


時々、いや結構、この大人が可愛く見えて仕方無い。

ヘラっと笑って握ってる手に力が入り、ご機嫌なのが伝わって来る。


さっき散々噛まれたのに、そんな笑顔向けられたら気分が回復してしまう。だってほら、目玉焼き上に乗っけようかなって考えてるもん。







なんならスープも付けようか



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