トリップ続編 | ナノ
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すれ違う人に不審な視線を向けられながら水を汲みに行き、時間は掛かったけど広場の掃除を終え帰る頃にはもう夕方だった。

夕食を食べてる最中も神楽ちゃんは楽しかったとご機嫌で私も神楽ちゃんのお陰で色々学べたから、こっそり感謝してる。



「あれ? 神楽ちゃんは?」

「寝てたから運んだ」


新八くんが帰って片付けを済ませ居間に戻ったら、いつもならまだ起きてる時間なのに神楽ちゃんは寝てしまったらしい。
一番動いてたし疲れたのかな、私も結構疲れた。

だけどまだ私の目的は遂行されてない。そして時間を置けば置くほど本当に銀さんが喜ぶ事なのかと自信が無くなってくる。
でも、外れても次の候補から探すし取り敢えず少しずつ喜ぶ事知って行こう、先ずはありがとうの感謝があるって事を伝えたい。


銀さんも今日は疲れただろうし明日にしようかな。
布団を敷く私の隣で毛布を広げる銀さんは元気そうだけど。


「結局私と神楽ちゃんどっちが色多く付いてたか分からないよね? 」

「同じくれぇだったろ。」

「本当? なら私ペナルティ無し? 」

「神楽の攻撃全部避けてたしな、結構キツかったろ?」

「アクロバティック凄いし神出鬼没だよね。」

「でも残念だわ、折角のイチャ付くチャンスだったのに。」

「特別仕様のやつ? いつものとは違うの?」

「夜バージョン?」


夜バージョン。銀さんの頭には私には計り知れない事が沢山詰まってるから、その夜バージョンはどんなバージョンなのか分からない。
つまり簡単に頷けない。


「する? 夜バージョン。」

「……ペナルティ無いのに?」

「ペナルティ無いのに。」

「どんなバージョンなの?」

「お前が出来る所までで良いよ。」


出来る所までで良いの? なら私がしようとしてた事でも良いって事かな。


電気を消しいつものように布団に入っても、夜バージョンとやらをして来る気配はない。


「……私ね、銀さんにお礼言いたくって、……昨日のと、……許可も、ありがとう。」

「おー」

「……あの、……、辛く、無い……?」


これだけは聞いておきたかった、感謝云々より先ずは銀さんの気持ちに辛さがあるのならそれを消し去らないと。


「無ぇな」

「……え、ほ、本当に?」

「ホントに。だから言えば?」

「っ、……」


胸元を見ながらで銀さんの顔は見れなかった。だけど、やっぱり銀さん、私の事ばっかりじゃない?

言わないのは狡い、だけど言っても狡い。だってこれ、お願いしろって言ってるんだよ。
聞くんじゃ無くてお願いしろと。


「……」

「名前」

「……っ、……わたし、……、今まで、通りで、良い、?」

「良いよ」


どうしてこんなに優しいの、何でそんなに優しい声で言うの。


「……っ、何で、そんな、優しい……っ」

「俺はお前に関して心狭ェし余裕も無ェけど、お前のお願いには寛大だぞ。」

「……ほんとに、ね、甘過ぎて、どう、返したら良いのか、」

「んじゃー、何か特別感あるヤツ教えて。俺にだけの特別なヤツとかねーの?」

「ありますよ、勿論。」


確かに二人とも特別、だけどちゃんと違いはあるの。沖田くんは多分分かってる、だとしても端から見れば同じに見えるのかも知れないし、説明しようにも一言でこれと言えるほど簡単なモノでも無い。
だから私は少しずつ伝えて行きたいと思った、感謝を込めて、言葉と態度で伝えて行きたい。足りなかったら言って欲しい、銀さんがしてくれるように私も何度だって示すから。

先ずは一番大きな違い。


「触りたい、触って欲しいと “欲を込めて” 思うのは銀さんだけ。」


横に並び見下ろしてくる顔、その頬に触れると指先から感じる熱は銀さんの体温だけじゃない。


「こうやって触れるだけで、じんわり自分から発熱してくるの。他の誰にも起きない、銀さんだけ。銀さんに触ってる時だけ。」

「100点満点の解答だな、良く出来ました。」


頬に触れていた私の手の上から大きな手が重なって顔が近くなる。ぎゅっと目を瞑ると柔らかな感触、そして一気に上がる自分の体温。


「うん、すげぇ発熱してる。けど少し下げようか、ちょっとくっ付けただけだからね。」

「調節は、自分じゃ、出来ないの。」

「リモコン何処やったよ」

「銀さんに取られた」

「俺持ってんの? あれー、何処仕舞ったっけなァ」

「っ、もぉ回収っ、しました!」

「ふざけんな返せ」

「直ぐ触る!」


背中の裾から手を入れて腰を撫でられても逃げれない。服の上から胸にまで手を置いてきて、もう……、


「良いや、丁度良いから今日にする。」

「は?」

「ちょっと待っててね」


急に布団から起き上がり寝室を出て行く私を、銀さんはポカンとした顔で見上げて来たけど明日改めてするより今触りたいみたいだから丁度良いんだもん。


・・・



今日にすると謎の言葉を残して突然腕の中から居なくなった。これから夜バージョンじゃねぇの? つか布団入ってから出てく事なんて無いのに何処行ったよ。
良い感じで許容範囲が広くなりそうな雰囲気だったのに一瞬だったな、まぁ俺のせいか。もうちょい付け込むべきだったか? でもさぁ、これに関しては結構俺の事考えてくれてたんだってのが分かったしよ、最初から言われてたヤツだし何を今更気にしてんだとも思うがな。

あいつの中ではしっかり違いがあるらしいから別に構わないし、会うな近付くなとも思わない。
それにあいつを支えてるのは何も俺だけじゃねぇしな、結構な割合をあっちも占めてるのも分かっちゃいる。何にせよ、あいつから幸せ奪いてぇわけじゃ無いんでね、いくら俺だって其処ん所はわきまえてる。だから距離を取る必要なんざ無ェしお前が笑ってられる方を選べば良いと思う。


「あ、良かった起きてた。」

「たりめーだろ、逃げやがって」


布団に肘を付け立てた腕に頭を置きながら待っていたら何も変わらぬ姿で戻って来たけど、目の前に座って話始めるから身体を起こし俺も向かい合って座った。


「逃げたんじゃないよ。あのね、銀さんに感謝の気持ちを込めてありがとうをしたいと思ったの、だから喜ぶ事したいなって。」

「喜ぶ事?」

「うん、沖田くんに男の人が喜びそうな事を聞いてね、私が出来る事で銀さんが喜びそうな内容を私なりにアレンジしてやると良いってアドバイス貰って考えてみたの。」


つまり、こいつが俺の喜びそうな事を今からしてくれるっつー事?
にしても良いアドバイスだな。ピンポイントでアドバイスすれば考えたのは名前じゃねぇから多少違和感出そうだが、本人が俺の喜びそうな事を考えて実行してくれるってのはイイな。しかも多分自分じゃ考え付かない事なんだろ? その為のアドバイスなんだろ、きっと。


「何してくれんの?」

「あ、待って先ず聞いて。今まで通りを受け入れてくれてありがとう、沖田くんは私にとって特別で、でも銀さんも特別でそれぞれ違う。傍に居ることに罪悪感は無い、ただ銀さんに嫌な気持ちにさせてたらって思ってはいた。それでも私は言わなかった、もし止めろと言われても出来ないから、だから知らないフリをした。離れないけど、だけど、銀さんを不安にはさせないから。銀さんが私にしてくれるように私も何度でも伝えるよ、銀さんは私の存在意義なの、銀さんが居れば私何処でも笑えるし幸せだよ。」


良い具合にスイッチ押せたのかね、迷いの無ェ台詞にしっかり前を向いた眼だ。
そうやって笑ってる方が良い、俺の言葉で安心出来んならいくらでも言ってやるよ。


「俺はそんな事で不安になんざなんねーよ。どっちかと言うと俺が離れてくんじゃねェかって思い込まれる方が厄介だわ。」

「……それは、……大丈夫。」

「おい待て何だ今の間は。」

「それでね、今回の喜びそうな事はハードルかなり低いから只の練習って事にするね。また今度ちゃんとするから。」

「無視かよ。 まぁ良いわ、何回言っても分かんねェもんな。叩き込んで行くしかねェか。」

「……え、」

「今日はしないから安心しろよ。」

「……」

「俺の喜ぶ事してくれんだろ? なに?」


凄く悲しいそうな顔をしながらハグを求められた。
つーかハグっていつもと同じじゃねぇか、 するけどよ。

伸ばされた腕に身を寄せて首の裏と腰に腕を回し軽く抱き締める。だけどそのまま布団に入ろうとしたら、しがみ付くように密着して来るモンだから止まった。これはアレか、喜ぶ事をしてくれてんのか。確かに嬉しいわ、こんなぎゅうぎゅうに抱き付いて来られたら顔が緩む。


「……ど?」

「うん、嬉しーわ。」

「あ、やっぱ、こんなんじゃ楽しくないよね、ごめんね」

「は? いや嬉しいって。」

「……」


なんだ? 俺の喜びの表現が薄すぎんの? 顔見てみろって緩んでるから。
けど足りないと思ってんのか更に密着して来て俺としては美味しいわ、何かわざと押し付けて来てる気もするけどな。つかいつもより柔い気ィすんだけど、…………


「……え、」

「……つまんない?」

「いや、ちょっと待って今気付いた。 えっ、着けねーの?」

「ううん、着けてる夜のやつ。言い訳なんだけど、私一人の時も着ける派だから何も着けないのはハードル高くて、だけどせめて薄いの選んだ。」


マジか、薄いって、薄過ぎ無ェ?
いつも下着着けて寝てんのは毎日抱き締めて寝てるから当然知ってた。俺が居るからなのか元々なのかは知らなかったがそれは元々らしい。
だから触る時も当然布越しなワケで、こんな明らかに分かるくらい柔らかい感触にはならない。

そして押し付けて来てんだこの子。強く抱き付いて来てんのかと思ったらわざと押し付けてきてんのね?


「何てアドバイスされたの」

「色々候補あって、その中で胸押し当てられたりするのも男の人嬉しいって。だからそれを私なりにアレンジしでみた。」


なるほど。突然やれば不自然だもんな、誰の差し兼ねかと思うわ嬉しいけど。
なら薄いの着けてんのは自分で考えたんだ、俺が喜ぶと思って? 最高じゃねぇか。


抱き締めたままゆっくり布団に入り込み横になる、チラッと目線だけで見上げて来たけどまた、ぐっと密着して来てどうやらこのまま寝てくれるらしい。

だが、ちょっと待てと言いたい。


「なぁ、ちょっと戯れてから寝ねぇ?」

「戯れ?」

「ただのお遊びって事。」


仰向けになるように転がし、顔の横に腕を置き真上から見つめるとキョトンとしながら視線が重なる。


「何するの?」

「触らして」

「この体勢で? いつもみたいに触ったら良いじゃない。」

「まぁまぁ」


軽く唇を重ねただけで直ぐ黙った、ほんのちょっと当てただけなのにフイっと横を向き指が口元に触れるように動く。

押し倒されても照れやしねぇのにな、こんなんで耳赤ェのが電気消してても分かる。

上に見える頬に唇を寄せ、一度触れてから今度は触れるか触れないかの距離を保ち首筋に移動する、見える所に付けたら怒るから痕は付けず唇を当てるだけ。


「っ、」


舐めはするけどな。舌先で軽く舐め上げただけでピクリと揺れるイイ反応が返ってくる、だけどまだビビって貰っちゃ困るから程ほどにしねぇと。


「うっ、」

「やわっけぇ」


何これ癒される。やっぱこいつから癒しの波長か何か出てんのかな、決して胸触ってるだけで癒されてる訳では無い、気持ちーけど。

そっと触れても特に反応はされなかったから、よりハッキリ形を確認するように指で撫でたら反応があった。
眉間に皺寄ってっけど。

額に唇を当てると閉じられていた瞼が上がり視線が重なる、困ったような顔されたが制止の言葉は出ないから頑張んのか?


「まだ頑張んの?」

「……がんばる」


ほぉ、マジか。 あぁこれ俺へのお礼なんだっけ。なら今ご褒美受けてんだ。

顔を寄せたらちゃんと上を向いて瞼が伏せられる。
頬を撫でながらゆっくり食ませて直ぐ隙間を作り、短く漏れる吐息の後にまた同じ事を繰り返す、あまり急激な刺激は与えずゆっくりゆっくり中から熱くなるように。




「……、ん、……っ、」


ピクリ揺れる反応と共に聞こえた吐息は、息苦しさから出たものではない。それを確信付けるように顔を横に向け手の甲を口元に押し付けてる、軽く汗かいてんのか呼吸も少し荒くなってんな。


「っ、……っ、う、……銀さ、」

「イヤだ?」

「そ、じゃないけど、っ、……、」

「じゃ、もうちょい触らして。」

「……ね、それ、普通に触っ、……っ、銀さっ!」

「んー?」

「うっ、……っ、……、」


嫌だとも止めてとも言わないのは、こいつが頑張ろうと意を決して自分から起こしてる行動だから。俺が突然こんな事をすりゃァきっと怖がるし震える筈、なのに顔を横に向けたまま耐えるように拳を握り抵抗もして来ない。

無遠慮に触ったりはしてない、こんだけ生地が薄けりゃ体温まで感じられるからな。だから軽く触って反応がイイ所撫でてるだけ。


「ん、ぁ……っ、…………」

「おい口は塞ぐな」

「……だって、なんか……っ」

「ぞくぞくする?」

「っ、いじわる、してるの? やだよっ、」

「してねーよ、怖いだけじゃねぇ感覚を知って欲しいだけ。」


口元にある手に舌を這わせると驚いたのか俺の口を塞ぐように手の平で押さえられた。それでも気にせず手の平を舐めたらどんどん弱まる力、胸に置いたままの手でゆっくり揉むように形を変えれば、


「あっ、……っっ、うぅ!」

「ははっ、んな照れんでも」


顔が真っ正面だったから聞こえた瞬間に直ぐに目が合った、恥ずかしそうに歪んだ顔が自分の下唇を噛みながら睨んで来る。


「……もう、終わる?」

「良いよ」


今のは終わってって言うお願いだろうな、ホッとした顔して頬の熱を冷ましてるんだか手の平を当ててる。


「終わってあげるから最後にちゅーしてい?」

「うん」

「じゃ、口開けて。」

「……」


そっちかよって顔に書いてある。だって身体強張るからあんましねぇもん、頑張ってる心持ちの今の方がお前も良いと思うけどな。


「ほら、開けて?」


軽く顎を支え親指で唇を撫でたら何故か少し頬が膨れた、何が不満だったんだ。


「おっ、い、っ、なに、してんのお前は!?」

「ひー、ひうはい、」


乗せてた親指が今こいつの口の中にある、突然開いた唇がパクりと効果音が付きそうな勢いで食われ、ゆるゆると指の腹を舐めて来てるよ、マジで何をしているんだコイツは。そして何でちょっと笑ってんの。


暫く眺めた後ぐっと親指を押し込み、舌を浮かせるように裏側を撫で指を入れたまま自分の唇で塞ぐ。
目が見開いたのが分かったが、煽ってきたのはお前だかんな。


「っ」


強制的に上げて固定した舌を絡めとり肩を押す手も無視、上顎を舌先で舐めればビクッと反射的なのか喉を反らせて顎が上がる、肩にある手が布団に落ちた処で離れ、口の端から流れた唾液を追うように舐め、大きく呼吸している姿を眺めながら顎に舌を当てたらまた身体が跳ねた。


「はっ、ぁ、……っ、」

「大丈夫、ゆっくり息吐いて。」


大丈夫と言いながらも口は喉に下り、当然だが皮膚は薄く強めに舌を這わせたら直ぐに硬い骨の感触が分かる。


「んっ、……こ、こわいっ、ぎんさ、」

「ん? あぁ、噛まねーよ、大丈夫。」


細ぇなと思って軽く歯で挟んだだけだから噛むつもりは無い。
頭に添えられた手は止めさせようとしてるんだろうけど全く力が入ってねぇから後頭部に乗ってるだけで、俺が手を置いてる胸は未だに大きく呼吸してるせいでドクドクと鳴る振動が手の平に伝わってる来る。


「っ、たい、……っ、ちゅー、で終わるって、ゆったのに……っ!」

「だって煽って来たのはお前だろ?」

「っん、ってない、っ、」


喉に吸い付いたら痛かったらしい、明日はストールでも付けて行って貰おう。

顔を浮かせて見下ろしたら片手を目元に当て隠してた、隠されると余計に見たくなるのは仕方無ェ事だと思うと心の中で言い訳をして、その手首を掴み頭の上で布団に縫い付ける。


…………いつもと何が違ったんだ、空気? いやそんな清々しい空気では無かったぞ、ならこいつの心持ち? 頑張る宣言あったから? にしても何をどう頑張ったらそんな潤んだ目ェして火照った顔になんの。
怯えてる涙じゃねぇだろソレ、身体あっついし。
頑張るっつったらそんな頑張ってくれんの? すげぇな、あっ下着御披露目してくれた時もかなり頑張ってたわ、マジか、今更だがお前の頑張り最高だな。


「…………おわる、?」


不安そうに眉下げて聞いて来た、それさっきも聞いて来たな、終わってやれなかったけど。いつもなら抵抗とか……、下着御披露目ん時も聞いてたな? 頑張ってるからか、だから俺の許可が欲しいのか。つまり俺を楽しませようとしてくれてんだ、だからもう良いかって聞いて来てんだ。


「……俺、いつか抱き潰しちゃいそう。」

「…ん? ハグ? ハグして終わる?」

「ハグして終わる。」


掴んでた手を離せば両腕とも首に巻き付いてきて、浮いた背中に腕を通してから布団に身体を押し付けるように抱き締める。

けどこれじゃ背中痛ぇだろうから直ぐに横に転がり、腕を下ろさせて俺の腕を頭に敷いた。


「良いよ、前から思ってたけど毎回腕枕とか血止まるでしょ、普通に枕で寝るよ。」

「んなヤワじゃねーの、それより脚絡まして」

「なんで?」

「俺の脚の間に入れて」

「いやだから、なんで? 怪しくなるから嫌だよ。」

「なんねーなんねー、太股擦るように入れてね。」

「……」


目が細くなった、なのに膝で脚を撫でて来るから口許がニヤケる。
顔を見上げたままゆっくり脚を入れて身体を密着させて来てんだからな、ニヤケるに決まってる。


「っ、ちょ、と待て、」


何してんだこいつ。そこまで言ってねぇよ、太股押し付けて来てるよね、つか擦ってるよね。


「ぐ、……っおいバカか、止めろふざけんな」

「太股擦れって言ったじゃん。」


ちっげーよ!! いや確かに言ったしこの間借りたけど! 押し付けたし擦り付けたけども! だけど今は違ェだろ!?
脚に沿わせながら入れてっつったの!


「ぁ、…っく、そ、が、」


この間俺がやったの真似して来てやがる、上手い具合に押し付けられて噛み締めた歯の間から声が漏れた。止めさせようにも頭落とすのも気が引けるし、身体に乗っけていた腕も掴まれてる。振り払うのは容易いが勿体無ェと思う自分もいて、止めさせるのを止めたらしい俺の身体は腰を強く引き寄せ頭も抱え込み有り難く頂戴する事にした。


「っ、は、」

「あっつくなってきた」

「オメーの、せいだろ、っ、」

「これ以上したら怒る?」

「は、無理、止めんな動かせ。」

「ふふっ、はい」


何で笑ってんの? 何で楽しそうな顔して笑ってんだよコノヤロー。さっきまで目ェ潤ましてたの誰だよ。
そう思っても今なにか悪戯しようモノなら離れて行くであろう事は簡単に予想出来るから止めておく。多分さっき俺が終始ニヤケてたから悔しかったんだろ、指舐めて来たのもそれが理由だと思う。



「うっ、……っ!」

「っ、ごめん痛かった!? 大丈夫!?」


突然揺れた俺に驚いたのか、寸前に太股を掴んで離させたのに驚いたのか焦った声が腕の中から聞こえた。


「銀さんっ、大丈夫? ごめんね、痛い?」


下を向いて呼吸を整えてる意味が分からないのか、俺の頬を手の平で覆い心配そうに見上げ、労るように頭まで撫でてくんだけど。


「ごめんねっ、」

「は、ちげーって、」


風呂行かねーと。 面倒だか自分で抜くより断然良かった、すげぇ心配されてるけどな、何故分からない。


「先寝てて。」

「っ、」

「……直ぐ戻って来るから、怒ってるワケでもねーし、……水飲んでくる。」

「みず? ……汗かいてるから? 」

「うん、だから水飲んでくる。」

「起きて待ってる。」

「……うん」


布団から出ようとしたら泣きそうな顔して見つめられ、ぐらりと目眩がしたが耐えた。

あっちで特訓してるせいなのか、こんな事も覚えが良い。なのに理解の方はやっぱり追い付いて無ェよな、忘れたのか? それとも俺が悪戯でやる方を真似してみたってか? まぁそれは追々理解貰うとして。



他にもアドバイスに候補あったんだっけ?
何だろう、俺何すりゃソレ頑張ってくれんの。






頑張る宣言を是非



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