トリップ続編 | ナノ
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……珍しく俺の方が早く目が覚めた、今何時だ。

時計を見ようと顔を上げたら腕の中の身体が身動きし始め起こしちまったらしい。


「……ん、」


あれ、寝ぼけてる? 背中に腕が回って抱き付いて来た。腕から落ちた頭が胸元にすり寄って来て微かに触れる息が丁度鎖骨辺りに掛かってくすぐったい。
顔にかかる髪を避けると無防備に寝息をたてながら閉じられた瞼。抱き付き癖付いたんじゃねぇかと最近思う、喜んでる時とか笑顔で抱き付いて見上げてくるからこっちとしても気分イイし何の問題も無い。

だが神楽にも同様に抱き付いて、いや抱き付かれてんのか。たまに新八にも抱き付いてるよな、つまりこれはただの癖であって俺に抱き付く癖が付いたワケじゃ無い所が残念でもある。
それでも元々そんな癖無かったし、自分から来てくれんのはやっぱり嬉しいだろ。


「ん、……ぎんさ、? なんじ、」

「まだ7時前」

「んー、はやおきね、おはよ」

「はよ」


寝起きのやや舌ったらずで ふにゃふにゃした顔して言われると早起きも捨てたもんじゃ無ェなと思えてくるから凄ェよな。

まだ眠いのか瞼が閉じてる時間の方が長い、早起きは三文の徳っつったか、腰を抱き寄せながら伸ばしたまま意味の成さなくなった手を身体の間に忍ばせ、今夜からは恐らく通常状態に戻るであろう柔らかさを緩やかに下から寄せて堪能する。

昨日知った反応がイイ所を指で撫でるとピクッと反応し眉間に皺が寄ったのに、それでも抱き付いて来るから驚く。

これ完全に寝ぼけてるわ、悪戯してんのに抱き付いてくるワケが無いし、そんな無防備にされると悪戯心に火が付いちまう。

直接腰を撫でても逃げてんのか寧ろ身体が寄って来る、調子に乗って裾から手を滑り込ませ背中を下から指先で擽るようになぞってみたら、


「んぁ、ぁっ、……っ、え、なに、」


びっくりした顔してるけど驚いたの俺だから。大きく跳ねた身体と何より甘ったるい声にゾクリと背筋に電気走ったぞ、どうすんだ。


「えっ、なに、なにしてるの、」


背中を直接触れたまま、前にあった手も裾から忍ばせたら手首を掴んで止めて来たがいつも以上に力が弱い。
寝起きだからか、反応がすこぶるイイのも寝起きだから敏感になってんのか。


「やっ、や、も、おきるっ」


身体を押され出来た隙間で身を捩り、目の前に後頭部が来る。逃げようと浮いた身体を後ろから腹に腕を回して止めようとしたのに、手は勝手に胸まで上ってたらしい、くったり力の抜けたように倒れ込んだ身体は小さい吐息のような声を漏らしながら戻って来た。


三文ってどんぐれェ何だろう。

腹を直接撫でながら布団に潜って捲れてる腰に唇を当てズボンのゴムを少し下げて吸い付くと、ビクッと揺れる目の前の身体に堪らずねっとり舌を這わせる。


「あっ、……ゃだっ、」


そんな弱々しいヤダは逆効果だ、みぞおちを指で撫でたら手の甲に温もりが触れた。本人的には掴んで止めてんだろうけど力が弱過ぎて只重ねて来ただけとしか思えない。

布団被ってて良く見えねぇけど更に服を捲り背骨を唾液で濡らし跳ねる身体を堪能、手で口を押さえてるんだか籠ったような声が聞こえて来たけど気にせず吸い付いて痕を付ける。


「んっ!……っん、」


この反応も寝起きだからか、それとも背中だから? 緩やかな愛撫がイイの?


「これきもちー?」

「んぅっ、……っ、ややっ!」


ややってか、何ソレすげぇイイわ。

舌先でなぞったり、吸い付いてねっとり舐め上げたりを繰り返してたら、ふと声が聞こえなくなってる事に気付き布団から出た。


上から顔を覗き込んでもシーツに押し付けるように隠れてて見えない、だけど胸まで上らせた俺の手には変わらず温もりが重なったままだ。

頭に手を置き軽く撫でると、モゾッと動いた顔が半分だけ出て来て片目で見上げて来たけど俺が反省するような顔では無ェわ。


「んな顔して睨まれてもなー。」

「……へんたいっ」

「どうも」

「ほめてない……!」


だって見えた頬も耳も真っ赤だし、俺の手握ったままだし、何なら息ちょっと上がってるし?

膨れたような顔して来るから、つん、と頬を人差し指で突ついたら噛まれた。狂暴だ。


「俺にこうゆう事されんの嫌だ?」

「…………そんな事、ゆってない、」


何で照れるとツンなんの? そんなシーツに顔押し付けたって意味無ェかんな? お前俺の手握ってんの気付いてねぇの?


「なら嫌じゃなかった?」

「………………別に」

「ふっ、くくっ、」

「っっ、もー!! 」


遂に怒り出した、ガバッと起き上がり枕をグイグイ俺の顔に押し付けて来てる。まぁ、こーゆー照れ方も悪くねぇな。


「はいはいごめんねー、ほら落ち着きなさいって。」

「っ、うぅ、」


押し付けて来る枕を掴み後ろに放り投げてから伸ばされてた腕を引っ張り抱き締めれば、唸りながらも背中に腕が回り顔を埋めるように身を寄せて来る。

落ち着かせる為に緩く後頭部を撫でていると、脚の間に収まった身体から力が抜けてくったり寄りかかって来た。


「落ち着いた?」

「……うん」

「でも顔上げてくんねぇんだ?」

「……」


間を置いてゆっくり目線だけ上がった顔はさっきより治まっちゃいるが、まだ頬が赤みを帯びていて表情にも若干の照れが残ってる。


「今日店行ってい?」

「え? 来てくれるの?」


パッと嬉しそうな顔して見上げて来る顔から一気に照れが消え去ってしまった、切り替え早いよなホント。


「昼過ぎに行くわ」

「うんっ、休憩入らないで待ってるねっ」


本当は毎日でも行きてぇけど、金無ェしな。行けば喜んで団子やら饅頭やらを出してくれるが、それは当然ながらお前が働いてる金であってそれを俺の団子代に使うのはおかしいだろ。だからたまに行くくらいに抑えてる。


「朝ご飯作って来るね。」


笑って腕の中から消える温もり、部屋から出る前に名前を呼べばご機嫌で振り向いた顔にこっちまで顔が緩む。


「おはようのちゅーは?」

「ふふっ、そんな事してたっけ?」


言いながら笑って戻って来る姿を座ったまま見上げると、目の前で屈んで顔が近くなる。まさか自分からしてくれんのかと内心驚いてたら、手でサラッと前髪を上げられて柔らかな感触が額に触れた。


「はい、おはよう銀さん。」


そしてふんわり柔らかな笑顔を向け、指で軽く前髪を直した後に去って行き閉められる襖。


「っ、っっぐ、」


っくああああ……!! 何あれ!?
ねぇ何なのあれ!? もぉぉさぁぁあああ、危なく手ェ出そうに何だけど! 布団に引き摺り込みたく何だけど!?

「っはぁ、っ、重症だ、俺ヤベェだろ、何なんだアイツ。兵器か? 」


今近付くのは危険だ、落ち着け、落ち着いて二度寝しよう。

三文以上の得があったから俺はもう満足だ。







今日はお客さんの出入りが少ないみたい、でもこれなら銀さん来た時ゆっくり出来そう。

午前中に沖田くんが来たけど直ぐに呼び出しが掛かって分かりやすく面倒そうな顔をして仕事に戻って行った。


「いらっしゃいま、銀さんっ!」

「おー、お疲れ。すげぇ笑顔な、そんな待ってた?」

「待ってたー!」

「デレデレじゃねぇか。」

「ふふっ、休憩貰って来るからあっちの席で待ってて!」

「おー」

「相席ね!」

「は?」

「デレデレは自分だろう銀時」

「はぁ?」


・・・


端にあるこの席は店内から死角になっていて席があるって事も最初気付かなかったくらい上手く隠されている。そこで待ってろと言われたから向かえば既に先客居るしよ、相席ってこいつか。何でテロリストが堂々と店ん中で団子食ってんだよ。

折角あんな満面の笑みで迎えてくれて気分良かったのに、今目の前に居るのはロン毛のテロリスト。何でだ、二度寝したから?


「何してんだよオメーは。」

「見れば分かるだろう、団子を食いに来たのだ」

「食いに来たのだじゃねぇだろ、アイツの周りウロ付くんじゃねぇよ変なのに巻き込まれたらどうすんだ。」

「だが笑顔で迎えてくれるからな、名前殿は優しい。」


優しいとかの問題でも無ェだろ、ここは真選組の出入りがあるんだ、アイツらはともかく上部とかから疑いでも掛けられたらどうすんだよ。


「お待たせー、これ出来立てのお団子だよ! 桂さんもどーぞ!」

「出来立ては更に旨さが際立つ、いつもすまないな名前殿。」

「いえいえ、こちらこそ、いつもお土産貰っちゃってありがとうございますっ」

「次はオススメの羊羮を買って来よう」

「羊羮! 好きです羊羮、楽しみー!」


仲が良い。何なんだこれは、俺が店に来ない間に更に仲が深まったのか?
つか、もしかしてこの前食ったゼリーコイツから?


「この天然タラシが。」

「え? 」


忘れかけてたわ、そうだった危ねんだよこいつは。あっちこっちで引き寄せて来んだ、トラブルメーカーだった。最近何も無ェけど、だからって油断してたら要らんモンに足突っ込んで来そうだな、気を付けねぇと。


「そう言えば、高杉が江戸に来ると聞いたが、」

「早ェだろォォォ!? もう引き寄せたんかお前は!?」

「どうした銀時、突然大声を出すから名前殿が声も出せないくらい驚いて居るぞ。」


知ってるわ! 団子食おうとしてたんだもんな!突然横向いて叫び出したら口にみたらし付いちゃうよな!ごめんな!?


「ど、どしたの、」

「取り敢えず拭け! 可愛いけど拭け!」

「……」

「照れんなァァァ!! こっちまで照れるッ!」


目を泳がせほんのり染まる頬にこっちまで伝染する。でも今はそんな甘酸っぱい空気出してる場合じゃねえ、何が来るって? 冗談じゃねぇぞ、絶対ェ会わせるワケにはいかねぇ。


「んで、高杉がどうしたって?」

「江戸に来るらしいと情報が入ったから名前殿に知らせようと思ってな。」

「何でこいつに知らせる必要があんだよ。」

「……着物……返したくて……」

「着物? 」


そういや家にあったな、捨てろって言ってんのに絶対高いから駄目だと仕舞われたヤツ。


「桂さん会う予定ありますか?」

「無いな。」

「んー、返す方法って無いのかなぁ。」

「それよりも気を付けた方が良い、日中でもあまり一人で出歩かない事だ。」

「え? 何でですか?」

「あっちから接触して来る可能性があるからだ。」

「あっちから? 高杉さんがですか? 何故?」


何故じゃねぇよ可能性は高い。何しに江戸来んのか知らねぇけど、手の届く距離に居るんだ、危な過ぎる。


「お前暫く不用意に外に出んじゃねぇぞ。」

「じゃあ一緒に出よう? 私着物返したい、後お礼言いたい。」

「そんなの良いから! なに呑気な事言ってんだよ!」

「だって……、凄く助けられた……」


そうだけど! 分かっちゃいるけどよ、癪だけどな!


「一回だけで良い、お手紙でも良いし電話でも良い、一回お礼言えたら、それで良いの。」

「手紙でも良いのなら手段が無い事も無いぞ」

「え!! 本当ですか!?」

「あぁ、手紙と着物を預けてくれるなら何とかしよう。」

「わー! ありがとうございますっ! じゃあ仕事終わったら届けに行きますね!」

「いや、銀時に渡して置いてくれ。恐らく暫くは名前殿に近付けなくなる。」

「えっ、お仕事です? 分かりました、銀さんお願いしても良い?」

「あぁ。」








迎えに来るから店から出るなと言葉を残し、一度帰って行った銀さんは難しい顔をしていた。

関わって欲しく無いんだもんね、でも一回だけで良いからお礼が言いたい、だって私が今もここに居れる理由の1つに高杉さんが居る。しかもあの時、高杉さんに会って居なかったら銀さんの元にたどり着けなかったかもしれないと思うと、やっぱり一言お礼が言いたい。あと着物もいつまでも部屋に置いておく訳にもいかないし。

桂さんが渡してくれるのか預かってくれるみたいで助かった。急いで手紙を書いて銀さんに持って帰って貰ったからこれで私も安心だ。


「お疲れ」

「うん、迎えに来てくれてありがとう!」


さっきよりも顔が穏やかに戻ってるけど、やっぱり固い気がする。
関わらないようにしないと、でも関わる事なんてあるのかな、一般人とテロリストって早々関わんないと思うんだけどな。
それでも銀さんが心配する、気を付けないと。


「なに考えてんの」

「えっ」


いつものように手を繋ぎながら歩いていたら前を向いたまま、そう言われた。


「気を付けねぇと、って思った?」

「思ったよ? 何で?」

「危ない目に合えば俺が心配するから、そしたら、離すかもしんねぇって?」


横目で見下ろされて繋いでる手にも力が入ったのが分かった。

私、今そんな事思った? 関わらないようにしないとって思っただけなのに。……関わらないようにしないと、……銀さんが、心配するから。……気を付けないと、……危険な目に合えば、……、銀さんが……、


「無意識?」

「っ、」

「無意識でもそんな事思っちゃうんだ。」


握られてる力が強い、痛い程では無いけれど、振りほどいても絶対離れ無いくらいには握られてる。


「中々消せねーのな。」

「……」

「どうしたら良い? 何か言って欲しい事ある?」


しっかりと握られたまま、私がいつまでも不安がっている事を消そうとしてくれる、でも、もうそこまで考えてる訳じゃ無いんだけどな。


「……無意識、なら、その内、無くなる、と、思う、」

「それならそれで良い。でも今はあんじゃん? 何か言って欲しいなら言って。」

「……、関わって、欲しく、無いのは、……」

危ないからだけじゃ無いよね?
関わらせたくないんでしょ? 私を、そうゆう争い事に関係させたくないんでしょ?

でも、そんな事聞いて何になるの。
別に関わらせたくないなら関わらなければ良いだけ。それで銀さんが安心するならそれで良いじゃない。


「アイツ絶対ェお前に気ィあるから嫌なんだよ、連れてかれっかも知んねーだろ。」


何それ、私の気持ちを紛らわせようとしてくれてるの?
ほらやっぱり、言わないじゃん。 関わらせたくないのに、そんな意味分からない事言って流そうとしてる。
だから良いのに、銀さんは私から離れないって言ってくれた、何があっても手離さないって言ってくれた。私はその言葉を信じないといけないの、いつまでもグダグダ考えちゃうこの思考を自分で解決していかないといけないの。だって銀さんは手離さないのに、私は手離されるかもって思うのは私の考えが間違ってるからなんでしょ? 私がお願いした、こうやって強く手を握ってと、それをちゃんと叶えてくれてる、だったら私も信じないと。


「……ありがとうね。」

「何が? 気ィ持たれんの嬉しいの?」

「いや、それはもう良いから。」

「何が良いんだよ、良くねぇだろ。今度こそ喰われっかもしんねぇだろ。」

「……うん、気を紛らわせようとしてくれてるのは嬉しいけど、そんな適当に言葉並べられるのは、あまり嬉しくない。」

「適当? 俺マジで言ってんだけど。」

「……え、」


見上げて見えた銀さんがの顔は真剣だった。

……マジで言ってるって、……何を? 今言ってたやつ?

待って、今何の話してるの? 私を争い事に関わらせたくないって話だよね?


「お前ちゃんと分かってんの? 目ェ付けられてんだかんな?」

「目を付けられてる?」

「いやふざけんな、人の話聞いてた?」

「……え、いや、あの、何の話をしているの?」

「だから気ィ持たれてっから誘拐されっかもしんねーだろって。」

「本当に何言ってるの?」


冗談だよね? 今そんな話してないよね? どんな流れでそんな話になったの? 危険な話は?


「甘ェ事考えてっと一瞬だぞ、顔見知りだからって油断すんじゃねぇぞ?」

「冗談だよね? さっきから何の心配してるの?」

「マジだっつってんだろ、大マジだ。」

「……争い事に、関わらせたくないから、そんな事言ってるんでしょ、」

「俺の特訓何だと思ってんだお前。巻き込む気満々だかんな、覚悟しとけよ。」

「……」

「なに泣いてんの。」

「っ、だって、……っ」


巻き込むって、それは銀さんが避けてる事じゃないの?
私を遠ざけるんじゃないの? ほんとに?


「そんなに俺と一緒に居てーの?」

「……っ、いたい、」

「しゃーねぇなァ、なら離すんじゃねーぞ。勝手に決め付けんなっつったろ、成長取り消すぞ。」

「だめです、」


ぎゅっと手を握り返したら痛いくらい力が加わって余計涙が出たけど、離れないで居てくれるなら痛い方が良い。


「ふふっ、嬉しい、ありがとう。」

「ただ今回のは別だかんな、関わったら連れ去られると思え。」

「ははっ、凄い欲目。皆が私に気を持つって思ってるの? どんだけ美化されてるの。」

「……説教しねぇと分かんねぇ?」

「は、え? え、何でそんなおっかない目、ど、どしたの、」


嬉しい気分が一気に引いた、また会話噛み合ってないの?







今何の話してるの



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