トリップ続編 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -








「怒ってねーの?」

「怒ってないよ。」


朝食を作る私の後ろで机に寄り掛かりながら聞いてくるけど本当に怒ってはいない。
私の軽率な発言がいけなかった、と言うか、私の発言が気に食わなかったんだろう。別に自分が特別に思われてないって意味じゃないし、そもそも私怖がって中々銀さんがしたいであろうお相手をしてあげれてないからプロの映像観て楽しむくらいコソッとやってくれれば構わないのに。
でももう良いや、また楽しくねぇんだよって怒りそうだからもう良い言わない。


「あーゆー事を、ちょっとずつやって行こうと思ってるけど?」

「うん」


ちょっとずつなんだ。ゆっくり進めてくれてるの分かってる、面倒だろうなって思うけどそれが嬉しくて甘えてる。銀さんに聞いても面倒とか無いって言うけど、本当かどうかは疑問でしかない。
でも言わない、何かこわいから。


「……何で見てるの」

「いや、大丈夫なのかなーって。」

「大丈夫だってば。」

「痛くなかった?」

「痛くない」

「変な感じしねぇ?」

「……っ、も! 煩いよ馬鹿っ!」

「くっ、ははっ! 」


本当意地悪い! 隣から顔覗き込んで心配してる風に聞いて来るけど全然心配なんかしてないよね!?
自分で分かってるから! 耳熱いの分かってる! 顔も赤いのかもね! 分かってるから放って置いてよ!

楽しそうに笑いながら頭撫でてくるけど今は癒されない、益々悔しい気持ちになるだけ。


「んな睨むなよー、怖がるの分かってたし怒るかもなーとも思ってたのに照れてくれっからさぁ、馬鹿にしてんじゃねぇかんな? こう見えて喜んでんの。」

「……何で」

「そりゃだって、意識しちゃったんだろ?」


そんなの最初からしてる、脚の時も恥ずかしかったし熱くなったもん。


「想像しちゃった? アレはいるんだーって。」

「そんな事する訳ないじゃん!! 」

「何でだよ、しろよ。」

「馬鹿じゃないの!?」


変態思考を求めないで!!








「お待たせ致しました、みたらし三本になります。ごゆっくりお召し上がり下さいませ。」


銀さんと一緒に居るの楽しいし、ずっと傍に居たいと思うけど四六時中と言う意味では無いから仕事で離れるこの時間も大事だと染々思う。特に今日は気持ちがリセットされて落ち着く、これで夜は普通に過ごせる、良かった。

だけど気になる事が出来た。ほぼ毎回のように顔を見せに来てくれる沖田くんは今日も店外の椅子に座りお団子を食べている。
ボーっと串を咥えたまま壁に寄りかかりいつものように通行人を眺めてる姿、だけど何かが違う。

変わらず抱き締めて来たり歩く時は手を繋いでるし、多分私と銀さんの事を考えてくれてたんだろうけど沖田くんは気を遣ったりとか距離を置いたりとかしないから、私が変わらず接すれば変に気にしたりもしないかと思って今で通りに過ごしてる。


なら仕事で何かあった? でも最近平和だって言ってた、逆に土方さんは疲れた顔してたからきっと暇すぎて悪戯が増してるんだろう。

何だろう、何か違和感があるけど分からない。


「んじゃ、行きやす。」

「えっ、あ、うん。行ってらっしゃい。」


仕事しながら様子伺ってたけど一見至って普通、でも何か違和感的なものがあるのは何だろう。結局分からなかった。


行って来やす。とお盆を持ってる私の頬をひと撫でして笑って背を向ける沖田くんは銀さんと同じくらい隠すのが上手いと思う。だからこの違和感は間違いじゃない、何かある。自分が感じたこの違和感を疑ったらもう何も残らない、多分沖田くん的には大した事じゃないんだろうな、寧ろ気付いてなかったりするのかも。
何だかんだで仕事してるし、しかも一人で誰にも言わずこなして何事も無かったように振る舞う。銀さんもそうだけど例え辛くても絶対言わないよね、あ、土方さんもか。不器用の集まりだから。


だけど分からないんじゃ私に出来る事って無いのかな、いつもして貰ってばっかりだし私も沖田くんに何かしたい。
どうしたのかな、悩み?……悩みで違和感とか想像出来ないな、まだ具合悪いとかの方が分かる。


…………私の頬に触れた沖田くんの手、随分熱く無かった?まるで発熱してるんじゃないかってくらい熱かったんじゃない? もしかして熱あるの? 体調悪い? 皆身体丈夫だけど風邪くらい引くよね、それなの? ボーっとしてた原因それ?

熱あってもお仕事休めないのかな、せめて簡単な仕事とか……って、いや言わないね、そもそもあの子絶対熱あるって言わないよね。自分で気付いてても休まないよ、外でサボってるかも知れないけど余計駄目だ悪化する。


え、ならどうするんだろう。誰かが気付いて休ませてくれるのかな、沢山人居るし誰かしら気付いて看病してくれる?……いや拒否りそう。嫌がりそうだよあの子、余計屯所から離れそうだ。
じゃあどうするの? 結構熱かったよね、何度あるんだろう。 今が平和でもお呼びかかったら行くの? ……行くね、熱あっても行くよね、寧ろ先陣切って進むよね。銀さんもやりそう、だけどその場合は問答無用で落とすからね。


ちゃんと療養しないと良くならないよ、ご飯は食べれるの? 食欲あるのかな、何か私お母さんみたいだ。でもあの子自分の事、放って置きそうなんだもん、近藤さんなら世話焼いてくれそうだし沖田くんも大人しくしそうだけど、きっとストーカー中だよね。 山崎さんは居るのかな、監察行ってる? 土方さんは、……無理かな、沖田くんが看病させてくれない。 じゃあ誰が看病するの?


悶々と考えてたら閉店時間になった、考え過ぎて頭がおかしくなりそう。
もう見に行かないと気になって仕方無い。だけど定時だし帰らないと、皆ご飯食べないで待っててくれてる。下準備はして来てるから後は新八くんが用意してくれてるけど折角待っててくれてるのに電話一本で謝って終わりになんて出来ない。




「っはぁ、はぁ、……っ、ごめ、ご飯、先っ、食べててっ、……っ、」

「いや何でそんな全力疾走で帰って来た? 」


凄い走った。居間まで辿り着いた所で息も絶え絶えだけど、いつかの走り回った時より全然マシだ。
新八くんが持って来てくれたお水を頂き、呼吸を整えて説明し再び立ち上がる。


「ごめんね! 行って来るね!」

「送ってやろーか?」

「ううん! ありがとう、でも大丈夫! 」


待っててくれた皆の時間を無駄にしただけでも申し訳無いのに、その上銀さんに送って貰うなんて出来ない。だって私は沖田くんの所に向かおうとしてるんだよ、銀さん達とのご飯より沖田くんを優先させてるんだよ。 だけど譲れない、今はどうしても早く行きたい。家族とのご飯より、そっちを優先させるのって、人から見たらどうなんだろう。 例えどう思われても行くけど、それでもこうゆう事して皆はどう思うのかなって考えはする。銀さんだって……



違う、違うじゃん。銀さんは受け入れようとしてくれたんだよ、何も聞かない狡い私を受け入れようとしてくれた。言わないと言いつつ結局は私の気持ちが軽くなる言葉をくれたんだ。

嫌な気持ちになるって思った、待っててくれた皆より優先させて向かう私を嫌に思うだろうなって、そう勝手に決め付けた。受け入れようとしてくれた銀さんの気持ちを考えないで、勝手にそう思った。


私、間違えた? 送ってやろうかって言ってくれたじゃん、文句なんて、何も言わなかったじゃん。嫌な顔なんて3人ともしてなかった。
馬鹿だ私、同じ事したんだ、 自分の事しか考えてなかった。銀さんの気持ちを踏みにじった、何がとは言わなかったけど、許可してくれると言ってくれた銀さんの気持ちを、私は無視したんだ。


階段から下りて止まった足が一歩も動かない。
早く走らないと、間違えたけど自分のしようとしてる事に間違いは無い。沖田くんの所に行きたい、だから進まないと。
なのに、動けない。 ……送って、貰えば良かったな。送り出して貰えば、私は遠慮無く行けるもの。酷い考えだ、人に背中を押して貰おうだなんて。でも、もしかして、銀さんはそれを分かった上で言ったんじゃ無いかって思うのは自惚れ過ぎかな。


一呼吸して気持ちを落ち着かせる、気持ち切り替えなきゃ、暗い顔した人に会いに来られたって益々病むだけだ。
この行動に後ろめたい事なんて無い、だから罪悪感に思う事もない。だけどまた勝手に決め付けた、そんな不安ただの杞憂かも知れないのに、成長しないな、私。



「っ、」


な、んで、……、


足を進ませる前に、顔を上げ家の玄関に目を向けると、柵に肘を付け頬杖をしながらこっちを見下ろしてる銀さんが居た。

いつから居るの、何で居るの? 見送りに来てくれたの? あんな酷い事したのに。


黙って見下ろしたまま何も言わない、行ってきますと言えば、行ってらっしゃいと言ってくれるだろうか。背中を、押しに来てくれたのだろうか。


「……、や、ぱり、送って、欲しい……です。」


行ってきます処か最も図々しい台詞が口から出た、なのにじっと見ていた銀さんは不敵な笑みを浮かべたと思ったら、柵に倒していた方の手を上げ手の平を見せて来る、中指にリングを通した鍵を見せながら。


ゆっくり階段を下りてきて私の前まで来た銀さんは全然怒ってなんかいなかった。


「……ご、めんなさい、」

「何が?」

「……勝手に、決め付けて……。」

「まぁ、どうしてやろうかとも思ったけど、直ぐに気付いたって事で今回は仕方無ェから見逃してやらァ。」

「……ありがとうございます。」


ぐしゃぐしゃと頭を撫でて来るけど、機嫌は何故か良さげ。寧ろ楽しそうにすら見える。


「……私、直ぐ周り見えなくなる、」

「けど、成長してんじゃん? 」

「え?」

「俺の気持ち考えたんだろ? お前の中の常識じゃなく、俺の気持ちに気付いたんだろ?」

「……嫌な気持ちに、ならなかった?」

「なんねーよ。 いつもサボってる癖に肝心な時には休まねぇのな、平気な面して刀持ってそうだわ。」

「……銀さんも、やりそうだよ。でも、銀さんの場合は問答無用で落とすからね。」

「え? 何を? 」


本気で分からないみたいな顔してるけど、沖田くんのように母性本能では無く力ずくでも休ませたくなっちゃうと思う。それでも銀さんは行くんだろうけど私がそれだけ心配してるって事を分かった上でそれを背負って行って欲しい、貴方の帰らないとならない絶対的な理由になりたい。一瞬でも迷う事の無いように心の中に有り続けたい。

どうやったら伝わるんだろう、この違い。
私の事をこんなにも受け入れてくれる銀さんを想う気持ちは、あまり綺麗な物じゃ無いかもしれないけど、常識外れの銀さんなら喜んでくれたりするのかな?


「好き」

「はっ?」

「名前さんっ!」


銀さんと話してると新八くんと神楽ちゃんが走って下りてきて驚いた、夕食をお弁当に詰めてくれたらしく温かいおにぎりまで持たせてくれた。


「看病しても名前さんが倒れちゃったら意味無いですから、ちゃんと食べて下さいね。」

「サド菌移されちゃダメアルよ。」

「っ、……っ、うぅ! ありがとう!! 」

「え!? ちょ、流石に照れるんですけど!」


感極まって二人に抱き付いたら神楽ちゃんは笑って抱き締め返してくれたけど、新八くんは思春期だもんね、焦った声が聞こえた。


「すっごい大好き! ありがとうね、行って来る!」

「……俺にハグねーの。 」

「今からするよ! 」


二人に手を振りスクーターに乗ってる銀さんの背中に抱き付く。お弁当をリュックに入れてくれたお陰でしっかり抱き付ける、気が利く子達だ。


「はいハグね! 」

「いやそれハグ? 掴まってるだけだろ。」

「薬局寄ってからでお願いします!」

「タクシーの礼は甘いヤツで頼むわ」

「お団子を買ってくるねっ」

「そっちじゃねぇよ、お前わざとだろ。」

「急いで下さい!」

「へいへい。」


行ってらっしゃいと言ってくれる二人に笑って行ってきますと声を上げて伝えた。

皆が分かってくれない訳無かった、間違った事してるんじゃないんだから、謝罪より感謝だよ。ありがとうを伝えよう、与えられるこの温もりに感謝を込めて。









いつの間に眠っていたのか部屋は暗い、静けさから時間は深夜なんだろう、飯食う気にもならなくて部屋で転がってから結構な時間が経過したらしい。

だいぶ下がったか、熱あんだろうとは何となく思ったけど、まぁそれはどうでも良い。


特にこれと言って変化は無い。俺に言わないようにしてんのか旦那が我慢でもしてんのか、だったら俺に取っては都合が良いが、もしあの人が1人で抱えてるなら厄介だ。
多分、いや自信持って言える。これに関してあの人が俺から離れて行く事は無い、そんな事では離れない。旦那が、何を言って来ても。

だからこそ厄介だ、俺はもしあの人が言うならば止めてやっても良い。
あんな不安に押し潰されまいと自分と闘って、それでも笑ってた。それがやっと丸く収まったってのに板挟み状態で拗れんならまたあの人が不安になるだけだ。


なのにあの人は何も言って来ない処がそれらしい素振りも見せやしない。

だから俺は自分優先に動く。くだらねぇ気遣いなんかしない、そんなもの、あの人は望まない。
それでも、きっといつかは来るんだろうとは思う。
血が繋がってるワケでもねぇし、あの人と俺の間に繋ぎ止める物は何もない。何でこんなに執着してんのか自分でも良く分からねぇけど理屈じゃねぇ、俺はあの人の傍に居たいし傍に居て欲しい。

独占しようとは思わない、俺はあの人と旦那が一緒に居ても何とも思わねぇし俺だけを見て欲しいとも思わない。旦那のと違うのは明白だ、だけど端から見りゃ同じく見えんだろ。恋人だと間違われるなんてしょっちゅうだし、別に言われても思われても気にしねぇけど。


当人にしか分からないのか、説明の仕方も良く分からねぇし、そもそも面倒臭い。だけどあの人が気に病むならと最近考えてはいるが、結局は本人から言われたら止めてやるに辿り着く。
だけど本人は言って来ないし離れもしない。その時まで考えないようにしてんのかもしんねぇけど、それが来ちまったら辛い思いすんのはあの人だろ。
同じ事をぐるぐると考えてモヤモヤするし解決方法なんて俺には分からない。

つーかこんな頭使うといつぶりだ? 寧ろ初めてじゃね?


……あー、腹減った、身体が軽くなったせいか腹は減るし、やっぱり答えなんて出ねぇし、こんな時間に食いモンなんて無ェし、腹立つから徹夜でもしてるであろう部屋に肝試し様のBGM流して放り込んで来るかと起き上がろうと横を向いたら、人が居た。


全然気付かなかった、温かいとは思ったけどまさか人が居るなんて思わなかったし、何で居んの?
つか何で俺の布団入って寝てんの? 何してんだこの人は。今深夜だよな、旦那は? 居ねぇから来た? いやそんな事言ってなかった、え、夢?


「いや触れる」


触れるし温もりも感じる。誰か呼んだか、俺の額に冷えピタ貼ってあるし、……誰かって誰だ?


「……ん、……あ、目覚めたの? ごめんね、私の方が爆睡してた、具合どう? 」

「……いや、大丈夫、」

「んー、だいぶ下がったね? ちょっと待ってね。」


身動きした後ゆっくり瞼が上がり目がしっかり合った。
俺の首に手を当てて体温を確認したんだろう、ホッとしたような顔をして布団から出て行った後ろ姿は、やっぱり理解できない。


「はい、常温になっちゃったけど飲んでね。水分取らないと。」

「……何でここに?」

「沖田くんの手、熱かったから体調悪いのかと思って。何か違和感はあったんだけど体調悪かったからなんだね、ごめんね、気付くの遅くなっちゃった。」


違和感? 別になんて事は無い、ただいつもより多少熱っぽかっただけだ。気付くヤツなんて居ないくらいの細やかな変化に違和感、だとしても、


「旦那は? アンタこんな時間にここに居て大丈夫なんで?」

「銀さんに送って貰ったの、泊まるってちゃんと電話したよ。」

「……そんな事してたら、怒られやすよ。」

「大丈夫。ありがとうね、気にしてくれて。私は言われても変えるつもり無かったから敢えて考えない事を選んだけど、でも沖田くんは考えてくれてたんだね。私は沖田くんから離れるつもりは無いよ、銀さんの事を大事に思っているけれど、それが沖田くんと離れる理由にはならない。私が離れたいと思う事は絶対に無い、私は沖田くんが離れて行くかもって不安になること無いの、だから沖田くんも思わないで。離れる時が有るならば、それは沖田くんが離れたいと思った時だよ。」

「……思いや、せんよ、俺はそんな事。……だけど、旦那に言われたら、アンタどうするんで?」

「それでも絶対離れないよ。懇願するつもりだった、銀さんが受け入れてくれるまで何度でも。」

「……それでも拗れたら」

「んー、そうだね、受け入れた方が自分に得があると思わせるかな、どんな事をしても。」

「……なら、手伝いやす、それ。」

「ふふっ、じゃあ百万馬力だ。」


緩く笑った顔は俺の中にあった解決策の無いままモヤモヤとしつこく有り続けたモノを、意図も簡単に吹き飛ばした。
慣れねぇ頭使って散々悩んだってのに、こうもアッサリ解消されるもんなのか。


「はぁー、……やっぱらしくねぇ事はするモンじゃ無ぇな。」

「え? 」

「もう考えやせんからね、だけど絶対ェ1人で抱え込むのは止めて下せェよ。」

「うん、でも銀さんね……許可、してくれたの。私が、遠慮無く動ける様にだと思う。」

「許可されたんで? 俺達の距離感知った上で?」

「ん? 距離感?」

「ふーん、許可出来るくらいまだ余裕あんなら今の内に刷り込んでおきやすか。」

「刷り込む? 何を?」

「俺の安全性を、旦那にとっての利益を添えて。」

「え? 」

「そうすりゃ何も気にしねぇで一緒に居られやすよ」

「うん? ちょっとさっきから良く分からないや。沖田くんご飯まだだよね? 鍋焼きうどん作ってあるんだけど温めて来たら食べる?」

「マジ? 食いやす。」

「んじゃ待っててね、ついでに土方さんの所寄って来るからその間に着替えてて? 」

「何で土方さんの所なんて行くんでィ」

「泊まる許可貰いに行った時、沖田くん熱あるって言ったから心配してると思う。目覚めたって伝えて来る」


うわ、マジかよ。最悪じゃねぇか。


「はは、可愛いお顔が歪んでる。ちゃんと着替えておくんだよー。」


そう言い残し扉を閉められた、楽しそうに笑う顔を見せながら。やっぱりイイ性格してんな。

取り敢えずもう考えなくて良いつー許可貰いやしたんで、遠慮しやせんからね。まぁ最初からしてねぇけど。
それでも、あの人が気に病む事の無いように手回しくらいはしておきやすか、言われてからやるなんてつまんねぇし。
感謝して下せェよ、俺が直々に手伝ってやりやすから。自分で教え込みてぇつっても、あの人相手なら手焼いてやすでしょ? けど安心して下せェ、野暮な事はしねぇんで。


俺はあくまで、あの人に笑って傍に居て欲しいだけ。






ただそれだけ



prev / next


[ 戻る ]