可視恋線。

気を引き閉めて土石流に呑まれてはいけません

<俺と先輩の仁義なき戦争>




「ん、ふ…、はぁ、あっ、んっんっ」

エレベーターに投げる様に放り込まれて、奥の壁にぐっと押し付けられてる状況の松原瑪瑙です、ニーハオ。


「あ…っ、せ、せんぱ、待っ、」
「煩ぇ」
「ふむっ、ん!」

どうしよう。何で『可視恋線。』は一人称なんだろう。普通さ、小説もドラマもさ、ナレーション付いてくるよね?ってか、俺が居ない時はたまにナレーション付いてくるよね?

なのに!
何でこんな時だけ一人称なの?!俺がこのとんでもない状況を自分で語らなきゃなんないって、どう言う辱しめなの?!死ねってこと?!

おかしいよね?!
逃げられないように(逃げるつもりないけど)押し付けられて、顎を凄い力で掴まれたままキスされてて、ネクタイは結んだまんま、シャツの中に手なんか突っ込まれて、胸とかお腹とか触られてるんですけど!


これを説明しなきゃなんない恥ずかしさ。主人公故の義務。
判る?!こんな時くらいナレーション的な施しがあっても良いんじゃないの?!今までろくな目にあって来なかったんだし、こんな時くらい優しくしてくれても良いんじゃないの?!
モテない癖に勘違いして非処女ぶっちゃった罰ですか?!朱雀先輩ってば凶悪過ぎるブラックタワーぐいぐい押し付けて来るんですけど!


はっ。
もしかして俺、初めてがエレベーターの中とか?!そ、そんな、えっろ!うーちゃんがディズニー映画だよ、って嘘ついて見せてきたエッチなDVDみたいなシチュエーション!

どうしよう。嫌いじゃない。


「あ、あっ、やぁ。ふ…さ、触るならもっと下…」

健全な高校生だもの!
一般的な性に興味津々な15歳だもの!自分のナレーションしてる暇があったら、盛り上がってる俺のアレを負けじとぐいぐい押し付けますよ!そりゃ!

朱雀先輩ってば物凄く息が荒い。
うん、俺の方がその何倍も荒れ狂ってるんですけどね。ええ。期待に胸が張り裂けそうですよ。はい。

包み隠さず全て晒け出してこそ、主人公の義務。
松原瑪瑙、エレベーターの中で男になります。


「ひぁ!」

ガバッとベルト外されて、ずるっとズボン脱がされても怯みません。益々コーフンしちゃいます。てへ。

「はぁ、朱雀せんぱぁい、見ちゃいや…」
「…ざけんな、隅から隅まで見せろ」

どうぞどうぞ、変態っぽく舐める様に見て下さい。チーンってエレベーター止まったけど、ドア閉まっちゃった。
先輩の青い両目は俺の太股に釘付け、恐る恐る伸ばされた先輩の大きな手が、そよそよくすぐる様に俺の足を撫でて、ピーチカラーのトランクスの隙間に入ってくる。

痴漢されてるみたいで鼻血出そう。コーフンし過ぎて肺が痛い。朱雀先輩、ちょっと怖い顔になってるんだけど、多分、俺と同じで興奮してる、んだと、思いたい。
もう、脱がすならガバッと脱がせば良いのに、下から手を突っ込まれても…いや、揉まれてますけど。とんでもない事にはなってますけど。吃驚するほどぐっちょぐちょですけど。勿論、俺が。人生最高潮の元気イッパイさ。ちょう恥ずかしい。

「まめこ、お前、とんでもないエロさだな…」
「ふぇ、え…?あっ。…ごめんなさい、引いた?」
「いや、興奮した」

やだ、先輩ってばやっぱり変態なんだから。
ぐっちょぐちょな俺のチェリータワー(と言えば可愛く感じる気がする)を揉み揉みしながら、もう片手でお尻も揉み揉みする神業で、あっという間に俺瀕死。

「あ、ふぁ、あっ、ん、…ひぅ、やぁん、朱雀せんぱ…ぃ!」
「エロい声出しやがって…!犯すぞテメェ!」
「ひゃっ。んっ、朱雀先輩なら、良い、よ」

わぁ。
お尻、お尻が割れたー!

いや、割れてた。産まれた時からぷりんと割れてた。でもそんなに強く左右に開かれたら、お尻が取れちゃう気がするよ。当然、取れたら困るけど。

ぐるっと体が反転して、今度は背中を先輩側に向けさせられて、ほっぺがエレベーターの壁にガツンって当たった。もう!少しは優しくしてくれても良いんじゃないの?って、怒鳴ってやるつもりだったけど、ガバッとパンツ剥がれてそれどころじゃなくなった。

いやん、お気に入りのピーチ柄。穿き潰してそろそろゴムがやばかったんだけど、どうせこんな事になるならもっと良いヤツ穿いとけば良かったっ。
おニューのマスクメロン柄とか!ちょっと小さくてあんまり穿いてないサクランボ柄とか!


あ、チェリーはないか。
だって俺こそチェリーだもの。えへへ、チェリーは俺だけ召し上がれ。


「きゃ!」

なーんて、余裕かましてる場合じゃございませんよお嬢さん。ああ、もう、鼻血出た。オタクさん…遠野先輩に負けないくらい多分吹き出た。

「あっあっ、や、あ、んむっ、やぁ!せんぱ、先輩…っ、待って!」
「黙って喘いどけ」

ぐいっと問答無用で割られ掛けたお尻に、朱雀先輩の顔が埋まってる!一大事ですよ!判ってた事だけど、現実に有り得るもんだね!そんなとこ舐める人が存在するなんて…!アダルトな映画の中だけだとばかり!ひぃ!

生々しいよー!!!
ベロが!朱雀先輩のベロ先輩が!待って、俺もう何言ってるのか判んない。コーフンし過ぎて判んない。泣きそう。とんでもない事喚きながらアンアン言いそう。

「あ、あっ、はぁ、あ、あ」

いや、もう言ってた。
自分の穴…こんな形で形を知る事になるとは。先輩の舌が懇切丁寧に俺のお尻の間取りを教えてくれました。狭い。判ってたけど小さい。とんでもないけど、あんなブラックタワーが入れる広さじゃない。

舐められる度にヒクヒク痙攣して、とんでもなくエロい。なんてエロ穴。俺の混乱を余所に勝手に広がろうとしてやがる!閉まりなさい!そのままでは朱雀先輩のベロが入ってしまいますよ!

「や、やぁあ!!!」

はい。そりゃ入っちゃってから言っても遅いよね。足がガクガクして転びそうなんだけど、エレベーターのお陰様で何とか立ててますよ。

嘘です。膝が床にぺたんってくっついた。

もうやだ、相変わらず前は揉まれてるわ、穴は舐められてるわ、訳判んない内に出ちゃってるのに、一息入れる隙なんかない。
全身がびくびくしてるんですけど。明日もテストだって事を忘れそうなんですけど。つーかエレベーターの中だって事すら忘れまくってますけど。

「あ、あ、あ…、や、め、ゃめて、こわ、怖い、先輩、あ、や、やだ、お願い、待っ、待って…っ」

がち泣き。マジ泣き。かわちゃんに叩かれて押し入れに閉じ籠った時でさえこんなに泣かなかった気がする。
大体ね、こんな状況を自らお伝えしなきゃならない時点で俺号泣。俺慟哭。なのに朱雀先輩のエロさが想像を遥かに越えてて、スタートダッシュでリタイア。

待って、これまだ準備体操みたいなもんだよね?俺の体力が足りなすぎるの?どうなの?
イったばっかなのにノンストップでしごかれて、ベロベロ舐められて、待って、何か指も入ってない?!はっや!早業!神業!

ナレーションつけてくれないと俺ついていけない!


「うぇ。うっうっ、ひぅ、えーん」
「まめこ?どうした」
「怖ぃい、うぇ。うっうっ、ひぅ、えぇん、朱雀先輩、怖いよぉう…ひっく」

ぱちぱち瞬いた先輩がやっとお尻から顔を離して、夢から覚めたみたいにハッと目を見開いた。慌てて俺のパンツとズボンを押し上げて、ぐちゃぐちゃな俺の頭を撫でようとして、手を止める。

あ、そのぐちゃぐちゃな右手、おまめさんを揉み揉みしてた不埒な手ですよね。ベタベタだから触んないで。

「わ、悪い、やり過ぎた。…か?」
「ひっく。そうだよっ、やり過ぎなの!俺はじめてなんだよ?!手加減しようよ!いきなり上級者コース過ぎて死んじゃう…っ」
「いや、んな事はねぇだろ。ちょっと舐めただけじゃねぇか」
「…ちょっとだと?!指!俺の許可なく指なんか突っ込んだ癖にっ!」
「すまん」

ぐるる、って犬みたいに唸れば、俺ので汚れた右手に構わず頭をボリボリ掻いた先輩は、よっと俺を抱っこして、エレベーターの開ボタンを押す。

「はぁ。…指一本で即退場か、厳し過ぎだろ」
「いきなりあんな、あんな…っ、ビックリしたし!興奮したって言ってる割りに先輩ちょう無口だし!」
「馬鹿野郎、喋る余裕があって堪るか。あーあ…ビンビンな俺のオメガウェポンはどうしろと…」
「へーへー、面倒臭い処女でごめんなさいね!ふんっ」
「不貞腐れんな、誰もンな事ぁ言ってねぇだろうが。…まぁ良い、これから毎日慣らすからよ」

恐ろしい呟きは聞こえない振り。テストが終わるまでダメ!って、後で言い訳しとこ。じゃないとハマり過ぎて頭変になっちゃう。
うう、Fクラスの怖そうな人達からジロジロ見られてる。こそこそ何か囁かれてる。…あ、俺の悪口かと思ったけど、朱雀先輩の事みたい。

…あ。なるほど。俺からは見えないけど、凶暴なブラックタワーがピラミッドになってるからかな?

すいません、後で俺がスリスリして治めますんで…。

「…朱雀先輩、さっきのお詫びに口でしてあげよっか?」

こしょって耳元で囁いたら、ビタッて止まった先輩が情けない顔で俯いた。
何か小刻みに震えてるけど大丈夫かな。




「おい、大河の両手塞がってんぞ…」
「チャンス…じゃねぇ、見ろあの目付き…!あの餓鬼、殺されんぞ…!」
「ひッ、障らぬ神に祟りなし」
「………ん?何か大河のスラックス、濡れてね?股間の辺り…」


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