お宅訪問

『…そう言えば…明日は奴良家にお邪魔する日だ…』


昼過ぎ、清継くんに言われたことを思い出し、私は項垂れた。


…カナちゃんとリクオが一緒にいるの見るの辛いんだけどなぁ…


それにもう鴆さんには私の正体バレてるし…


…そう言えば変化したとき私の本名夜のリクオに明かしちゃった…


…いや、わからないよ、きっと…



私はもんもんと考え事をしながら昼御飯を食べ始めた。


『…手土産くらい持ってくのが礼儀だよね…』


丁度時間有るし、お菓子作って持っていくか…


『和式のお屋敷だから、抹茶で…マカロンとか……後はアップルパイでいいか』


奴良家にお邪魔して、リクオには迷惑かけるから、そのお詫びも兼ねて。

焼きたてのが美味しいから、夜に下準備して、朝焼けばいっか…


私は覚えているレシピを書き起こし、買い物に行った。


―…

『…そう言えば奴良くん家って和式…お団子とかのがいいのかなぁ…』


スーパーに行く途中、見知った背中を見つけ、私は声をかけた。


『奴良くん!』


「え!?…みのりちゃん…?」


奴良くんは吃驚した様子で振り返り、私だとわかるとそっと胸を撫で下ろした。


『どうしたの?こんな所で…』


「ちょっと散歩がしたくなったんだ」


『そうなんだ』


「みのりちゃんこそどうしたの?」


『私は…あ、そうだ、奴良くん、聞きたいことがあるんだけど…』


「え?なに?」


私は答えようとして逆に質問した私に、リクオは怒るでもなくしっかり答えてくれた。


「好きなお菓子…かい?特にないけど…食べたいのならあるよ?」


『ホント!?食べたいのって何?』


「えっとね?アップルパイなんだ」


『アップルパイか…わかった!ありがと奴良くん!参考になった!!』


リクオは優しく微笑んだ。


「いや、僕で役に立てたなら良かった。…でも、なんでそんなこと聞くの?…誰かにあげるの?」


眉を寄せて不安げに聞いてくるリクオに、私は苦笑を返した。


『あげる人が居たらいいんだけどね…あげるっていったらあげるけど、誰か個人にあげる訳じゃないから』


私のその言葉に、リクオは安心したように笑った。

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