夢と京都と転校生

「どっどうしましょう若〜!!」


「どうするってどうしようも…!!」


『…まず落ち着こうか2人とも』


明らかに焦る2人を宥める私。

その時、ふと殺気を感じた。


『っ!!カナちゃん危ないっ!!』


咄嗟に、復活した人形に襲われそうになったカナちゃんを庇った。


『いっ…!!』


頬を何かがかすった。


「っ滅!!」


そのすきにゆらちゃんが札を飛ばし、今度こそ妖気が消えた。


「みのりちゃんっ!!」


咄嗟に駆け寄ってくるリクオ。


『いった…うわ、出血してるし…カナちゃん、怪我ない?』


「私は大丈夫だけど…みのりちゃんが…!!」


『ん?あぁ…このくらいの傷なら直ぐ治るって!!』


「でももし傷痕が残ったら…」


『心配し過ぎだよ、傷痕が残ろうと私は平気だし!!』


「でも…」


未だに言うカナちゃんに苦笑を返し、疑問の目で残骸を見つめるゆらちゃんを見る。


『…無理もないと思うよ?』


「!?」


私は傷口の血を拭いながら、式の中に紛れていたあるものを拾い上げた。


『…っと、ほら、レシートが混ざってる』


「っ!!」


ゆらちゃんは私からそのレシートを受け取り、顔を真っ赤にした。


『ちゃんと気を付けないとね?』


私は苦笑しながら言った。

ゆらちゃんこくこくと頷き、急いでレシートをしまった。



―…

『はぁ…なんかいろいろ疲れた…』


あのあと清十字探偵団が本格的に起動(?)しはじめ、今度リクオの家に行くことになり、解散となった。

その帰り、カナちゃんとリクオに、一緒に帰ろうと誘われたが、傷のことで関係が拗れるのも嫌だし、カナちゃんとリクオが一緒にいるのをこれ以上見たくなくて断った。


『…つらい、なぁ…』


傷が痛む。

でもそれ以上に心が痛んだ。


『リクオ…』


小さく呟いた言葉。

それが、偶然ここを通りかかった黒羽丸に聞かれていたことなど、今の私は知るよしもなかった。




痛む心

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