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やさしさ



「くーにみちゃーん」

「なーんですかー」

こっちを向きもせず、目線は漫画から離さない。

「国見ちゃんってば」

「だからなに」

むー…。暇なんですよ。それくらい分かりませんか?ところで今日はお家デートですよ?


「なんか面白い話して」

「無茶ぶりするのやめて」

さっきからトーンは一定のまま。ほんとに無気力というか、なんというか…。

「あ、そういやこの前影山に会ったよ」

初めてこっちを見た。影山に負けた気がする。
国見ちゃんをジッと見たら、頭をくしゃくしゃされた。


「……なに拗ねてんの」

「影山の話の時だけこっち見たんだもん」

「馬鹿じゃないの?」

冷たい……。

「で?影山に会ったって?」

「うん、この前学校帰りに会ったの。なんか練習試合に行くところだったみたい」




『あれ、影山!?』

『ん?あ、なまえか?』

『そう!懐かしいね』

『おう』

『……楽しくやってるみたいで良かった』

『…国見、とか、その、金田一とか元気か?』

『うん、元気だよ。楽しくやってる』

『なら、良かった』


すぐに分かったよ。今すっごく楽しいんだって。
影山が幸せそうな顔してたから。
中学の時の影山を知ってる私からしたら、すっごく嬉しいことだった。


国見ちゃんにその話をすれば、少しだけ笑って、安心したような顔してた。

「ふふ」

「なに」

「国見ちゃんは優しいなーって」

頭を撫でれば、腕を掴まれて国見ちゃんの腕の中へと引っ張り込まれた。

「…良かったね。今度はさ、おっきな舞台で試合できるといいね」

「うん、そうだね」

ぎゅっと抱き着いたら、国見ちゃんも抱きしめ返してくれた。

いつもクールで無気力だけれど、国見ちゃんはとてもあったかいんだ。


「今度、影山とか金田一と遊びに行きたいね」

「そうだね」

「楽しみだね」

「そうだね」

「国見ちゃん大好き」

「……俺も」



国見ちゃん、私もとっても幸せだよ。




やさしさ
(「あ、もしもし?影山?今度暇な日っていつー?」)





あとがき

国見ちゃんは、実は優しいと思います。


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