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俺は騙されたふりをして




「ねーねー光太郎ー。京治って何色が好きかな?」

すると光太郎は不思議がりながらこちらを向く。

「それ赤葦に直接聞けよ」

「だってそしたらサプライズにならないじゃない」

「サプライズ?」


そう、私は今彼氏である赤葦京治の誕生日プレゼントを考えているところ。

「京治に誕生日プレゼントあげたいの」
「あーそっか。もうすぐ誕生日か」


んー、京治は何が喜ぶかな。
聞いたら絶対「その気持ちが嬉しいです」なんて優しいこと言っちゃう人だから、当日まで黙っておくの。







木兎さんに用事があり、三年の教室に来てみたら机をくっつけて楽しそうに話す、木兎さんとなまえ。

思わずイラっときてしまって、二人に近付こうとした瞬間、話の内容が聞こえてきて立ち止まる。



「京治が喜んでくれるプレゼントなんだろうなー」

「プレゼントは、わ、た、し!とかでいいんじゃね?」

「……それは光太郎の趣味でしょ!変態!」

「ひどい!!!!」


プレゼント…?俺に?



ーーあ、もうすぐ俺の誕生日。



途端に頬が緩んでしまって、にやけてしまった。
俺のためにプレゼント考えてくれてたんですね。

話がちょうど終わったところで、木兎さんに歩み寄った。
俺を見つけたなまえは、すこし驚いて戸惑った後、嬉しそうに笑う。

分かりやすすぎですよ。


「これ、バスケ部の部長さんから渡してくれって頼まれました」

「おー、あざーす」

「いえ。……ていうか木兎さん寒くないんですか?薄着すぎません?」

木兎さんは教室の中とはいえど、少し肌寒いのにワイシャツにベストという格好。

「え?寒くねーよ?」

「なんか…木兎さんって死ななさそうですよね」

「すっげー悪意こもってね?褒めてる?」

……こういうことだけには敏感だよな、この人。

「褒めてます褒めてます。俺は寒がりなので。マフラーとかそろそろほしいですね」

この俺の言葉に素早く反応したなまえ。
本当に素直な反応にまたにやけてしまいそうで必死に我慢する。

「京治、マフラーほしいの?」

「え、はい。マフラー無くしたんで」

これは本当の話だ。
いつも間にかなくなっていた。

「あ、えと、京治も手編みとか…やっぱり憧れる?」

「編んでくれるんですか?」

「そ、そういうわけじゃなくて、友達が彼氏に編むって言ってたから…」

必死に言葉を選ぶ姿が可愛くて思わず笑ってしまった。

「えっ、な、なに?」

「いえ。そうですね、やっぱり手編みには憧れますね」

「そっかぁ。うん、わかった」






きっとなまえは俺のために必死でマフラーを編んでくれるんだろう。

「びっくりした?」

そう言って悪戯が成功した子どものように笑うなまえに、俺は騙されたふりをします。




「びっくりしました。嬉しいです」



ーーーーでも、俺の作戦勝ちですけどね。




俺は騙されたふりをして
(「本当はなまえさえいれば何もいらない」)





あとがき

まんまと欲しかった手編みのマフラーを手に入れた赤葦くんでした。

HappyBirthday 赤葦くん!!!
しっかり者で、クールで、面白くて、優しくて、面倒見が良くて、意外と気の強い赤葦くんが大好きです。おめでとう!


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