×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




小さなヒーロー





私の彼氏は、身長は低くて、中身も子どもっぽくて、うるさくて。



「なまえさぁぁああん」

「…夕」

部活が始まる少し前。
大地がまだ来ていなくて、それぞれ自主練

体育館に入れば夕がこちらへと満面の笑みで駆け寄ってくる。


「今日もお綺麗です!」

「……うるさい」

付き合いだしても変わらないこの私を崇拝する感じ。もう慣れた。

「明日試合なんだし早く練習しなさい」

「はーい」

コートを指差してそう言えば、素直に言う事を聞いてさっそく影山のサーブを楽々と拾っている。


ホントに子どもっぽいなぁ……。

いつ見てもそう思う。
なんで私は夕のこと好きなんだろう、たまに考える。
でも、好きなものは好きでそれは変わらなかった。








次の日。
試合は順調に進んでいたように思えた。

けれどーーーーー


「っ!夕!夕!!」

私は思わずコートに入って、救急箱を持って夕に駆け寄る。

「夕?大丈夫?分かる?」

頭をぶつけたようで、とりあえず先生に支えられベンチへと一旦下がった。

部員達は、不安そうな顔をしている。
こんな場面で夕に抜けられたら…、全員そう思っている。


夕の腕を掴んでいる私の手に、そっと夕の手が添えられた。

「大丈夫」

「のやっさん大丈夫か!?」

「あったりめーだろ?」

夕はいつもの笑顔で、頼もしい笑顔で笑っていた。

「夕、無理しないで…」

「何言ってるんすか。大丈夫です。俺の活躍見ててくださいね?」


コートに向かう夕の背中はとても大きく見えて、思わず目が潤んだ。
でもここで泣いたらダメだ、そう思った。



試合は烏野の勝ちだった。
夕は念のため、医務室へと向かう。


「夕」

「なんですか?なまえさん」

「……かっこよかったよ」

「あ、ありがとうございます」

「惚れ直した」

そう言って笑えば、夕は照れたように驚いた後、私を強く抱き締めた。

「っ大好きです。なまえさ……なまえ」

「もうっ……」

「照れてるんですか?」

「うるさい」



私の彼氏は、身長は低くて、中身も子どもっぽくて、うるさくて。


ーーーでも、とてもかっこいい人です。





小さなヒーロー
(「夕、大好き」)





あとがき

のやっさんのお話をもっと見たい!とのご意見を頂いたので、さっそく書いてみました。
三年生のなまえちゃんとのやっさんのお話です。

のやっさんは小さくてもとてもとてもかっこいい人だと思います。



prev next
back