Split Under The Red Stalk


「まずは大掃除するか」

「目覚めて早々大掃除ですか。…まあいいですが、」




祐樹が「では僕は箒などを用意してきますね」と部屋を出ようとしたとき白鳥が「あの!」と声を発す。
それにより全員が動きを止めて白鳥を見る。




「い…いま、私の友達が…その、極刑に処されようとしてるん…です!」

「は、極刑?マジで?」

「…はい」

「チッ………ゆっくりしてる暇はないみてぇだな…」




一護と誰かの戦いも一段落ついたらしいし、今のところどこかで大きな霊圧がぶつかってるとかそんなこともない。
一護、石田、チャド、井上、夜一、岩鷲。
一緒に来た奴らが今どうなっているかは分からないが、ルキアの処罰が極刑に決まったってことはゆっくりしてる暇がないのは確実だ。


……さて、本格的にどうするか決めなくちゃな。




「守里、」

「何?奏司ちゃん」

「起きてばっかで悪いが結界張ってくれ」

「りょーかい、なの!」




たたっと駆けて行って俺がここにかけていた術(十四番隊の人間以外の進入を拒む結界)の準備をし始める守里を余所目に他にも指示を出す。
祐樹・翠・白鳥には会議室の掃除、祐華には台所の掃除、蜂陳には―――「いやぁああぁあああ!!」―――!?




「何だ?悲鳴?」

「東大聖壁の方ですね」

「………蜂陳、」

「了解です。見て来ましょう」




一瞬にして消えた蜂陳を見送り、報告を待つ。
それ以外は何も変わらず指示された事を行う。
俺は守里と一緒に術の準備だ。




「………ねえ奏司ちゃん」

「ん?」

「眠り続けてどれくらい経ったの?何が、起きてるの?」

「お前達が眠って俺が現世に降りて110年」

「ひゃっ…!?そ、そんなに経ってるの?」

「残念ながらな。
そんで今、朽木ルキアっつー死神が1人極刑に処されようとしてる。重課罪かもしれないことを犯してはいるが極刑に処されるほどじゃねぇはずだ……」




よく考えたら本当におかしなことになっている。
ルキアの罪は現世への長期滞在と一護への力の譲渡だけだったはずだ。
それ以外の罪をあいつが犯してるはずがねーし、犯したところなんて見てねえ。


つまり、何者かがルキアをはめようとしてるっつーことだ。
〈何者か〉なんて言わずともハッキリしてる気がするんだがな………。




「、隊長」

「おう、蜂陳。どうだった?」

「……ぜんが…」

「?」

「―――藍染惣右介が……死んで、いました」




―――は、ぁ…?














*     *     *















あの後、私は隊舎を飛び出て東大聖壁の方へ走った。
そこで見たものは胸に刀を突き刺され、高い場所へとくくりつけられた藍染惣右介の死体。

その下で彼の名を呼び涙をこぼす副隊長の姿に、私は目をそらした。




「藍染隊長、藍染隊長っ、いやだ…いやです…!藍染隊長!―――藍染隊長っ!!!」

「なんや朝っぱらから騒々しいことやなァ」




そこに現れた市丸に副隊長の少女の目の色が変わり、市丸へと襲いかかる。




ガンッ!!


「!
吉良くん!!どうして…」

「僕は三番隊副隊長だ!どんな理由があろうと隊長に剣を向けることは僕が赦さない!」

「お願い…、どいてよ吉良くん…」

「それはできない!」

「どいてよ…、どいて…」

「だめだ!」

「―――どけって言うのがわからないの!!」
「―――だめだと言うのがわからないのか!!」




ついには斬魄刀を開放して戦い始めてしまう始末。
〈飛梅〉とやらの能力による被害を被る前にその場を去りましたが、あの後は隊長格の男が騒ぎを沈めていたようで。














*     *     *















「……そうか、藍染が……」

「そんな…!」

「まぁいいさ」

「「「「「!?」」」」」




予想以上にけろっとしていた俺に全員が驚いてずっこける。
藍染が死んだだの、殺されただの俺にはどうだっていいことだ。




「〈あの藍染〉が死んだんだよ、奏司!?もっとこう、なんかいうことあるはずじゃないの?!」

「そ、そうですよ…!隊長は、あれだけの目に合わされてるんだからなおさら…!」

「―――え?だって〈あの藍染〉だぜ?死んだ思うのか?」

「「「「「 … … … 。



いいえ、全然。」」」」」

「だーよなー」




だってあの藍染だぜ?
簡単に死んだり殺されたりするもんかよ。

呆れたように息をついて、祐樹の用意した箒を手に取り掃除に取り掛かる。




「まずはここきれいにしようぜ。とりあえずの拠点だし」

「はーい!なの!」




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