「………ん、ぅ…あ、れ…?なんだか、ぼーっと…するの、」
「そりゃそうだろ」
「頭が正常に働きませんね……夢、でしょうか、」
「夢でいいのか?」
「夢だったら、覚めなくていいのにね」
「生憎だが俺は覚めて貰わねーと困るんだ」
「たい、ちょう……?」
「おう。どうした?蜂陳」
「……なんで、いるんですか…?ぼく、ら、」
「ごめんな、ずっと…1人にして」
「わ、わたし、…なんで、」
「おら、泣くな泣くな。ウサギになるっつったろ?」
目の前に広がる光景は、ずっと望んでいたもので……。
目の前にある現実は、ずっと望んでいたもので……。
目の前にいる人物は、ずっと呼び続けた本人で……。
「「「「「隊長!」」」」」
ドガッ!!!
「い゛っ!!?お前ら、痛えって!イキナリ殴るか普通!?」
「殴りもするの!奏司ちゃんはほんと自分勝手なの〜…うわぁあん!」
「そうですよ…!もう、心配掛けないでくださいよ…!」
「アハハ、祐樹泣いてるー!あーぁ…、っ…あたしまで、涙、出てきちゃったじゃん…っ」
「もう、会えないんじゃないかって…ずっと………私は、…、」
「ほんもの、なんですよね…?夢に見てる、幻とかじゃ……あ、痛い…本物だ、奏司さん、だ…」
「翠ちゃん…頬っぺた引っ張らなくても、分かりきってますよ……隊長は、嘘、言いません、から」
「お前ら全員して泣くなよ………あれだ、その、」
この胸いっぱいの愛を(大切な人々へ、)
「あー!奏司ちゃんも…グスッ…泣いてるのー!」
「もらい泣きって奴ですね」
「かっわいー!」
「隊長も泣いてるんじゃないですか。布、いります?」
「貰っておいたほうが……いいんじゃないですか?」
「案外びっしょびしょになるまで泣くかも……って、頬っぺた引っ張らないで下さい…!痛いです…!」
「お前ら全員俺をからかうとはいい度胸じゃねーか。全員はっ倒してやるから表出ろ!」
「きゃ〜!奏司ちゃんが怒ったー!」
「逃げるが勝ちですよ、皆さん!」
「分かってるよ、祐樹♪」
「では、1番早く外に出た人が隊長から何かもらえると言う事で」
「それ卑怯ですよ、蜂陳さん…!貴方が一番速いんですから…」
「ま、待ってくださいよ〜!」
全員が全員刀を手にして部屋を出ていく。
この選択に後悔はない。
これで、良かったんだ。
「そうだよな?未子」
「………」
未だ眠り続ける少女は目を開けず―――…。
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