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書き掛け多数
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跡ジロ
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歩き慣れた道で今にも泣き出しそうに私は君に「なにを犠牲にしたってかまわない」と言いました。

歩き慣れた道で今にも崩れ落ちそうに君は私に「お前を犠牲にしたってかまわない」と泣きました。


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引き止めたい人と、夢を追いかけたい人



跡ジロ

俺が自慢すんのもなんだけど、跡部って記憶力いいじゃん?普通に勉強出来るし普通に過去の戦績とか覚えてるし普通に昔の話蒸し返してくるしとりあえず顔だけじゃなく記憶力もずば抜けていいわけじゃん?少なくとも俺よりはね。確実に。
俺なんか特に自分に都合の悪いことは綺麗さっぱり忘れんだけどさ、跡部は覚えてんだよね。マジたちわりぃ。
まぁそんな跡部がなんて言ったと思う?
体調悪いから明日の約束なしにしてくれってメールがきたから俺はすぐに電話したわけ。大丈夫かー?って心配したくてね。そしたらだよ?

「もしもし、どちら様でしょうか」

とか言ってきたわけ。は?って思うじゃん。しかも超ヨソいきの声。
ふざけてると思ってさ、俺も負けじと言ったわけ。「あーどうも芥川ですー毎度お世話になりましてー」つって。だってさ、ついさっき跡部の方から俺にメールをよこしてきて数秒後に俺を忘れるってどういうボケ??って思うじゃん。マジ笑えない。へったくそ過ぎて逆に笑えるけど。
でもそしたらさ、跡部は続けてこう言うわけよ。

「はい、どういったご用件でしょうか」

その声色がさ、なんかマジなわけ。ボケとかそういった雰囲気じゃなくて至極真面目な声色なわけ。それに本気で笑えなくなって一瞬言葉を失ってたらまた受話器の向こうで言うわけさ。「…?どういったご用件でしょうか」ってね。その怪訝そうな感じで俺は頭が真っ白になった。あ、こいつ俺の事忘れた。って理解したわけ。なにこいつ。

その瞬間は多分一生忘れる事はないと思うよ。なんていうの、その瞬間はショックとかそういうのを理解する暇なんてなくてただただ一瞬で胸のあたりがひんやりと凍った感覚がするわけよ。急激に冷えたわけ。胸の奥のなにかが。冷静になった今ではそれが”恐怖”ってものなんだろうなって思ったよ。
漫画とかでよくある、恋人が記憶喪失になった時の主人公の気持ちってこんなんなんだなって思ったね。分かりたくもなかったけどさ。

ともかく、跡部はどうやら俺を忘れてしまったらしい。
ただ、「あ、跡部?……大丈夫?」と必死に声を絞り出したら「っ、……悪い、すまん、大丈夫だ」ってすぐに思い出してくれたから無性にホッとしたけれど。
後から聞いたらちょっとストレスが原因でどうたらこうたら。今度カウンセリングに行くみたい。とりあえず、自分から跡部に電話を掛けるのが軽くトラウマになった俺でした。マジ笑えない。


オチはないけど体験談



ジロ忍

ピンポーンという軽快な呼び出し音が嫌いだった。
俺の家のインターホンを鳴らすのは大抵新聞の勧誘やら訪問販売のセールスマンぐらいだからだ。綺麗なお姉ちゃんならまだしも汚いおっさんとかほとほと萎える。
いませんよー、俺はリア充なのでいつもいつも外に出ています。なのでうざったい勧誘は早く諦めてとっとと隣へ方向転換してください。とか心のなかで邪険に思って、当然のようにシカトしてたらもう一回ピンポーンとインターホンが鳴った。
だからおらんねん。パソコン開いてエロサイトまわってる俺は今留守にしています。残念でしたね他を当たってくださいほなさようなら。
しかしインターホンは鳴り止まなかった。むしろ俺が居留守という事を見通しているかのようにピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンと連打してくる。あかん、うざい、非常識や。あー、もうめんどいわぁ。と思いながらも重い腰を上げて、俺はいまだにうるさい玄関へと足を運んだ。こんな非常識なのは大体察しがついてしまう。鍵を開ければほら、家出をするたび俺のところへ上がり込む困ったちゃんの登場や。

「……って、なんでお前やねん」
「よっ、忍足」
「よっ、やあらへんよ。なんでお前やねん。俺岳人やと思ったからわざわざ開けたんやで」
「下のコンビニで飯買ってきたんだけどさー、俺ローソン派だからろくなのなかったし。知ってる?ローソンのロールケーキまじまじ美味いよ」
「ファミマ馬鹿にしたら蹴るでホンマ。ファミチキとエクレアめっちゃ美味いやろ。ちゅーかなんでお前やねんって聞いてんねんこっちは」
「おっじゃまっしまーす!」
「聞けやこら勝手に入んな天パ」

ドアの前にいたのは少し面倒だけど可愛らしい岳人ではなくだいぶ面倒でテンションの高いアホい金髪だった。ズカズカと俺の話を聞かずに上がり込んだそいつはわざわざ買ってきたというコンビニの袋からおにぎりをひとつ取り出してソファでそれを頬張っている。なに勝手に上がり込んでんねん。なに勝手にソファ占領してんねん。なに勝手に食べかす溢してんねん。俺の代わりになに勝手にエロサイト巡りしてんねん。

「忍足こんなの好きなの?あっは、きんもー」

飛び蹴りくらわすぞこら。


* * *
ジローを邪険に思う忍足と忍足を馬鹿にするジローが好き過ぎる増えろ。



芸能界パラレル

□マルチタレント跡部
その存在感と類稀なるカリスマ性でいきなりトップスターへと上り詰めた生まれながらのスーパースター。幼少期から海外で過ごし日本へ帰国した途端に父の知り合いである芸能関係者からスカウト。いきなりの映画主演で電撃デビューを果たし演技、歌、バラエティまでなんでもマルチにこなす美形モンスター。

□舞台俳優ジロー
学生時代たまたま出た劇のちょい役で舞台に目覚める。器用さもあり実力、華、才能ともにあるが本人のやる気次第。関係者には色々な意味で名は知られているものの一般人には無名。サボリ魔。テレビへの関心はなくドラマ出演などの興味はない。

□スポーツ選手宍戸
ジローの幼なじみで面倒見がいい。それなりの戦績を残しているため一般人にも有名であり、また頼まれれば断れない性質なので嫌々ながらもトーク番組やスポーツバラエティ番組などへの出演もしていて知名度は高め。CM出演などでそこそこ稼いでいる。会うたびになにかと出演依頼を出してくる苦手なプロデューサーが各局にちらほらいる。

□メンズモデル鳳
母の進めでモデルを始める。男よりも女のファンが多くタレントや俳優業への誘いもきているが本人がシャイな性格なためずっと断り続けていた。しかしとあるドラマ出演のオファーをきっかけに同じくオファーがきていたジローと知り合い、またジローが宍戸の知人だと知りなんとか宍戸と繋がりたい(ジローともっと仲良くなりたい)一心でそのドラマ出演を承諾しまんまと俳優デビューする。重度の宍戸ファン、鳳。

□ロックバンドのボーカル岳人
若者にそこそこ人気のバンドマン。ラジオパーソナリティやDJなども多くやっている知る人ぞ知る派手な人。ジロー・宍戸とは幼なじみ。自分で作詞もするが如何せん誤字が多い。昔は超絶可愛い赤ちゃんモデルだった。自称ロックの申し子。

□今注目の若手実力派俳優忍足
バイト先のバーでスカウトされ興味本位で芸能界に入ってみた。それなりの努力をし朝の特撮ヒーロードラマでオイシイ役をゲット。デビュー。持ち前のセクシーさで奥様方の心をキャッチしたちまち注目の若手俳優として露出が増える。舞台経験はなくドラマ俳優として今後もいく予定。将来は脚本とか映画監督とかしてみたい。


* * *
芸能界パラレルって楽しい



日吉

馬鹿は自己主張が激しい。とは、日吉の単なる偏見でしかない。そんな日吉の視線の先には無駄に奇抜な色をした帽子とさらに派手な模様をしたパーカー。頭の先から靴下、スニーカーの爪先まで見事にカラフルを纏った最短ボーイな先輩が街道ど真ん中でアクロバットを決めていて、その隣には長いスラッとした足を片方だけ街路樹の植木に乗せながら黒いシックなコートにサングラスを掛けた胡散臭い関西人がいる。お馴染みのキャップに赤と紫色のTシャツを着ている先輩は比較的まともなのかも知れないが何故か今後行くところとは全く場違いなテニスラケットを肩に担いでいてその先輩と楽しそうに話しているクラスメイトも然りだ。ちなみにサボり魔の先輩は来る途中汚い地面に大の字で寝ていたのを目撃したが見ない振りをした。
ああ、嫌な予感がする。日吉のその予感は遥か後方から響いてきた「揃ってるかテメェら!」というハイテンションな声により見事に的中する事となった。
……帰っていいだろうか。

* * *

まぁ要するに一緒に歩きたくないよねっていう。




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