こばなし


::黒尾



「ハンバーグ食いてえ」


そう言った俺に、彼女は若干嫌そうな顔をして「わかった」と返事をした。
夕方、彼女からのメールは「買い物して帰るから」というもので。材料なんかを買ってくるのだろうかと期待した俺は、彼女の帰りを今か今かと待っていた。
そうして帰ってきた彼女の手には、


「はい、ハンバーグ弁当」
「……は?」
「? ハンバーグ食べたいって言ってたじゃん」
「いっ…た、けど」

これ、と手渡されたのはお弁当屋さんの袋で。中にはハンバーグ弁当がみえていた。

「ちょ、俺はお前が作ったハンバーグが食べたいって意味でだな!」
「ハンバーグは作れません、ごめんね!」
「え、ええー……」
「面倒じゃん」
「チキンのトマトソース煮とか作ってるだろ!」
「あれトマトソース既製品だし」
「…ハンバーグだって弁当じゃなくて、焼くだけは家でとかさ…ソースはケチャップでいいからさ…そういうさ、既製品でも別のものがあるだろ…?」
「面倒じゃん?」



――――――――
ハンバーグが無性に食べたくてお弁当買ったら思いついたネタ。相手は誰でもよかった。
 

2016.03.31 (Thu) 21:04
HQ!|comment(0)

back


prevtopnext