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「あれ!?もしかして友岡くん…!?…あっ、あの、分かるかな…?私中2でクラス同じだった宮原…」
入学式が終わった後、一人の女の子が航の元へ声をかけながら歩み寄ってきた。
「おお!分かる分かる!校外学習ん時同じ班だった気がする宮原さん!」
「あっそうそう!うわぁ嬉しいなぁ!友岡くんと同じ大学!またよろしくね!」
「おー!よろしくー!」
初っ端から女の子に、フレンドリーに話しかけられている航。これ矢田くんに報告した方が良いか?と俺の側に立つ晃とこっそりアイコンタクトを取る。
スマホを取り出した直後、航が俺たちに彼女を紹介するように振り向く。
「あ、この子俺の中学ん時の同級生ー。んで、こいつら高校ん時の俺の友達〜。」
航はにこにこしながら俺たちを紹介しはじめる。
「どうも〜」と会釈すると、フレンドリーな彼女から「あっどうもー!」と返事が返ってくる。
これまた航の野郎可愛い子と知り合いだな。って、思いながら、手に持っていたスマホでカメラ機能を起動。
「お〜い由香(ゆか)どこ行った〜?あっいたいた!…あれ?由香の知り合い?」
「そ〜!中学の同級生の友岡くん!」
「えーそうなんだー!はじめましてー!」
「おーどうもー!」
カメラを起動したその時、航の同級生の友達が2人現れ、航を取り囲む。にこにこと彼女たちに愛想の良い笑みを浮かべた航にピントを合わせた俺は、その姿をカシャ、と撮影した。
「矢田くん発狂しそうじゃね?」
ニヤニヤと笑いながら、撮影した写真を晃に見せれば、晃はニコリと笑って頷く。
「うん!発狂すれば良いと思う!」
「矢田くんに送ってみようか。」
と言いながらも、俺はその写真を矢田くんに送る気は全然なくって、メールのやり取り中だった雄飛に送った。
【 女子大生に囲まれる航。 】
すると、すぐに返ってきた雄飛からの返信を、ちょっと反応が楽しみでウキウキしながら開ける。
【 矢田先輩には絶対送んなよ。 】
ふふっ、送んないよ。雄飛も矢田くんの反応をまず想像したのかな。って、俺はこの写真を見た時の雄飛の心情を想像しては、ひっそり笑う。
あー…会いたいなぁ、雄飛。高2になった雄飛は、春休みから生徒会の仕事でなかなか忙しいらしい。おまけに春川くんがサボるらしいからちょこちょことメールで愚痴を言ってくる。
そうやって、雄飛とのメールのやり取りに俺は幸せを感じている。勿論電話の方が幸せ。そんで次に、会えた方が幸せ。
なんて返信しようかな〜と考えていると、まだ雄飛に返信していないのにもう一通メールが届いた。
【 良かった。囲まれてるのがなちじゃなくて。 】
俺はそんなメール文を見た瞬間、ニヤニヤするのを抑えられなかった。
「なっちくんなにニヤニヤしてんの?」
やばい、晃に見つかった。
口元を手で隠し、「いや、うん。ちょっとね…。」と晃に曖昧な返事を返す。
一人満足気にスマホ画面を眺めていると、「晃、先帰ろうぜ。」と不機嫌そうな顔をして晃に話しかけている昇。
「あ、うん。じゃあ航ー、僕ら先に帰るねー!」
昇に促されながら、その場を立ち去ろうとする晃が、いまだに女の子たちに囲まれている航に声をかけると、「おーまたなー!」と手を振る航。
昇はそんな航に一瞬鋭い目を向け、何も言わずに去っていった。
……えぇ、なに今の。
俺はなんかちょっと、見てはいけないようなものを、見てしまった気分になった。
ひょっとして昇って、航のこと嫌い…?
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「あっ、おいあの可愛い子今絶対俺のこと見てたぞ。」
「見てねえ見てねえ。」
「おっ、おいあのキョヌーの子俺をエロい目で見てたぞ。」
「それお前だろ。」
「ちょっ、おい「もう分かった分かった分かった!お前ちょっと黙れ!」
大学生活という新生活が始まったにも関わらず、隣には相変わらずの友人。そして、航や矢田くんがいないとなんかちょっと面白みに欠けることにさっそく気付いてしまった。
そして、愛しいりなちゃんからのメッセージは無し。
「…はぁ。なぁモリゾー、りなちゃんに進級おめでとうって送ったのおかしいか?」
「んー、別にそこまでおかしくはないと思うけど差出人がお前だから『お前と違って進級とか当たり前だから!』とかってりなちゃん毒吐いてそう。」
「…りなちゃんはそんな毒吐くような子じゃねえよ…。」
あぁ…可愛い可愛いりなちゃん。
周囲には美人で綺麗な女子大生がたくさんいるものの、俺はそんな彼女たちも眼中にないほど、頭ん中りなちゃんでいっぱいである。
入学式中もりなちゃんからの返信が無いか、俺は気になって気になってずっとそわそわしていた。
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