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『もしもし、あの、あたし力弥くんの知り合いの茉莉花って言います!』


は!?!?!?


なんでお前ら一緒にいるんだよ!!!

モリゾーと通話していたはずなのに、突如モリゾーから代わって電話に出た声に、俺はぶわっと鳥肌が立った。


「え、あ、はい…」


つーか力弥って誰だよ。

しどろもどろになって口を開くと、続けて茉莉花ちゃんは凄まじい勢いで話しかけてくる。


『あのぉ、るいくんの親友さんですか?あたしどうしてもるいくんの彼女と連絡取りたくって連絡先教えてもらえる人探してるんですけどぉ、』


…あ、俺のことるいの親友ってことになってんだ。超絶意味不明なんだけどモリゾーがそう言ったのか?


「るいの彼女の連絡先…?いやー…勝手に人の連絡先教えるのはちょっと…。」

『あなたから聞いたとは絶対に言いませんから!お願いします!!』


えー…なんでこんなことになってんだよ…すげえ必死じゃん。聞いてどうするんだよ…怖すぎなんだけど。

気付けば口の中がカラカラだ。
モリゾーちょっとお前は今晩俺ん家集合。


「いや…るいに怒られるんで…。すんません…。」


ぶちっ、とそこで俺は逃げるように通話を切った。


「ひぃぃぃい!!!こわいこわいこわい!!!」


俺はひょっとしたら、略奪女茉莉花ちゃんを舐めていたのかもしれない。やべえことに首を突っ込んでしまったようで、今更ながらに激しく自分のしたことに後悔した。

あの様子じゃ、多分茉莉花ちゃんが今考えていることは、るいの彼女からるいを奪うことだ。


「あああああやべええええどうしよう…っ」


俺は自宅でウロウロ、せわしなくあっちへ来たりこっちへ来たりして落ち着かない時間を過ごしていると、玄関からガチャ、と鍵が開く音がした。


「あああああるい帰ってきたあああああっ」


気付けば俺は涙目で、ウロウロしていた足を早めて玄関へ向かう。


「わっ、びっくりした、航帰ってたんだ。」

「るいいいいったすけて〜!!!!!」

「うわなんだなんだ。」


るいに両腕を広げながら歩み寄ると、るいも同じように両腕を広げてくれたから、俺はるいの身体に抱きついた。すると、子供をあやすようにぽんぽんと軽く俺の頭を叩くるい。


「茉莉花ちゃんが俺の連絡先必死で人に聞きまくってんだけど!!!」


俺っつーか、るいの彼女!!!


それをるいに伝えると、るいは「あー…」と表情を引きつらせた。

何故かモリゾーと茉莉花ちゃんが同じ場に居たことも知らせると、「あ、それは俺があいつを呼んだから。」と話するい。


なるほど。それでか。

…って、え、それってつまり、

るいが茉莉花ちゃんと一緒に居たってことでは…?


「……やばい、もう茉莉花ちゃんのるい略奪計画は始まってるんだ…。」


サッと顔を青くしながら話す俺だが、るいは「焦るな焦るな、なんのためにモリゾー呼んだと思ってんだよ。」と言って笑った。


「モリゾーがうまくやってくれるさ。」


そう言って余裕たっぷりに笑うるいに俺はまったく理解できない。

なぜるいはあいつをそんな風に信頼しているんだ!?ただのスケベ男だぞ!!!


そう思う俺に、るいは持っていた鞄を置き、着ていた服を脱ぎながら話し始めた。


「今までずっとうっとおしかったんだよなー、美女との合コンセッティングしろだの、美女紹介しろだの、れいと会わせろだの。そんな美女の知り合いいねーっつーの。だからいい機会だからあいつに茉莉花ちゃん紹介してやろーと思って。念願の美女紹介してもらえたんだから、あいつならなんとか頑張ってくれんだろ。」


…えぇ…大丈夫か?

あいつ、俺と茉莉花ちゃんを電話で話させたんだぞ?もう俺怖くてモリゾーからの電話取れねーよ!


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