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ラブストーリーはいらないよ!








ラブストーリーはいらないよ!






ハンゾーの一件は、まだ本人の中ではくすぶっているようだけど
しばらくたつとどこかすっきりした顔を見せるようになった


俺は俺で剣修業が忙しく、ハンゾーも忍びとして本格的に動き始めたらしく
会う時間がめっきり減って、すれ違ったら声かけるくらいになってしまった。

これが落ち着きとか、大人になるってことなのかなぁと思うと
ほほえましいようなさみしいような、である。

あれ、ハンゾーの母気分?


「よ、タクト」


「あぁ。ハンゾー元気してた?」


「まぁ、な。あ〜、で、その、今時間あるか?」


歯切れ悪い様子に悪い予感しかしない。


「時間はあるけどなんか嫌な予感がするから遠慮しとくよ」

「そこをなんとかぁ!!!!」


そういって羽交い絞めにしてくるハンゾー

え、それ反則じゃね?


「だが断る! 絶対面倒事だ! ろくなことにならない!」

動けないのでひたすら振りほどこうと もがくが、しっかりと固定されてしまっているようで…


腹部に一発入れれば抜けられるかなぁ。…それ、下手すると臓器を傷つけそうだ。却下

しぶしぶ、俺はハンゾーの話を聞くことになった。















連れてこられたのはハンゾーの家の茶室

「俺、お前しか頼れねーんだ!」


そこで、ハンゾーに泣きつかれた。
え、泣き落とし?


「いったい何が…」

「俺婚約することになっちまって…」

「おめでとうはいさようなら。結婚式には参加するよ」

「いやいやいやちょ、待ってくれってば」

だって嫌な予感しかしないし! 視界に移る女物の着物とか化粧道具とかさぁ・・・




「今日その相手が家にくんだけど、お前に女装してもらって断る口実に…」


「だーかーらー! 俺は男だって言ってんだろうが!」


お前は俺を怒らせた! そう叫んで女装グッズをもちハンゾーに迫る


「ほらこの鬘なんて恋しいんじゃない? 髪の毛ふさふさになるよ」

「え、おま、ちょ、」

「口紅はこれでいいよね…」

ふふふ…と黒い笑みで見つめられたハンゾーは
自分のしたことに後悔と、今から与えられる恐怖にみをすくめていた。













「あ、あのっ…」

まだ幼さの残る透き通るような声

「お、待ち人の登場ってか?」

その言葉にびくりとなって逃げようとするハンゾーの首元をつかむ。


入り口あたりでおずおずとこちらを見ている少女

ハンゾーの婚約相手というのは 内気そうでかわいらしい娘だった


「ハンゾーさん、ですか? ええと、その…ふっつかものですが」

「いやいや、俺はハンゾーの友達。ハンゾーはこれ」


娘さんの目が俺のつかんでいるもの――ハンゾーに移り…

ぴき、と空気の凍る音

「あ、あの、ええと… 用事ができましたので失礼しますっ!」


少女は風のごとく去っていく




「女装癖のある方はお断りだって。よかったね、ハンゾー」


「よくねぇよばかあああああああああ!」


その日里中にハンゾーには女装癖があるといううわさが飛び交ったそうな










  






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