世界は案外簡単だった | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


聞こえたのは海の音  



「逃がすな!!」

「追えー!!」

今まで賑わっていた街並みが瞬く間に戦場へと早変わりする

「くそっ!ペンギン!船に何時でも出港できるように連絡しろっ…!」

「了解です!!」

船長は素早くペンギンに指示を出すと能力を使いながら後ろの海軍を少しずつ減らしていく
何時もならペンギンやベポだけで十分なのに今回は運が悪いのか数が多い

「ユリ、全力で走れ!」

「はいっ!」

そんな5人の後ろを私も一緒に走っている
あのいつもの日常に戻ったみたいだ

5人はなんとか船を停めている場所まで辿りつき、少し広い踊り場に出た

「先に行け!」

船長は他の4人を船に乗るように指示をし、追ってくる海軍の相手をしている
私も他の4人に続いて船に飛び移った

「キャプテン!全員乗りました!」

「キャプテン早く!!」

「ローさんっ!」

「…っROOM!」

船は既に少しずつ出港しており、船長が乗ったら潜水するつもりだろう
船長はROOMを大きく広げると甲板の箱と入れ替わる

「よかった…」

わっと歓声が上がる甲板で、私も思わずそう呟いていた
しかし、ふと後ろを振りかえった瞬間海軍が少し遠くの方から銃を構えているのが目に入った
歓声と歓喜に包まれている中、誰も気づいていない

「っ…だめっ!」

銃口が狙うのは船長の、心臓

私は駆けだした


パァンッ…!


「なっ…!」

突然の出来ごとに手摺の近くに居た船長は、訳も分からず海に放り出される
…誰にも見えていない私の体と共に

「キャプテンっ!?」

「銃声!?くそっ!海軍の奴ら…!」

「キャプテーンッ!!」

「まずい!また海軍が追ってきている!」

クル―達の声が聞こえる中、私は船長と共に海に呑まれた

[ prev | next ]