『また』
放課後。
ヒロは学校でまだするべき手続きを終え、寮へと帰る。朝から刺激的なものを見せられたり、吹き飛ばされたり、嫌な日になりそうだなと思っていたが、生きてるだけいいとヒロは思った。
「よぉ」
学校の校門を出て帰ろうとした時、何処からか声がした。思わず、キョロキョロと辺りを見る。すると、校門の壁に背を向け腕を組んでいる少年がいた。何だか見たことあるなと記憶を探るが嫌な予感がする。
「俺だよ俺、今朝の」
「えー……と、あっ」
今朝にぶつかったスカートをたくし上げて、校章を見せつけて来た人物だった。名前は綾部。今度は何の用なんだよ……とヒロは後退りをする。
「まあまあ、怯えるなよ、今朝は悪かったな」
綾部はヒロの方を向く。今朝の服装とは違い、ジャージ姿だった。それでもヒロはあまり綾部とは関わりたく無かった。股間に校章を付けるなんて正直言って、一瞬で危険なやつだということが分かる。
「お前、転校生なんだってな。俺、
綾部助平 。お前の名前は?」
「……結城ヒロ」
「ヒロって言うんだな、良い名前だな!」
綾部助平。名前の通り、やる事が破廉恥だなと思う。ヒロがそう思っていると、綾部は体操座りをして、大きく脚を広げる。
「これからよろしくなー!」
開脚で挨拶なんて見た事がない。
それに今朝と同じように股間に校章がついている。ヒロはこれ以上関わりたくないと寮の方へと帰っていった。
綾部は開脚しながら、ヒロが寮に帰っていく姿を見つめていた。