異能学園デゼスポワール


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『台風のような3人』



 朝、昨日と違って早い時間に目を覚ました。せっかくだし、もう教室に向かおうと思って二枚の食パンを取る。少し遅めに行っても、全然間に合うのではないのか。そんな事を思いながら、ゆっくりめに歩いていると、校舎の前に、二人の男が居た。
 一人が黒髪で、ヒロよりも身長が高い男性。もう一人が水色頭でアホ毛が目立つ少年だった。水色頭の方は、中等部だろう。ネクタイの色が高等部のものと違うのだ。高等部は黒いネクタイだが、中等部は赤いネクタイを着用することになっている。彼は赤いネクタイなので、中等部だ。

「おはよう。もしかして君が噂の転校生ですか?」

 背の高い方の男がこちらに近づいた。
 ――あ、何だろう、こういうタイプは関わりたくない。直感が告げたが、逃げ出したら面倒なことになりかねない。

「はい、そうですけど」

 とだけ答える。すると、今度は中等部の方の少年がこちらにやってきてヒロを観察し始める。

「ふーん、貴方が。
シェアスが、面白い子が来たよ! とか言ってたけど、何か気抜けてますね」
「は?」

 ――何コイツ。中等部なのに高等部の生徒呼び捨てにしてる。どんだけ親しいのカップルなのか。
 そんなことを口に出そうとしたが、やめた。それにしても、彼は本当にあのシェアスの知り合いなのだろうか。随分正反対だ。何か冷たいというか馴染みにくいというか……妙に大人ぶっている感じがするのだ。まあ大人っぽいというならもう一人の奴もなのだが。半分睨みつけるように少年を見ていると、

「ティアー!」

 という可愛らしい声が響く。その声にはヒロも聞き覚えがある。
 ……どこにでも現れるなコイツ。
 チラリと見ると、やってきたのはやはりシェアスと、昨日の銀髪少女だ。

「シェアス!? それにイリスまで!? お前ら、何でこんな朝に……?」

 先ほどまでの冷たさは嘘のように消え、ビックリしたように目を見開く少年。ティアとか呼ばれていたが。

「もー! それはこっちのセリフ!」
「一緒に行く……約束した」

 イリスと呼ばれた少女も口を開く。ティアと呼ばれていた少年は、呆れたようにため息を吐いて、

「約束の時間になっても起きないのが悪い」
「じゃあ起こしに来てよ!」
「お前は生徒会長である俺に校則違反しろとでも? 男子が女子寮に入るのは禁止ってあっただろ?」
「じゃあ今から行くよ!」
「は? え、おい!」

 ティアは、二人に腕を掴まれてあっという間に連れ去られてしまった。
 本当に、台風のような奴らだ。


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