Dream | ナノ

Dream

ColdStar

突撃!

数々の難敵を撃破したはいいが、次にどこに向かうべきかをそれぞれ考えあぐねている。
一部では作戦会議が開かれ、一部では戦いの間の束の間の休息を楽しむように談笑している者たちの姿も見える――そんな中。

「さて本日はゴッドイーターとして活躍しているソーマさんに……」
「そう言うのはアリサに任せたって前に言っただろうが。それかリンドウにでも聞いてろ」

独り空を見上げてぼんやりとしていたソーマの耳に届いたのは、既に聞き慣れつつあった舌っ足らずな声。
以前同じような事を聞かれたときには全てをアリサに押し付けはしたのだが、今日はこの場にアリサはいない。視線を送ると、遠くの方でシャオユウやリエラ、エステルと言った同年代の女性陣と何やら話している様子だ。

「いえいえ、今日はソーマさんにしか聞けないことを是非お聞きしたいんです」

ソーマにしか聞けないこと、と言われてもソーマ自身一体何を聞かれ、何を答えれば良いかなんて分かるわけがない。
ちらりとうららの方へと視線を送りはするものの、その答えを待っていられるほどソーマだって暇なわけではない。
うららを置いて歩き出そうとした所で、その背中からうららのマイクがソーマに向けて突き出される。それと共に、うららの言葉が更にソーマの耳に聞こえてきた。

「ソーマさんの帰りを遠い場所で待っている、フェンリル極東支部第一部隊隊長櫻庭藍音中尉へ何かメッセージをお願いしまーす」
「……待て。なんでお前が藍音のことをそんなに詳しく知っている?」

うららが口にしたことに対してソーマは眉を顰めながら振り返る。うららはようやくソーマが振り返ったことで、手にしたマイクをソーマの口元にまで近づけた――そんな彼女が、ソーマの問いかけに答える様子はない。
表情ひとつ変えずソーマにマイクを向けたままのうららに、ソーマの中にあった苛立ちが僅かに強まる。自分がインタビューを受けている立場ではあるのだが、当然ソーマにとってはそんな事は知ったことではない。

「おい、聞いてるのか。何でお前が藍音の事をそんな詳しく知ってるのかって聞いてるんだ」
「アリサさんに詳しくお伺いしました。ゴッドイーターとして一番尊敬している人だと言う事で、その方が本来は公私共にソーマさんのパートナーだと伺っておりますが」
「……何答えていいか分からないからってあの野郎、余計なことまで喋りやがって」

ちっ、と小さく舌打ちして、ソーマは軽くうららを睨み付ける。聞くのは構わないとしても、それを態々自分にぶつけて一体何になるというのかと言う苛立ちがソーマの中にはある。
それよりも何よりも、自分と藍音の関係を面白おかしく喧伝しようと言うのが気に喰わない。ソーマは何も答えることなくうららに背を向けるが……思い直したようにもう一度振り返る。ソーマが振り返った所で再び近づけられたマイクに向かって、ソーマははっきりと言い放った。

「今俺から藍音に言うことなんて何もねえ。あいつは何も言わなくたって俺の帰りを待ってるだろうし、言うべきことがあるとしたらこんなもん通さずに……あるべき場所へ帰って俺の口から直接話す。それだけだ」
「なるほど、大変よく分かりました。ありがとうございまーす」

ソーマの言葉に納得したのか、それまでソーマに突きつけていたマイクを自分の方へと戻すうらら。この調子であれば、これ以上ソーマが余計な事を聞かれる心配はなさそうだ。
それを確かめてから、ソーマは再びうららに背を向け歩き出した。

「話に伺っていた通り、ソーマさんと櫻庭藍音さんと言う方は激しく強い絆で結ばれているようです。遠く離れた場所でも信じあえる絆、それがソーマさんの強さの秘訣の一端を担っているのだと言うアリサさん、リンドウさんのコメントが正しかった事が証明されました」
「……あいつらほんと、余計な事を」

うららがマイクに向けたコメントを聞いて、ソーマは再び眉を顰め……歩く方向を変えた。
小吾郎や零児が中心となった作戦会議の中にいるリンドウや輪から外れた所にいたアリサの方へと向けて……余計な事を言うなと、一言文句を言ってやるために。

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