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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.29 ご褒美遊園地の話(後編)(2/5)
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寝ていた間に



「・・・ん。」

あれからどれぐらいの時間が経ったのだろう。
ふと目を覚ましたエヴァは、ゆっくりと体を起こす。

「あぁ、もうこんな時間。」

自分の腕時計を見て、とっくの昔に正午を迎えていたことに気が付き、お腹が空いていた理由を静かに納得。
そして静かな救護室がもっと静かになっていたことに、やっと気が付いた。

「あれ?アリカ、さん?」

それもそのはず。
ベッドの隣で座っていたアリカが、いつの間にかいなくなっていたから。
自分が寝ているうちに皆のところへ戻ったのだろうか。



遊園地で1人ポツン

休んだおかげで顔色の体調も良くなったエヴァ。
救護室のスタッフにアリカのことを尋ねると、伝言は何も預かってなかったが、ちょっと前にここを出たという情報を教えてくれた。

「ありがとうございました、お世話になりました。」

そうしてお礼を言って救護室から外に出た彼は、とりあえず自分も皆と合流しようと目指そうとする。

「・・・・・・・・・。」

けど、ついさっきまで体調崩していたせいもあってか。ボーッと放心状態。呆然としていて救護室の前から一歩も動いてない。

「・・・っと、いけないいけない。」

そんな自分に気付いてハッと我に戻ったけど、ちょっと様子が変。キョロキョロ辺りを見渡して、アリカがいないと分かると、はぁ・・・っと溜めた息を吐いて肩を落とす。
1人で平気、大丈夫と言った手前の彼だったけど、遊園地で1人ポツンは、やっぱりちょっと心細かったようだ。



上品表現?

そんな時、

「エヴァ!」

「!」

自分を呼ぶ声に、再びハッと我に帰る。
そしてそっちを見ると聞こえてきた声の通りにアリカの姿があり、慌ててこっちに来て追い付いた。

「起きたのか。具合は大丈夫か?もう平気なのか?」

「・・・はい。おかげ様で。」

「あっぶねぇ〜。あと少し遅かったら完全に見失うとこだったのか。悪いな、何も言わず勝手に出てって。」

「いえ、そんな。それはそうとアリカさん今までどちらに?」

そんなアリカが今まで何をしていたかというと、

「ん?あ、あー・・・お花摘み?って言えばいいか。」

「お花、ですか?へぇ、知りませんでした。アリカさん花に興味あったんですね?」

「ばっか、違ぇよ。トイレだトイレ。小便催したから便所行ってただけだ。俺の口から、あんまりこういうこと言わせんなよ。」

「ご、ごめんなさい。」

アイドルしてる彼も人間という訳です。
生理現象だって当然起きるわけで、その、えっと、色々とごめんなさい・・・。



遅いお昼ごはん

そんなこんなで無事、再び2人に戻る。
エヴァもアリカと合流出来て、落とした気もホッとさせて落ち着いていた。

「アリカさん、何か食べました?お腹空いてませんか?」

「おっ!腹減るほどまで回復してたか。じゃあ広場の方に何か飲食店あるみたいだから、そこでメシにするか。」

「はい。」

そしてとっくの昔に正午を過ぎた時間なので、救護室から少し歩いて噴水のある広場から最寄りの飲食店、テラス付きのファーストフードにて、少し遅いお昼ご飯をとることに。

「噴水のおかげで涼しいですね、ここ。」

「だな。風も気持ちいいし、良い場所見つけたな。」

園内のレストランほどのメニューはないが、ファミリーからグループまでオススメされており、遊園地ならではのファーストフードも外せない飲食店なのだ。

「・・・まぁ、俺らは昼メシ自腹だし?『食レポ』なんてしなくていいよな?」

「アリカさん、何の話ですか?それ。」



遊園地のファーストフードも美味い!

「「いただきます。」」

ファーストフードの売店でハンバーガーのセットを買った二人。
エヴァは季節限定モノのハンバーガー。
アリカはイチオシとオススメされていたハンバーガー。

「・・・なんか、さ。遊園地来てまでハンバーガー?って、これ食べる直前まで微妙に思ってたんだけど謝るわ。めっちゃ美味い!」

「こういうところで食べると全然味が違いますね。ただのポテトも凄く美味しく感じます。ホクホクしていて美味しい。」

「だな。普段あんまり行ってないっていうのもあるかもしれないな。バーガーなんて久しぶりに食うし。」

テラス席で広場の噴水を眺めながら、ゆっくり食べて、ここでも穏やかな時間を過ごす。

「俺はこの間の放課後エーチと勉強ついでに行ったので、そこまで久しぶりじゃないです。」

「そういやお前ら明日からテストだったな。どうだ?エーチの数学とか大丈夫そうか?」

「今回は志摩さんも見ていてくれていたみたいなので、なんとかって感じです。」

本当、遊園地で食べるハンバーガーって美味しいですよね。
嫌いなトマトが挟まれてても、食べれちゃう気がします。
しかしそれは気がするだけ。
トマトがいるハンバーガーなんて始めから注文しないので、ちゃんと食べるかどうかは別のお話です。



遊園地に向かない組

「「ごちそう様でした。」」

ゆっくり過ごした昼食を終えた二人。
食べ終えて出たゴミはゴミ箱に。
机の上も綺麗になったところで、入園チケットと一緒に貰った園内案内のパンフレットを広げる。

「さて、と。俺らはどこ行く?」

絶叫系はどちらもアウトの為、全却下。
残されたアトラクションの中から幾つか候補を上げていく。

「うーん・・・、メリーゴーランドとかトレインとかメルヘン系はパスしたいな。男2で乗るのは恥ずい。」

「そうですね。じゃあそれ以外からにしましょう。」

メルヘン系もお互いパスした為、全却下。

「こういうのはどうだ?これなら行けそうかエヴァ。」

「出来れば無しの方向でお願いしたいです・・・。」

けれどエヴァからのパスが続いて、残されたアトラクションはほんのわずか。
そんな会話から知った一つの真実。

「俺、遊園地ってあんまり得意じゃなくて。」

「ならお前。今日、何しに来た?」

どうやらエヴァは遊園地自体が苦手なようだった。



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