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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.29 ご褒美遊園地の話(後編)(1/5)
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後半はエヴァとアリカ

「それではアリカ。エヴァのこと、よろしくお願いしますね。」

時間は遡り、6人と2人の二手に別れるところから始まる。
1人残ったアリカは男子トイレに篭ったエヴァを待つことにした。

「・・・・・・。」

それから10分が経過。

「・・・・・・・・・・・・。」

20分が経過。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

30分が経過。
暫く待っていたけど、エヴァが出てくる気配が微塵も感じない。

(アイツ、このままトイレに住むつもりじゃねえよな?)

たかが数分、されど数分。
これだけ長く籠られると、余計な心配まで生まれてしまうのも無理はないだろう。



不思議な時間感覚

そしてもう10分が追加されて、計40分が経った頃。

「やっと出てきたか、この野郎。」

「・・・・・・、アリカさん?」

やっとトイレから出てきたエヴァ。
篭った彼が再び姿を見せるまで、こんなに時間がかかっていた現実。

「え、あれ?エーチたちは?」

「先行った。」

「え!?」

「え!?じゃねえだろうが。何十分トイレに篭ってたと思ってんだ。」

「・・・10分?」

「腕時計してんのに、どんな時間の感覚してんだ?それ。」

しかし篭っていた本人は、そんなにも時間が経っていたことに気づいてないどころか自覚もなかったようだ。
けれど何はともあれ、まだあまり無事ではないが、彼がトイレから出てきてくれてなにより。



必死のアリカ

自分が篭る前と篭った後で変わった状況を「かくかくしかじか、かくかくしかじか」と、アリカの口から伝えられた。
そこで皆からアリカ1人を残させてしまった原因を知り、謝るエヴァだったが、

「ごめんなさい、アリカさん。アリカさんまで巻き込ませるつもりはなかったんですが。」

「いやいやいや、巻き込んだのはコッチー・・・じゃなくて。悪いのは無理矢理ジェットコースター乗せたイブとユウだから。と、とにかくエヴァが謝ることなんて何もない。何も気にするな。俺の良心も痛むから、な?」

「は、はぁ・・・。」

そんな彼よりも必死に謝ったアリカ。
その姿は、もう必死の必死で必死でした。

「本当ごめんな。いつもいつもいっつも・・・。」

「あの、アリカさん?アリカさんが何に対して謝られてるのか分からないんですけど。」



虫NG

「それより気分はどうだ?まだ悪いなら、もう少し休んだ方がいいんじゃないか?」

「・・・そうですね。頭痛もまだヒドイですし。」

そうしてまだフラフラして顔が青いままのエヴァ。

「じゃああそこのベンチで休むか。いい感じの木陰もあるし。」

「あ、いえ。俺、救護室で少し休んできます。」

「ん!?そんなに具合悪いのか?」

「いえ。ただ単に虫と遭遇したくないだけで。」

虫が大の苦手な彼は、ちょうどいい感じの木陰があってもベンチで休むことを選ばず、おとなしく救護室へ向かうことにした。

「そういやお前、虫ダメだったな。」

「・・・蟻すらダメなので、極力見たくないです。」



意地でも付き添う

テーマパークやレジャーランドには救護室や医務室が完備されているので、急に具合が悪くなったら休ませてもらえる施設があります。
遊園地の乗り物に酔った場合でも大丈夫なので、近くにいるスタッフさんに告げて、そちらへ向かうといいでしょう。
そうしてエヴァは無事、救護室へ到着すると、室内の簡易ベッドでしばらく休ませてもらえることとなった。が、

「アリカさん、ありがとうございました。あとは俺1人で平気なので、アリカさんはエーチたちの所へ戻って下さい。」

「・・・・・・・・・。」

と。ここまで付き添ってくれていたアリカを1人先に6人の元へ行かせようとする。
しかしアリカは一緒に借りたパイプ椅子をベッドの隣に設置。
そしてドカッと音を立てて座り、首を縦にも横にも振ってないが、エヴァが気づかった申し出を頑なに断った。

「いい。」

「いや、でもせっかく遊園地に来たわけですし。」

「いいっつってんだろ。俺も絶叫そこまで得意じゃねえの。アイツら乗りまくりそうだし。」

「けど・・・。」

「俺のことはいいから、さっさと横になってゆっくり休め。具合良くなったら一緒に行けばいいんだから。」



ゆっくりなこの時間

こうして遊園地の救護室にて、スヤスヤと休むエヴァとまだまだ付き添うアリカ。
外から聞こえてくる声はとても賑やかだが、ここの室内はとっても静か。
おかげで進む時間も、とっても穏やかでとってもゆっくり。

「・・・・・・。」

すぅーっと息を吸って、ふぅーっと息を吐いて深呼吸。
肩の力も抜いてリラックス。

「・・・・・・。」

アリカはゴールデンウィークの期間中、確かにあのGW合宿に参加してなかったけれど、ライブやロケに取材等々のお仕事でバタバタしていたのだ。
だからこんなにのんびりと過ごすのは随分と久しぶり。
そうじゃなくても日頃から忙しい彼にとって、ゆっくりとしたこの時間が、ちょっとしたご褒美となっているかもしれない。

「・・・・・・・・・。」

寝てるエヴァが妙に気になって、ソワソワしてあまり落ち着いてないけれど。



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