≪ top ≪ main

CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
はじめから読むページから読むしおりから読む


Act.1 はじまりの話(1/3)
]  [目次へ]  [

ましましま

初めまして、皆様。
俺はこの物語の主人公、真島 志摩。
上からよんでも下からよんでも『ましましま』。
俺の親はなんで俺にこんな名前を付けたのか。
二十云年生きた今でも疑問に思い続けている。
そんな俺も今年で大学生活を卒業。教員免許の資格を得て、卒論の提出が迫ってきた季節に、

「またお祈りされた・・・。」

不採用通知の手紙に屈し、就職に難する就活生へと成り果てていた。



人の夢

小学生の頃の夢、サッカー選手。
中学生の頃の夢、学校の先生。
高校生の頃の夢、教職。
大学入りたての頃の夢、教職。
そして今はー・・。

「・・・・・・。」

今は、あの当時の憧れはすっかり失くなっていた。
いったい俺は今、何がしたいのだろう?



兄からのラブコール

そんなある日。

「ん?」

我が兄から『久しぶり♪今日、飲み行かない?』と誘いのメール、ラブコールが入る。

(そんな時間(というか余裕)あるわけないだろ。このクソ兄貴!)

四年ぶりの兄貴からの連絡。
けれどそんな兄と二人でなんて絶対に出かけたくないし飲みにも行きたくない。
そう思った俺は疲れた溜息を深く吐き、兄への返事を放置することにした。



兄からのラブコール 2

すると一分も経たないうちに、またもや兄からの連絡が入る。

「ん?」

『来ないと志摩くんの赤裸々な黒歴史を、もれなくブログで公開しちゃうぞ♪』

と、ニコニコ笑顔の絵文字付きラブコールが続けて送られてきた。

「う。」

『はい』と『YES』しかない与えられた選択肢。
そこから感じる恐怖のプレッシャー。

(ああ。何故、俺は兄貴に弱み握られただけで、こうも逆らえる度胸がないのだろう・・・。)

結局、兄に逆らえない弟なのであった。



真島 徹夜

その日の夜。
繁華する飲み屋街の公園にて、我が兄と嫌々ながらの渋々顔で待ち合わせ。

「志摩くーん、やっほー♪」

ちなみに兄の名前は真島 徹夜(ましま てつや)。
歳が五つ離れた尊敬も関心も出来ないクソ馬鹿兄貴。

「待った?」

「『待った』じゃねぇよ、クソ兄貴。連絡もなしに30分も遅れてきやがって・・・ッ!」

「アハハー。ごめんねー♪志摩くん。」

ちなみに真島家の兄弟仲は正直に言わなくても悪いです。ものすごく悪いです。最悪です。



遅れた理由

「ちょっと前に仕事が終わったばかりでね。いやぁ、まいったまいった。」

待ち合わせてた時間から30分も遅れでやって来たクソ兄貴。

「そんなに忙しかったのなら事前に一本連絡してくれればよかっただろうに。余計な心配かけんなよ。」

「いや、忙しくはなかったよ?ただ仕事のことで頭いっぱいだったからさ。ついうっかり志摩くんとの約束忘れて、危うくすっぽかすとこだったんだ。」

「ヲイ。」

「帰り道の途中で思い出したから、本当に危なかったよ。」

「人を呼び出しておいて忘れるな!!」

言い訳の理由に嘘も偽りもなく、素直でストレート。
人を脅してまで来させておいて、ケロッとした顔で言ってくる。
久しぶりに会うのに兄への印象は今も昔も変わらず『最低な兄』のままだった。



朝と昼とおやつ

とりあえず待ち合わせてた公園から最寄りの居酒屋へと向かった俺たち。
カウンター席に案内され男二人肩を並べて座り、まずは生ビールで乾杯を交わす。

「ついでにここでご飯も食べていい?」

「別にいいけど?」

そして適当におつまみを。若鶏の唐揚げにポテトフライ。白菜のキムチに枝豆にササミと大葉のフライ。それから兄貴の晩御飯、豚の生姜焼き定食をオーダーして、机の上が見る見るうちに賑やかになっていく。
食事の間も兄貴は生ビール、俺はグレープフルーツのサワーをおかわりした。

「兄貴・・・、ひょっとして朝から何も食べてなかったのか?」

自分の飲み物以外、兄貴が勝手に決めて勝手に注文していたのだが、晩御飯+おつまみにしては量ちょっと多すぎ?
仕事で俺との約束をすっぽかしそうになったぐらいだ。
忙しくなかったと本人は言っていたけど、ご飯食べられる時間はなかったのかな?と、また余計な心配をしてしまう。

「ん〜?朝うどんとおにぎりでしょ?昼カツカレー大盛り。おやつにどら焼き3つ食べて以降、何も食べてないかな?」

「十分すぎるぐらい食べてたな。」

そしてそして本当に要らない心配だったと毎回、後悔と脱力をする俺なのであった。



兄のスーツ姿

「まあまあ。今日は待たせちゃったお詫びにここは僕持ちでいいからさ。遠慮しないで志摩も食べなよ。」

「・・・イタダキマス。」

兄貴と会うのは久しぶり。
最後に会ったのは四年前弱。
急に実家を出ていくと言いだして、引っ越しを強制に手伝わされたとき以来だ。
その間は今日まで一切、音沙汰なし。

「久しぶりに志摩と会って、こうしてお酒飲めるようになってなんだか嬉しいね〜♪」

こうして今は立派に(?)スーツを着こなしているが、いったい今の今まで何をしていたのだろうか。



辛くてほろ苦い味

また兄貴に対して要らない心配をしていた俺。
今は自分の兄より自分のことを心配しないといけないくせに・・・。
そしてお袋が兄貴へこっそりと洩らしたのだろう。

「志摩は最近どう?今年で大学も卒業なんだろ?教員免許取得できた?」

「・・・・・・。」

まさかそのことを兄貴からいきなり触れられるとは思っていなかったから、進んでいた箸がピタリと止まった。

「キンパツ先生のドラマに影響受けて、ずっと教師になりたくて教育学部のある大学に行ったんだもんな。ついに志摩も春から真島先生かぁ。『ましましま先生』、うん。いきなり名前でおちょくられそうだね。」

その手の話題をおつまみにするのは白菜のキムチより辛く、グレープフルーツのサワーよりほろ苦く感じた。



偽りのない事実

どうせお袋から聞いていたんだろ?
だったら隠してたって意味がない。
だから俺は恥を捨てて全てを口にして、言葉にして。

「辞めた。」

と。

「え?」

「だから教師になるの辞めたんだって。」

包み隠さずに。
偽りも嘘もなく話したのだった。

「ごめん。何それ、初耳なんだけど?」

「お袋から聞かされてたんじゃないのか?」

「いや。母さんにもここ数年、一切連絡入れてないからさ。」

「そこは入れてやれよ!母さんが可哀相だろ!!」



挫折理由

それを聞いた兄貴。

「へ、へぇ。そう、だったんだ。」

俺が進学した大学先の話は知っていたけれど、それ以降の話は本当に何も耳にしていない様子。
顔色が一気に変わり、漂う空気も苦くなってくる。

「・・・理由。訊いてもいい?あんなになりたがってたのに、まさか辞めるまで至ってただなんて知らなかったからさ。」

子供の頃から憧れていた夢。
それを辞めた理由。

「名前が読めない。」

「え?」

「大翔(ひろと)とか莉子(りこ)ならまだいい。なんだよ希星とか祈愛とか男とか緑輝とか!読めないし覚えにくいし呼びづらいわー!!」

「あららー。キラキラネームの世代と出くわしちゃったんだね。」

ちなみに希星はきらら。祈愛はのあ。男はあだむ。緑輝はさふぁいあ。と読むそうだ。読めたかな?



]  [目次へ]  [
しおりを挟む



BL♂GARDEN♂BL至上主義♂
2015.05start Copyright ちま Rights Reserved.
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -