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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.26 Birthday of Key (前編)(2/5)
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Act.13参照

そんなこんなで仕事は忙しくないのに兄貴のパシリで忙しかった日の夜。
やっとの思いで退勤した後、俺は真っ直ぐ家に帰らないで一人で商店街のデパートへ足を運ばせていた。

(最近のデパートも、こんな時間でも営業しててくれているから有り難い。)

もちろん用はキィちゃんの誕生日に送るプレゼント選び。
自分の誕生日だって祝ってくれたんだ。
俺だってキィちゃんが喜んでくれるモノをプレゼントしたい。

(どうしようー・・・。)

けどキィちゃんって、何をプレゼントしたら喜んでくれるんだろう?
過去に彼が欲しがったモノを思い出してみる。が、

「〜〜〜〜・・・っ。」

どれもこれもプレゼントに不向きだし送ってはいけない。
キィちゃんへのプレゼント何にしよう?



キィに送る誕生日プレゼント

あれ?でもちょっと待って?
よく考えずにデパート来ちゃったけど、こんなところで買ったモノをプレゼントしちゃって本当に大丈夫?
明日に日を改めて高級なデパートで高級な品物をプレゼントした方がよくない?
つい忘れてしまうがキィちゃんは、あぁ見えても南浦家の御坊ちゃま。
喜ぶ喜ばない以前に、こんな安物を送るだなんて失礼に値するのでは?

(貯金はユウのせいで結構減ったからな・・・。でもそれはそれ、あれはあれ。値段が高かっただけあって凄くよく撮れてたから後悔はない。)

本当にどうしよう?キィちゃんの誕生日プレゼント。



空白の一日は
徹夜×志摩でお好きなように・・・

そうして日は進み、ようやく二日後の今日。キィちゃんの誕生日、5月10日を迎えたその日の夜。
兄貴のパシリに堪え忍んで頑張った俺は褒美として、やっとの思いで、キィちゃんの誕生日を祝う会場のホテルに連れて行ってもらえた。

「うわ!?え?兄貴、本当にここでキィちゃんの誕生会やってるの!?」

「そうみたいだね。」

けどそこは五つ星で有名な最高級のホテル。
黒光りのハイヤーから降りてくる人は著名人ばかりで、皆南浦家からの招待状を提示して中へと入って行く。
ただ1人の男の子の誕生日を祝うだけなのに、これだけの人を招くなんて南浦家って恐ろしい・・・。

「あれ?あの人テレビで見たことない?うっわ!?あの人もワイドショーで見たことあるって!兄貴兄貴、あっちにいるのって確か政治家じゃなかたっけ?」

「志摩くんうるさい。それ以上、騒いだら帰すよ。」

「・・・・・・ごめんなさい。」

こんな場所にいて自分もそうだけど、兄貴も何だか場違いな気がしてきた。



徹夜からの指示

「それじゃあ僕は挨拶しに行くから、志摩くんは好きにしてていいよ。」

そんなこんなでホテルのロビーまで来ると、兄貴は俺と別行動をとろうとする。
まさかこんな場所で突然、自分だけにさせられるなんて不安と緊張で胸いっぱい。

「このリボンを胸ポケットのところに付けといて。これあれば招待客のゲストとなって追い出されることないから。」

「え?ちょっと待てって。俺も一緒に行くって。」

なのに兄貴は俺が何を言っても聞く耳を持ったない。

「・・・志摩。余計な真似だけはしないでね。」

「へ!?」

しかもこんな時に限って、俺を志摩呼び。
いつだってふざけて呼ぶせいで返って反論が出来ず、結局置いていかれてしまう。



結局、ソロで

そんなに俺と一緒は嫌?そんなに俺の礼儀知らずが怖い?自分の弟に対して、そんな失礼なことを思ってる方が失礼!
だけどあれだけ俺を連れて行くのを渋られていたのだ。
おまけにあの兄貴に呼び捨てられて弟ならではの勘が働き、ここにいる間は、その申し付け通り余計な真似だけはしないよう肝に銘じる。
兄貴も兄貴で、兄貴なりに異様な緊張をしているのかもしれない。

(えーっと、会場は確か大会場だっけ?)

そういうわけで兄貴と別れて、ここからは俺一人。
俺の目的は、まずキィちゃんに会わないと始まらない。
著名人ばかりがいる集まりに身も心も狭くなりながら、俺はキィちゃんがいる会場へと向かう。

(そういえばエーチたちは来てるのかな。やっぱり俺一人だけじゃ心細いし三人にも会えたらいいな。)

こんな場所に俺みたいな人間が足を踏み入れても大丈夫?偉い人に怒られたりしない?
不安が不安を呼んで俺を戸惑わせるが、いざ突入!
勇気と根性を味方にして振り絞り、その会場へと入場した。



王子様のキィちゃん

キィちゃんの誕生日会は既に始まっていたようだ。
会場内は彼のお祝いで大変賑やかで、一部の場所に人が多く集まっている。

「桔平様。この度は18歳のお誕生日おめでとうございます。」

「ますます素敵な殿方へ成られましたね桔平様。」

なんだろう?と人と人の隙間から覗くと、その中心には本日の主役であるキィちゃんの姿があった。
今日のキィちゃんは白色の素敵なタキシードを纏っていて、いつも以上に増したとってもとってもお洒落さん。

(え!?今キィちゃん、高級車の鍵貰わなかった!?今、土地貰ってなかった!?なに!?あのくっそ高そうなエメラルドのアクセサリー!)

その姿は絵本とか童話に出て来る王子様そのもの。
せっかくキィちゃんを見つけられたのに、王子様のキィちゃんを『キィちゃん』なんて呼べない。とても呼べる空気じゃない。
ここまで来る根性はあっても、この状況でキィちゃんと呼べるそこまでの勇気は、今の俺には持ち合わせてなかった。



お行儀よく静々と

(ちょっと待つか。)

ここは一旦、退避。
キィちゃんの周りにいる人たちがいなくなれば、こんな俺にもチャンスが回ってくる、はず。
なので俺は会場の奥へと進み、そのチャンスを伺いながら立食型のブッフェを摘むことに。

(ん!?このビシソワーズうっま!凄く濃厚なのに後味すっきり!)

悪魔でも、お行儀よく。静々と。

(ふわぁああ。ローストビーフ超柔らかい!超〜柔らかいぃぃ。)

不安と緊張で胸がいっぱいでも、こんなに美味しければドンドンお腹に入っちゃう。
俺、今きっと凄く高いモノ食べてる!普段じゃ食べれないものも食べてる!お腹空かせてきてよかった・・・!

(あああぁぁ、このビーフシチューいつかの合宿で食べさせてもらった味に似てる!お肉蕩けまくりで超絶美味いぃぃ。)

悪魔でも、お行儀よく。静々と。
最大限にそれを意識しながら黙々と食す。



暇潰しも手詰まり

(あれから誰にも会えないな。)

ただご馳走を食べてるだけでは、あっという間に暇が潰れてしまう。
せめて誰かと。自分の知り合いと話がしたい。
けれどエーチもアズもエヴァも、この会場内でも姿を見つけられない。
テスト期間に入ってる最中だから忙しくて来られないのかな?

(誰か一人ぐらい来てるって思ってたのに・・・。)

あっちも手詰まり、そっちも手詰まり、こっちも手詰まりになりかけてる自分の現状。
ああ、どうしよう。
お腹までいっぱいになってきたから、この場にいても他にやることはない。
キィちゃんの元へ行けれる隙は一向に生まれないし、本当にどうしよう・・・。



ホテルの中庭で

「・・・はぁ。」

お腹がいっぱいになったら外の空気が吸いたくなって、あの会場からついホテルの中庭までやって来てしまった。
キィちゃんの誕生日を祝いたいのに、目的という目的も果たさないで、何をしているのだろう。

(どうしようかなキィちゃんへのプレゼント。皆してすごいモノばかりプレゼントするから、何だか自分のが恥ずかしくなってきた。)

イルミネーションにライトアップされて幻想的に光を照らされている大きな噴水。
それを呆然と眺めて凹みそうな自分を慰める。

(俺は本当、何しにここに来たんだよ。)

キィちゃんにおめでとうって言いたかっただけだったのに、なんでこんな思いしてるんだろう。



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