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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.26 Birthday of Key (前編)(1/5)
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久しぶりに志摩視点

ゴールデンウィークもGW合宿も明けて通常の日常が戻ってきた今日。
しかし今は中間考査が控えてる時期でもあり、今週から栗ノ木高校が。来週には桃月学園と柿崎大学付属高等学院が、テスト勉強の期間に入り学業を怠わせる訳にはいかない。
リライトのバックダンサーとして選ばれたアズとキィの二人にはリライトとのレッスンが入ってるようだが、クロスカルテットの四人揃った活動は丸々3週間ほどオフとなった。

(アズもキィちゃんも成績は優秀だから、オフ中にレッスン入っててもテストには悪影響しないだろう。)

そしてこの物語の主人公なのはクロスカルテットの四人ではなく俺、真島 志摩。
上からでも下からでも『ましましま』と読める俺だけど、彼らがいなければ仕事の忙しさは半減。
現在はまだまだ研修の身なので兄である徹夜の補佐をしているが、お茶汲みだったり書類の整理やコピーだったり単純入力の作業だったり、ほとんど雑用しかやってないしやらせてもらえない。
こんなので本当に仕事のスキルが上がってるのだろうか。
こんなのがこの先もまだまだまだまだ続くと思うと、俺の未来は真っ暗な材料ばかりが蓄積されてないか不安になってくる。

「志摩くーん、これよろしくね。志摩くんの大好きなコピーとホッチキスの作業だよ。」

「うるせー。別に好きじゃないやい!」

兄貴は兄貴で容赦なく、今日も憎たらしいニコニコ笑顔で俺をパシッてくるし。



一通の手紙

チェリーストーンは大きな事務所じゃないけれど、色んな郵便物が毎日に届く。
量は凄く多かったり少なかったり日によって疎らだけど、それを仕分けるのも仕事の一部であり雑用として回ってくるお仕事。

「ん?これ兄貴宛だ。」

そんな中で見つけた一通の手紙。
それは『真島 徹夜様』と兄貴を名指してあり、あまり見かけたことがないとても高価そうな封筒で届いていた。
所属してるアイドルでもないのに兄貴にファンレター?なんて珍しい。
アズ・アリカに続いて人気投票が3位だったから、どっかの物好きが送ってきたのだろうか。

「兄貴ー、なんか郵便届いてたんだけど。」

「え、僕宛に?なんで?」

「なんでって知るかよ。とにかくちゃんと渡したから、ちゃんと読んどけよ。その高価そうなファンレター。」

自分宛に届けられた兄貴もキョトンとしており、その手紙を不思議そうに受け取った。



GWが明ければ・・・

が、

「あー・・・そっか。もう5月だもんね。明後日のスケジュール空けるように調整しないと。」

「え?え?え???」

中に入ってた手紙を読んだ途端、瞬時に把握。
兄貴は思いっきり疲れた溜め息を吐いて肩の力を落とす。
そして直ぐに行動へ移して、自分のスケジュールを自分の休みを潰してまで調整に取り掛かる。

「なに?え、誰からの手紙だったの?」

休みだって俺や真昼さん以上に取ってないくせに、そんな貴重な日を潰すだなんて一体何事?
けどその訳を訊いたら、俺も直ぐに納得できた。

「南浦家からの招待状。」

「え?」

「明後日はキィちゃんの誕生日だからね。」

ゴールデンウィーク明けて直ぐにやってくる5月10日はキィちゃんの誕生日。
忘れていたわけじゃないけど、それを聞いた俺はハッとそれに気づかされる。



キィの誕生日は5月10日

兄貴宛に届いたのは、キィちゃんの誕生日を祝う誕生会の招待状。
明後日の10日に、どこかの高級ホテルの会場で盛大に行われるみたい。

「いいな〜、兄貴!ズルーイ!」

「ズルイって言われてもなぁ。」

「俺も連れてってよ兄貴。」

そこに兄貴だけが招待されるなんて羨ましい。実に羨ましい。
俺も行きたい!
俺も行きたい!!
俺も行きたい!!!

「えー・・・。だって志摩くん、イブのお茶会で作法分からずドキマギしちゃってたんでしょ?」

「な!?何で兄貴がそれ知ってんだ!あの場にいなかったはずだろ!?」

「まひるんから聞いたの。あまりにも情けなさすぎて、僕まで顔から火が出たよ。やめてよね、アホなことするの。」

「う、ぅ、うるさい!今はその話、関係ないだろ!」



俺も行きたい!

「関係あるよ。だって不安すぎるから、志摩くん連れてくの。礼儀とか本当に大丈夫?ちゃんと分かってる?」

「分ぁーってるわい!一般的なことぐらいは、ちゃんと知ってますし、ちゃんとやれますー。」

なので何としてでも、兄貴に連れてってもらえるよう何度も何度もお強請り。
これだけ俺がワガママになるのも珍しく、兄貴に縋るのも珍しい。

「連れてってよ兄貴ー。俺も行きたい行きたい行きたいー!」

「23にもなって駄々捏ねないでくれない?」

高級ホテルとか豪華な料理とか興味あるけど興味ない。
俺だってキィちゃんの誕生日を祝いたいんだ。
その為なら自分の休みを削ってまでスケジュール合わせるし、ズレたとしても雑用メインの俺には何も問題がない。
それだけ行きたいという気持ちが強く、その思いだけで俺は動かされる。



代償として

「なんでもいうこときくから俺を連れてけよ!」

「ほんと?それ。」

けど忘れてはいけない。
相手は信用も信頼も出来ないクソ兄貴だということを。

「じゃあさっそくで悪いんだけど僕のデスク周り掃除しておいて。あとパソコンのバスターも更新しておきたいからダッシュでコンビニによろしく。ついでにコーヒーも買ってきて。それから今月の早朝番と電話番、全部僕の代わりお願い。」

「・・・・・・・・・え。」

そんなクソ兄貴相手に『なんでもします』は一番言ってはいけないワード。
言って後悔するぐらいなら始めからやめておけ。
それを嫌ってほど知っていたはずなのに、会ってなかった空白の四年間で忘れてしまったのだろうか。

「それとー・・・。」

「まだあるのかよ!?」

「だって志摩くん、なんでもいうこときいてくれるんでしょ。これっぽっちでおしまいじゃないから覚えといてね?」

「・・・・・・・・・・・・。」

言いたい放題の注文をしてきて、パシリレベルをグレードアップされたが全ては二日後のため。
全てはキィちゃんの誕生日のための辛抱だ・・・。



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