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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.2 主人公、主役終了?の話(1/3)
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主人公、主役は今回まで?

「え、ちょ、何?このサブタイトル???」

この物語の主人公は俺、真島 志摩。
上からでも下からでも『ましましま』と読める奇跡的なネームング。
作者が『主人公が一番地味でインパクトないから』という理由で付けたのが由来。

「まぁ。気にせずに本編へ行こうか、志摩くん?」

そして俺の兄貴、真島 徹夜。
弟の俺を『志摩』と呼んだり『志摩くん』と呼んだりしている。
真面目な時は呼び捨ての時が多いが、基本ふざけている時などは『志摩くん』呼びするふざけた兄貴だ。



そしてそして主人公(志摩)が主役でいられる話は今回まででおしまい?
なので一話同様、二話も少し長めですがよろしくお願い致します。
どうぞお楽しみいただけますように・・・。



春の節

4月、春。

「真島 志摩といいます。よろしくお願いいたします。」

兄貴のコネで兄貴と同じ職場『芸能プロダクション Cherry stone』で、今日から働くことになった俺。
クリーニングしたスーツにクリーニングしたワイシャツ、クリーニングしたズボンとネクタイ、ハンカチに新しく新調した靴下と黒の革靴。
期待と緊張で胸がいっぱいになり、ぎこちない慎重な表情が緩められない。

「気軽にしていいよ、志摩くん。」

そして兄貴が俺の上司となり、教育係として一年間任命された。



兄であり上司であり

「研修の内容は僕の補佐を一年通してやるだけだから、そこまで硬くならなくていいよ。」

(兄貴が上司・・・。)

兄のコネで入れてもらったのだから、責任者である兄貴が俺の上司になるのは適切であり当たり前?
いや。その流れに文句があるわけではないのだがー・・・。
なんだろう。すごく嫌な予感がする。

「じゃあ早速で悪いんだけど缶コーヒー買ってきて?志摩くん。」

「え゛っ!?」

ものすごく嫌な予感がする。



絶対命令

「すぐそこのコンビニでいいからさ。温かいのお願いね。微糖以外の買って来たらグーパンだから。」

「ちょちょちょ、兄貴?何をいきなり!?」

仕事内容を教わる前に、なんと兄貴は人におつかいを押し付けて来たのだった。
何、いきなりパシらせようとしてんだ、このクソバカ兄貴!ここは家じゃないんだぞ!
だからそれに対して文句を言おうとしたら、

「え?なに?志摩くん、上司の頼みも利けない新人社員なのかな?」

「!?」

ニコニコとした笑顔で、逆らいは許さない絶対的な言葉で命令をしてきた。



昔の思い出

上司ともなった兄貴からの逆らいを許さない言葉。
それを聞いた途端、俺は幼い頃にあった思い出を。弟ならではの苦い苦い記憶を思い出す。

『志摩くーん。これやっといてー。』

『おつかい代わりにやっといてよ、志摩くん。』

『どうせ暇だろ?暇つぶしがちょうどできてよかったな。ってことでよろしくー。』

それは何が何でもパシらせてきた兄貴。
それに逆らえない弟の俺。
あれからもう何年も経った今。

「お代は志摩くんのサイフからよろしくねー。あそこ領収書で切れないお店だからレシートなくていいよ。」

立場はあの頃と変わらず。
むしろより悪化し上司ともなる兄貴に逆らうことなど、絶対に許されないのであった。



走ってもすぐそこ

「ほら。缶コーヒー。これでいいんだろ?」

「わぁ〜♪ありがとう、志摩くん。」

職場の事務所から最寄りのコンビニまで徒歩10分。
その距離を往復走って来たものだから、兄貴の元に戻った頃にはゼェゼェと息を切らしていた。

「これでいいんだろ?ふざけてないで仕事の内容をちゃんと教えー・・・。」

「あ!焼きそばパンも食べたくなってきた。志摩くん、悪いけどもう1回よろしく。安いやつでいいからさ。」

「はぁぁ!?」

なのに兄貴はそれすらも気に構わず、まだ人をパシろうとする。

「いい加減にしろよ!このクソあに・・・!」

「え?なぁに?志摩くん。上司の頼みも利けずに、そんな暴言を吐いてしまう新人社員さんなのかな?」

兄貴でもあり、上司でもある絶対的な命令。
ニッコリと笑う笑顔は、やはり逆らいを許そうとはしなかった。



仕事内容

「僕の補佐をしながら流れを覚えるといいよ。一年間、研修というのもかったるいかもしれないけど、どうしても四季によって色々やらないといけないこと変わってきちゃうから。最初は慣れないだろうけど、我慢してついてきてね。」

「お、おう。」

兄貴はごくごく、むしゃむしゃ。缶コーヒーを飲みながら、焼きそばパンを食べながら。仕事内容を簡単に説明する。

「自分の仕事を覚えた上でしっかり管理しておかないと、ウチのアイドル君も輝けられないし、スポンサーからクレーム入れられちゃうときもあるし、次に繋げれなくなっちゃうから。」

「そうなのか。」

自分のと一緒に他の子のスケジュールもきちんと管理して把握してないといけないんだ。
思っていた以上に、この業界は結構シビアなのかもしれないな・・・。



志摩の役目

「基本的に僕が行けられない場合とか、志摩くんは彼らの面倒見ててほしいかな。前にも言ったけどコッチ側の人間少ないし、ただでさえ恋愛禁止だから不祥事起こしてスキャンダル撮られないように要注意して見張っててくれると助かるかな。」

「彼ら???」

「うちの事務所。まだそこまで資金も大きくない上に年頃の男の子が多いからさ。スキャンダル撮られたら一発アウト。あっという間に破産状況に陥るケースだってあるから。」

そして次に兄貴の補佐として、やらないといけないことを教わる。
恋愛禁止だとか、スキャンダルだとか、小さい事務所だとか。

「後は何だかんだ彼らは学生だからね。本来の学業が劣らないように勉強も見ててあげてほしいかな。四人とも揃って進学校だから成績下がると学校側からストップかけられちゃうんだよね。」

「それは大変だな。」

色々を色々に聞かされた話。
その不穏な空気にのまれた俺は、肝に染み込ませたのだった。

(で?彼らって誰???)



作者的には遠い方

「さ。あとはその彼らに会ってからにしようか。まずは顔を合わせないことには仕事も何も始められないからね。」

「お、おう。」

ある程度の説明を言い終えたのか。
兄貴は他の社員に俺と一緒に外へ出掛けることを伝え、ホワイトボートに書き残し、ビルの裏側の駐車場へと向かう。
そして社用車を使って、とある場所へと俺を連れ出した。

「まだ彼らが春休みでよかったよ。今日は10時からって伝えてるから、もう皆揃っているだろうし。」

事務所から、20分圏内の距離。
近いような遠いような、そんな曖昧な時間。
そして兄貴が言ってた『彼ら』が、すでにこのレッスンスタジオの中で稽古を受けているようだ。



ご対面

さっそくレッスンスタジオの中に入り、

「Cherry stoneプロダクションの真島です。彼らちゃんと集まってますか?」

受付をスムーズに済ませた兄貴は『彼ら』が待つ部屋へと、俺を連れて行く。

「さぁ、お待ちかねだね志摩。この扉の先に『彼ら』がいるよ。」

「ーーー!」

そして入り口のドアをギィと重たい音を立てて開け『彼ら』がいる部屋に足を踏み入れた。



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