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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.1 はじまりの話(3/3)
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ご到着

「ふぁ。」

(梓あくびした・・・、可愛い。)

そんなこんなで歩き続け、ようやくとある建物の前で兄貴が立ち止まる。

「ついたよ、志摩くん。」

その建物は鉄筋コンクリートで出来た古錆びたビル。
近隣に建つビルと比べたら頭一個分小さく、昔ながらで少し安っぽい建物。

「え?」

そしてそのビルには、こう名前が付けられていた。

“芸能プロダクション Cherry stone”

ーーーと。



ようこそ

兄貴と梓は、平然とその建物の中に入っていく。

「兄貴、ここって?」

「僕が勤めてる会社だよ?関係者以外は普段立ち入り禁止だから、あまり僕から離れないでね。まだ仕事してる奴に見つかったら面倒だから。」

「え、え、え。」

そして俺も二人の後をついて行き“芸能プロダクション Cherry stone”に入る。
中は清潔感が漂っており、壁には今話題上昇中で大注目の人気男性アーティスト、ソロで活動をしている『Alica』や二人で活動をしている『Re Light』の他に、色んなアイドルグループのポスターが貼られていた。



Cherry stone

「ようこそ、志摩くん。我が社、芸能プロダクション Cherry stoneへ。」

兄貴に連れられて『いいところ』に到着。
それは俺が妄想していた如何わしいお店ではなかった。
それは誰かが一度は憧れて夢見る世界。
そして僅かな人しかスターになれない、そんな限りのある厳しい業界。

「『いいところ』って、兄貴の職場かよ。」

「『いいところ』でしょ?彼らの見てる夢の続きを最先端で見ていられる場所だから。」

俺は自分の夢が叶える前に挫折をした。
けどここにいるアイドル達は、叶った夢のその先で日々を送っている。



元気でない?

(なんだろう?この脱力感・・・。)

期待していた店と違って何よりだったが。・・・なんだろう。
疲れがどっと後から押し寄せてくる。

「元気でない?志摩くん。」

「まぁ・・・。すごいとこで働いてたんだな、兄貴。」

なんだろう?この敗北感・・・。

「じゃあこれ見たら、もっと元気になれる?」

「え。」



オンリーステージ

そう言って兄貴は俺を一番広い部屋まで連れてくる。

「アズ。今日は皆いなくて一人だけど、練習通りに。いつも通りでいいからやってみて。」

「う、うんっ。」

そして軽快なミュージックがスピーカーから流れ始めると、梓が歌い、曲のイメージに合ったダンスまでも披露。
でも歌わない場面や歌いだしが遅れる場面も多く見られ、ダンスもなんだか物足りない。
全体的にすごく荒いのだが、それでも輝かしく見えたのは、きっと照明の電気だけの効果じゃないだろう。



ホモ疑惑、覚醒?

広い部屋の中で、たった一人で頑張る梓。
失敗は多いのに、それでもめげないで最後まで歌いきった。

「どう?アズもれっきとしたウチのアイドルなんだ。まだ駆け出したばかりだから色々、見てて不安感があっただろうけど。」

こんなのを見せられて、俺は元気になれるほど単純な生き物ではない。

「・・・あぁ。」

梓が(兄貴の命令だったけど)俺のために歌って踊って披露をしてくれたんだ。

「ああ。すごく良かったよ!梓・・・いや、アズならきっとAlicaやRe Lightに負けないぐらい有名になれるはずさ!こんな『いいところ』に連れてきてくれて本当にありがとう、兄貴!」

そんなのを見せられて、俺は元気になれるほど単純な生き物だった。

(アズ、最高ーッ!)

「うわぁ・・・。志摩くん、きもい。」



兄からのスカウト

「で。僕が何を言いたかったかというとー・・・。」

「まさか俺も芸能界にデビューしろと!?」

「違う。そうじゃない。オス喰い変態狼なんて誰も見たがらないし、そんなことしたらウチの会社が崩壊するよ。」

「誰がオス喰い変態狼だー!!!」

そして兄貴は、単刀直入にこう言ってきた。

「志摩もここで働いてみない?そんな彼らを支える側の仕事を。」



弟のプライド

まさか兄からの仕事の誘い。

「小さい事務所だから人手不足で困っててね。志摩、教鞭持てる資格あるわけだし。案外、適性あるかもよ?オス喰い狼の件はおいといて。」

「だから誰がオス喰い狼だ!」

それは何かの気遣いなのだろうか。優しさのつもりなのだろうか。
卒業までに内定が危うい弟に手を差し伸べてくる。

「僕の紹介+僕の弟だから、それなりに融通利くと思うよ。この会社じゃ僕、信用高いから。」

まさに棚から牡丹餅。兄から牡丹餅だった。
でもそれは何だかズルイ・・・。
それに俺にだってプライドがある。
四年ぶりに会った兄だとは言え、いくらなんでもそれは甘えてはならないことだ。



梓から志摩へ

「兄貴。悪いけど、その話はー・・。」

そもそも兄弟共々、同じ会社で働くってどうなんだ?
社会的に見ても絶対に卑劣な言葉を浴びせられるだろう。

「しまちゃんも、てっちゃんと一緒に働くの?」

そんな中、こっちに戻ってきた梓。
今の兄貴と俺の話を聞いていたようだ。

「嬉しいな、嬉しいな。これからもよろしくね、しまちゃん。」

ニッコリとした笑顔でペコリとお行儀よくお辞儀をしてくる。
「よろしくお願いします」と頭を下げて。

「・・・・・・。」



弟のプライド 2

棚から牡丹餅。兄から牡丹餅。

「兄貴。悪いけど、その話ー・・。」

「ん?」

「俺からも是非、受けさせてほしい!上の方にも前向きで検討していただけるようお願いしてもらいたい!」

何がズルイって?
何がプライドだって?
梓からお願いされたら仕方ないって!
あっという間に心の天秤が『梓』で傾き、モノの見事に心境も180度ひっくり返るのでした。

「ごめん、志摩くん。なんかちょっと不安になってきた、僕。」



よろしくお願いします!

それから兄貴からの連絡がちょくちょく入り、面接の日程を調整させる。
兄貴の紹介+兄貴の弟という兄貴のコネでCherry stoneの社長との面談。
社長は兄貴とは違い心優しいお方で、快く話を最後まで聞いてくれた、その数日後。
採用通知の郵送が俺宛に届けられた。



そして月日は流れー・・。




4月。春の節。

「今日から芸能プロダクション Cherry stoneで働くことになりました真島 徹夜の弟、真島 志摩といいます。よろしくお願いします!」

兄貴と一緒の勤務先。
芸能プロダクション Cherry stoneの社員として働くことになるのでした。



『CRO×QUAR』の第一話を
読んでいただきありがとうございます!

『CRO×QUAR』と書いて、読み方は『クロカル』
覚えていただけると大変嬉しいです!!

初っ端から主人公が暴れておりますが
クロカルは青ノ葉に次ぐメイン小説です
お話も長く長く続きますし続かせますので
どうか末永くよろしくお願い致します!


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