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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.9 クロカル初合宿の話(中編)(1/3)
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眠れない夜で

それからクロスカルテットの皆が寝に入った夜。
志摩は睡魔と闘いながら、徹夜からの連絡を待っていた。
その時、

「志摩ちゃん、まだ起きてたの?」

「あれ。どうした?エーチ。」

エーチが静かにやってくる。

「疲れてて眠たいはずなのに、なんか目が冴えてきちゃって・・・。」

どうやら慣れないベッドで眠るタイミングを逃してしまい、今までも起きていたようだ。

「はい。ココアでよかった?」

「うんっ。ありがとう、志摩ちゃん。」

眠れないエーチにはホットココアを。
起きてなくちゃいけない自分にはホットコーヒーを。
エーチと一対一で話すのは、これが初めて。
クロスカルテットのリーダーとしても、一度ゆっくり話してみたかった志摩。
なのでこの機会にエーチが眠たくなるまで、話に付き合うことにした。



エヴァの料理は美味しいんだよ

「今日はお疲れ様だったね。それとさっきの親子丼、本当に美味しかったよ。ありがとう。」

「え、あ、へへへ。こちらこそありがとう志摩ちゃん。」

エーチの隣に座り、今日あったことを話題にする。

「でもエヴァがサラダじゃなくてメイン作ってたら、オレ絶対に負けてたと思う。」

「え?」

「今日作った親子丼も、実はエヴァから教わったやつなんだ。めんつゆでも簡単に出来るからって。」

「へぇ〜、そうなんだ。」

「エヴァが作った料理、本当に美味しんだよ!今度食べさせてもらいなよ。」

するとエーチは自分のことよりも、エヴァのことを押してくる。
ここまで強くオススメされると、気になってきて仕方がない。
実際にあのサラダ美味しく食べれたんだ。
エヴァも自分がいないところでこんな噂話をされていたら、きっと眠りながらクシャミしてしまうに違いない・・・。



キィちゃんは凄いんだよ

「練習も大変だったよね。お疲れ様。」

「あー、うん。怒られてばっかりだったらから、なんかカッコ悪かったよね?」

「そんことないよ。みんなすっごく頑張ってたよ。」

今日あったことを話題にして、エーチと話を続ける。

「でもきっと一番キツかったのは、キィちゃんだと思うな。」

「え?」

「センターだからっていう理由もあるんだろうけど、完全にオレが足引っ張りまくってたし。」

「そんなことなかったと思うけど・・・。」

「本当に凄いよね、キィちゃん。キィちゃんだって疲れてたはずなのに、すぐ持ち前の元気で復活しちゃうしさー。」

するとエーチはまた自分のことよりも、キィのことを押してくる。
確かに厳しい稽古だった後でも、いつもの元気だけは失われていなかった。
皆を巻き込んでクッキングバトルとかいきなり始めたけれど、キィなりに他のメンバーを元気付けたかったのかもしれない。



一番伸びたのはアズなんだよ

「でも今日の稽古で一番伸びたのはアズだよ。」

「え、そうなの?」

今日あったことを話題にして、エーチとまだまだ話す。

「稽古中も欠伸ゼロだったからね。」

「あー・・・。言われてみれば、そういえばそうだね。一回もしてなかったね。」

「いつもじゃないのが本当勿体ないぐらいなんだよ。テンション高いときのアズは実力のあるキィちゃん超えるときあるから。」

するとエーチは、またまた自分のことよりもアズを押してくる。
確かに練習中に『ふぁ』と欠伸をするアズの姿を見ていない。
ひょっとしたら次の曲で、もうちょっと前に出て来れるんじゃないかと期待してしまうほど、今日のアズは実によかった。
・・・もちろん不純な気持ちは一切なしで。



仲間思いのリーダー

エヴァが。キィちゃんが。アズが。
それからもエーチは自分のことよりも、他のメンバーのことばかり話してくれた。
その話を聞き、志摩は思う。

「そういうエーチだって十分凄いじゃないか。」

「え?」

「相手のことをちゃんと見てる上、素直に褒められるなんて早々出来るもんじゃないんだよ。」

さすが、クロスカルテットのリーダー。

「え、え、え。そ、そう・・・かな?そうかな〜?」

そして、とても仲間思いの子なのだと知る。
けどエーチは、あまり褒められることに慣れてない模様?
照れると表情が緩んでしまう上、少し焦ってしまうようだ。

「へへへっ。」

でも悪い気は全然しない。
アホ毛もピコピコあらぶるほど喜んでもらえるのなら、いくらでも褒めてあげたくなる。



経験不足の補佐

(それに比べてー・・。)

志摩は今この場にいない徹夜のことを思う。
まだ姿も見えなければ、連絡すらも入ってこない。

(何をやってるんだろうな、兄貴の野郎。)

夜には来ると朝に伝えられた後なだけ、生まれた不安。

「エーチ、今日はごめんな?兄貴じゃなくて俺なんかで。」

「ん?」

「皆にも不安な思いさせてたよな?」

「え?なに?急にどうしたの?志摩ちゃん。」

そこにどんな理由があったにしろ。この子たちにとっては、それは嘘つきになってしまったのだから。



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