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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.62 Birthday of Achi(後編)(2/3)
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ほろ酔いも危険度高まる男につき

こうして明日の朝までエーチと2人きりで過ごすこととなった今晩。

「お腹空いてたりしない?大丈夫?」

「平気。キィちゃんのカレーいっぱい食べたあとだから大丈夫。」

「そっか、良かった。お茶とかお代わり欲しかったら冷えてるの冷蔵庫にあるから、好きに飲んでいいからね。」

「ありがとう、志摩ちゃん。」

仕事上の関係を除けば、社会人と高校生。
23と17の差は6つ。割と大きな差。

「仕事してる男の人って、家に帰ってきたら晩酌してるイメージが強いんだけど、志摩ちゃんはお酒飲まないの?」

「あー、うん。ほろ酔いでも平和を保っていられる自信がないー・・・じゃないや。明日も普通に仕事だから。お酒が次の日にまで残ったら嫌だから、基本的には休日前にしか飲まないようにしてるかな。」

だからこそエーチの目から志摩が『いいお兄さん』としていられるよう、年上の男としても格好が付くリードを保ちたい。
なのでプライベートの場でも親しい存在であることを望み、お酒は絶対に飲まないよう今夜だけでも禁酒を心で強く誓った。



『自分』か『エーチ』か

それからお風呂を済ませたら、あっという間に就寝へ。
志摩個人として寝るのは少し早いけど、そこはエーチに合わせたい。

「それ。学校のジャージ?」

「うん。あ、でもこのジャージ汚くないよ。今日は保体の授業があった日なんだけど、体育じゃなくて保健に変わっちゃって。せっかくジャージ持ってったのに全然使わなかったから。」

「着替え大丈夫かなって思ってたんだけど、それなら大丈夫そうだね。」

けど、そこで大きな問題点が1つ。
志摩はまだ1人暮らしを始めてから数ヶ月しか経ってないので、存在する布団セットは1組分のみで来客用はありません。
なので必然的に、布団で寝れるのは『自分』か『エーチ』か。床で寝ることになるのは『自分』か『エーチ』か。その2択で狭まれる。

(俺だって今日も仕事で疲れてるし、明日も普通に仕事だしな・・・、うん。)

でもそれは迷いもなく、ほんの数秒で即決。

「それじゃあエーチ。寝る時、こっちのベッド使っていいからね。」

布団で寝れるのは『エーチ』。
床で寝ることになるには『自分』。
そこに異論はなかった。



嘘は、その場より後のが怖い

しかしエーチは志摩の案に頷く前に、

「え。志摩ちゃんは、どこで寝るの?」

と、訊いてくる。
その返事にちょっと戸惑った志摩だったが、正直に答えても偽っても結果は変わらないけど、経った時間の後では印象が違う。

「あー・・・、俺んち。布団、それしかないから。エヴァんちのように来客用のはまだなくて。」

そもそもエーチに嘘を付きたくないから、ここは正直に。

「だからこっちのベッドはエーチが使っていいよ。俺は床で寝るから。」

訳も話して、今度こそ頷いて貰おうとした。
だけどー・・・。

「え、床!?そんなの駄目だよ!」

エーチは志摩の案に異議を申し立てる。



譲らない同士の主張

「志摩ちゃんがベッドで寝るべき。オレは床でも全然平気だよ。志摩ちゃんだって仕事で疲れてるはずだし、そもそもここは志摩ちゃんちで、志摩ちゃんが家主なんだから。」

真っ向から反対するエーチ。

「いやいや。エーチはお客さんなんだから、そこは遠慮しないで。遠慮されると逆に困るというか、お客さんのエーチを床でなんて寝させられないよ。」

そこは素直に頷いて欲しい志摩。

「遠慮じゃないよ。アポも何もなしに突然来て失礼してるのはオレの方だよ。志摩ちゃんちに泊めて貰えるだけでオレは御の字だから。」

「いやいやいや。そう言われても俺、エーチを床で寝かすなんて出来ないよ。」

「オレだってヤダよ〜。」

お互いにお互いの意見を譲らない主張。
どっちも譲る気がないからキリが付けられず、平行に続いていく。
はてさて、どうしたらいいのだろう。



解決に導いたのは

けどこの問題点は、キリを付けさせたかった志摩の意見により解決へ。

「んー。でもそれだと俺と一緒に寝るしかなくなってくるよ。絶対に狭いし、エーチだってイヤじゃない?1つのベッドで男2人で寝るの。」

エーチに『それはイヤだ』と気づいてほしかったから。
志摩も『じゃあおとなしく俺に従ってね』と続いて返したかったから。
そんな思惑通りに誘導させたかったのに。

「・・・いいよ。」

「え。」

「オレは、・・・いいよ。志摩ちゃんとなら・・・。」

「・・・・・・・・・。」

それでコクリと静かに頷いたエーチ。

「あ。志摩ちゃんがオレとじゃイヤなら、オレは床で「いやいやいやいや。俺もー・・・、エーチがイヤじゃないならいいよ。」

それ以外は話が戻されてしまいそうになったから、それで志摩も思わず賛同。
あんなに続いた平行は『一緒の布団で2人で寝る』で、収まり良くストンと解決する。



一緒の布団で寝る2人

こうして志摩は、エーチと一緒に寝ることとなった今夜。

「大丈夫?オレのせいで狭くなってない?志摩ちゃん。」

「平気だよ。エーチこそ大丈夫?狭くない?」

「うん。大丈夫だよ。」

おかげで今までの中で、一番近いエーチとの距離。
シングルベッドに男2は案の定で狭くて、少し体を動かすだけでも簡単にぶつかってしまう。
緊張してドキドキと脈打つ鼓動は、本当に緊張だけの感情?

「志摩ちゃん、今日は本当にありがとね。」

「いやいや。これぐらいは、うん。また何か困ったことあったら、俺に頼っていいからね。」

「うんっ。」

今夜限りの禁酒効果で暴走は抑えることは出来るが、狭いからこそ大丈夫じゃなくなった時が凄く怖い。
志摩はドキドキする脈打ちに翻弄させられながら『自分は紳士であれ』と、必死に自己を暗示する。



おやすみなさい

するとその瞬く間に。

「スー・・・。スー・・・。」

「へ?」

直ぐ隣にいるエーチから、ぐっすり眠っているような寝息が聞こえてきた。

(えええ?もう寝た!?エーチ、もう寝たの!?)

それは一緒の布団に入ってから、まだ数分しか経ってない短い時間。
なのにあっという間に寝たエーチ。
どうやら彼は、よっぽど疲れていたようだ。
これならさっきいつまでも言い合ってないで、さっさと一緒に寝ればよかったのかな。そうすればもっと早くエーチを寝かせてあげれたのに・・・。

「・・・おやすみ、エーチ。」

そんな遅い後悔を反省しつつ、自分の隣で寝てるエーチはとっても無防備。
安心してる寝顔は、自分を信じてくれている証。

『自分は紳士であれ』

志摩はエーチの信用を裏切らないと、強く誓って強く暗示て、この夜を必死に過ごした。

「おやすみなさい、志摩ちゃん。・・・ごめんね、嘘ついちゃって。」

だから自分が寝てる時に聞こえてきたエーチのこの声は、夢だったのか現実だったのか。
朝を迎えて起きた頃には、どっちだったのか判断が分からなくなって、夢物語のようにあっという間に忘れてしまった。



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