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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.7 勤務7日目の話(3/3)
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小さな不安

「・・・オレたちも、いつかアリカ先輩のようになれる、のかな?」

エーチの口から出た小さな悩み。

「・・・。」

それにエヴァも影響されたかのように溜め息を小さく聞こえないように吐く。
気をつかったつもりなのだろうけれど、近くにいた志摩にそれは届いてしまった。

(不安、だよな。)

クロスカルテットが結成されたのは3ヶ月〜半年前だと聞かされた。
そして持ち歌は、あの一曲のみ。
今はその一曲や先輩アイドルの曲の歌や振り付けなどを覚えたりして、特訓の日々を費やしている。
けれど肝心なデビューを飾っていない。



絶対になれる!

まだ志摩には分からないし、詳しいことを何も分かっていない。
クロスカルテットのメンバーのことも。
チェリーストーンの事務所のことも。
何一つ詳しいことは分かっていない。
そんな志摩だけど、持てた一つの確信。

「絶対になれるよ!」

きっと・・・じゃない自信を。
100%?120%?そんな割合以上に持てた確実な自信。

「アリカに並べ、超えられる力がクロスカルテットにもあるよ!だから絶対に大丈夫!絶対になれるから!」

「・・・志摩ちゃん。」

それを力強く伝える。
少しでも彼らの背中を期待に押せれたらいいなと願いを託して。



エーチマジック

「志摩ちゃんにそう言われたら、なんか元気になってきた。ありがとう、志摩ちゃん!」

ピコピコあらぶるエーチのアホ毛。
ついさっきまで萎れていたのが、一瞬で復活。

「オレたちもアリカ先輩に負けず、置いてかれないように頑張るぞ〜!よしっ!」

そんなエーチの力は、さすがクロスカルテットのリーダーと言えるほどのマジックだった。
元気になった彼を見て、エヴァも表情が柔らんでおり少なからず、また影響を受けていたのでした。



志摩の日誌帳

それから二人の勉強会が終わり、事務所の玄関まで見送る志摩。
そして自分のデスクに戻り、今日一日あったことを日誌として簡単にまとめた。
日誌といっても、これは業務上でやってる仕事とは別で志摩自身が個人用として勝手に書いているだけの行為。
ノートだって、ただの大学ノート。
でも内容は、ほぼ仕事関係のこと。クロスカルテットのメンバーに関わることを大半に占めている。

(・・・。)

日誌帳は、まだ一冊目の数ページ目で書き始めたばかり。
これが最後のページまで埋まるその頃までには、今よりも彼らと馴染め近づけられていますように・・・。
また一つの願いをそう託しながら、今日の分を書き終えたのでした。



お疲れ様?

数時間後。

「あれ?まだ残ってたんだ、志摩くん。」

すっかり夜が更けた頃。
志摩以外の社員が帰宅してから暫く経った後、兄の徹夜が事務所に帰ってくる。

「俺が帰る直前で電話番任せてきたのどこの誰だよ。」

「あ、僕だったね。ごめんごめん。すっかり忘れてた。」

クロスカルテットの活動が今日はお休みだけあって、今日はずっとアリカにつきっきりだったらしい。
アリカ自身、忙しそうだったからな・・・。
でも徹夜の顔色はいたっていつも通りの普段通り。
疲れている様子は感じられなかった。



少しの余裕

「どう?せっかくだから、これから飲みに行く?」

「パス。」

今は徹夜と志摩の二人のみ。
周りに他の人がいないときは、上司でもある兄に対して志摩の心にちょっとだけ余裕が持てる。

「えー。上司からの誘い断れるとでも思ってるの〜?志摩く〜ん?」

「その上司から明日の早朝番任せられているというのに、今から飲みに行けられるほど時間あるか!」

「あ。そういえば僕、志摩くんに頼んでたね。ごめんごめん。すっかり忘れてた。」

けれど油断は禁物。
これ忘れたらアウト。



一週間の結果

「ところで志摩くん。少しは慣れた?」

チェリーストーンに勤めてから一週間が経った今日。

「兄貴にパシられまくるわ。クロスカルテットの皆とも、まだ少ししか関われてないわー・・・で。正直、あんまり自信ないな。」

そんな状況の中で慣れるというのは少々、難しいお話なのでは?
徹夜にパシられるのはともかくとして。
アズにしてもエーチにしても、キィにしてもエヴァにしても知らないことばかり。
志摩は徹夜の補佐だし、出来ることは少ないだろうけれど・・・。
それでもクロスカルテットの皆と、もっと関わっていたいし、もっと仲良くなりたい。
たった一週間だけど、その気持ちは一週間前よりも大きく強くなっていた。



居場所

「そっか。」

それを聞いて満足そうに笑う徹夜。
窓に背を向けて、壁に寄り掛かる。
そして志摩に向かって、こう述べるのでした。

「ここが志摩にとって、良い居場所になれればいいね。」

・・・と。

「・・・・・・。」

一度、夢を失った人間に、そう言葉を残す。
珍しく徹夜が真面目な台詞を吐くものだから、その一言はとても意味深い言葉に聞こえ、強く印象に残った。



命令は絶対な上司のお兄ちゃん

でも真面目だったのは、その一瞬だけだった。

「さてと、近場の居酒屋どこだったかなー?」

「はぁ!?だから俺、行かないって!行けられないって言っただろ!」

「どんな理由があっても上司からのお酒の誘いを断るなんてダメよ〜、ダメダメ。なってないよ〜?志摩くん?」

「なッ!?軽々と余裕でパワハラすんなッ!!このブラッククソ上司ッッ!!」

「大人の社会関係、甘く見ちゃダメだからね?上司としてではなく兄として、ついでにお説教してあげようか。」

朝早いと断ったのにも関わらず結局、強制的の強引にお酒を飲みに付き合わされるハメに・・・。
やはり志摩にとって兄の徹夜は最低で、命令は絶対的。
そこにどんな理由があっても逆らいは許されないのでした。



『CRO×QUAR(クロカル)』の第七話を
読んでいただきありがとうございます!

アリカの誕生月7月に合わせ、
初登場も7の7話に合わせたかったので
無理矢理、登場させました(汗)

アリカのイメージカラーは作中でも紹介した通りピンク
アズのがピッタリな気もしますが
アズだとピッタリすぎるので却下
可愛いピンクというよりも
カッコイイピンクでイメージして頂ければ幸いです


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