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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.57 志摩と4人で夏祭りに行ったお話(3/4)
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常時カード生活

しかし見つけられたのはエーチとキィの2人だけ。
逸れた3人の中、あと1人、アズの姿まではなかった。

「え!?アズも逸れちゃったの!?」

「ああ。エヴァに俺とは反対側を捜してもらってるから、そっち側にいててくれるといいんだけど。」

いったいどこに行ってしまったのだろう。

「でもよかった。しましまちゃんが僕らのところに戻ってきてくれて。」

「だから違うってば。志摩ちゃんがじゃなくて、オレらが逸れちゃってたんだよ、キィちゃん。」

けどそれをちょっと置かれるように。
キィから志摩へ。
ちょうど再会出来たことによって、気になっていたこと質問してくる。

「ところで1000円札って、どうやって使ったらいいの?」

「「え。」」

だが、その質問はナナメ上すぎる内容。

「端から千切って使っていったらいいの?」

「わー!だめだめだめ!!」

「お金破っちゃダメだよ!キィちゃん!」

今までカードしか使ったことがなく、お札の使い方をよく分かっておらず、エーチも一緒になって大慌てでそんな彼を止めた。
一般的な知識が、ここまで疎いとは思わなかった・・・。



教えて、しましまちゃん

魅力溢れる屋台の中から1番面白そうと言ってた射的を。
志摩からもらったお気遣いを使って、キィが挑戦することに。

「じゃーんっ!どうどう?僕、カッコいい?」

「おぉー!」

そしてさっそく射的用のコルクタイプの鉄砲を1丁手に取って見せてくれたが、さすが黙ってればパーフェクトなキィ。
持った姿は、とても似合っていてカッコよかった。

「あ、あれ?これってどう打ったらいいんだろう?授業で使うのとちょっと違う。」

「授業?」

けれどよかったのはそこまで。
構え方までは分からなくて、チンプンカンプン。

「ねえ、しましまちゃん。これどうやったらいいの?」

「え。こうだよ。こんな感じ。」

「え???」

「ちょっと借りるよ、キィちゃん。だからこんな感じ。」

「え、え、え???」

ジェスチャーや実際に志摩が見せても、理解を得れない様子。
仕方がないので、もっと直接的に教えてあげることに。

「ちょっとごめんよ、キィちゃん。」



アバンチュール キィver

「だからー・・・、こう。」

「!」

もっと直接的。
一緒に構えることで覚えてもらおうとしたが、一緒なので、その距離はとっても至近距離。
今までかつてなかった志摩とキィのこの近さ。

「ー・・・で。欲しいなって思った的を狙って、打つんだけど。」

「・・・・・・。」

「聞いてる?キィちゃん。」

「あ・・・、うん。」

それにびっくりしているのか。
さっきまであんなに元気に燥いでいたのに、すっかり静かに大人しく固まっていた。
でもキィと親しい仲になれたからこそ起きた(恋愛ゲームで例えればイベントスチルのような)お約束。
しっかりリードしてエスコート、射的チャレンジに付き添おう。

(キィちゃん、お願い。緊張しないで〜!俺まで緊張してきちゃうから。)



アバンチュール キィver 2

ドキドキしてきた気持ちを抑えつつ、射的のやり方を教授。
大人しいキィもやっと理解を得れたようで、ポン。ポン。ポン。と、ディスプレイに並んでる景品の中から、とりあえず目の前のを狙って、ゆっくり打っていた。

「なんか、ドキドキするね。これ。」

「え。」

「しましまちゃんにいきなり抱き付かれたかと思って、びっくりしちゃった。」

「う、う、う、うん。なんかごめんね?こうしないと構え方、上手く教えられない気がして、つい。」

けど最後の1発は、キィだけで。
キィがやりたいって言い出して始めた射的なんだから。
何も当てれてはないけど、だいぶ打てるようになったし、もう大丈夫だろう。
だからあとは任せて離れようとしたが、

「どこいくの?しましまちゃん。」

「へっ?あ、いや、最後ぐらいはキィちゃん1人で。」

「最後まで一緒にやろうよ。・・・びっくりしただけだから。しましまちゃんが嫌だったとかじゃない、から。」

「う、うん。」

それをキィが嫌がった為、最後の1発まで志摩と一緒に。
射的って、こんなにドキドキするゲームだったかな?
思わずそんな錯覚を覚えさせられた。



射的は基本的に取れない ?

「あー・・・。結局、何も取れなかった。」

「どんまい、キィちゃん。」

そして長くてあっという間に終わった射的チャレンジ。
何も景品を取ることが出来なかったけど、それもまた醍醐味の1つ。
こんなにも取れないんだーっと残念そうに言っていたけど、その表情は明かに別のことを考えている。

「・・・・・・っ。」

キィは照れると大人しくなってしまうようだ。

「あー、やっぱり射的って難しいよね。お祭りの射的って、何か取れた試しないもん。」

するとそこへ、この空気を入れ替えてくれるように。志摩とキィの間に、エーチが入ってくる。
正直、そんな彼に助けられたけど、今まで何処かに行っていたのかな。
いつの間にか手に、たこ焼きを持っていた。



アバンチュール エーチver

「たこ焼き、買ってきたの?」

「うんっ。志摩ちゃんたちが射的やってる間に、隣の屋台から。小腹空いちゃって。」

どうやら志摩からもらったお小遣いを使って、買ってきたようだ。

「あれー?たこ焼きなのにタコ入ってないのある!」

「あははは。お祭りのたこ焼きって、そんなもんだよね。」

「うぅ、ちょっと損した気分。オレ、たこ焼きのタコ好きなのに。」

チャームポイントのアホ毛もフリフリと。
子犬の尻尾のようにさせていて、とっても楽しそうにしている。
その時、

「はい。志摩ちゃん、あーん。」

「え。」

エーチから志摩へ。
満面な笑顔で、爪楊枝に刺さったたこ焼きを1つ、差し出してきた。



アバンチュール エーチver 2

そんないきなりにドキッとした志摩。

「いやいやいや。エーチのお金で買ったたこ焼きなんだから、エーチが食べなよ。」

「え?でも元を正せば志摩ちゃんのお金で買ったやつだよ。」

「あ、でも・・・。」

「いいからいいから。遠慮しないで。志摩ちゃんも食べて食べて。はい、あーん。」

けど、エーチの笑顔には逆らえることが出来ず。いや、断りたくなかったから、仰せのままに。
大きな口で『あーん』をして、そのたこ焼きを食べさせてもらう。

「熱・・・っ、ん!?これタコ2個入ってる!」

「うそ!いいないいな。さっきなかったタコなしたこ焼きのタコ、そっちにいっちゃってたんだ。」

「ありがとうエーチ。たこ焼き、すごく美味しかったよ。」

「へへへ、どう致しまして。もう1個食べる?」

エーチと親しい仲になれたからこそ起きた(恋愛ゲームで例えればイベントスチルのような)お約束。
ど定番だけど、食べさせてもらったたこ焼きが1番美味しく感じられた。



しばらくぶりの再会

一方、その頃。1人で逸れちゃったアズはというとー・・・。

「あー!お前は『にしの あずさ』!」

「ん?あ・・・。」

いつかの収録時、リライトと行ったスタジオで鉢合わせした、あの時の男の子と一緒にいた。
あのあと徹夜から教えてもらったが、確か名前は、ナギくん・・・だっけ?
彼もここのお祭りに遊びに来ていて、ここでもアズと鉢合わせ。
手にはヨーヨー釣りで取った水風船、ちゃんと浴衣も着ていて、しっかりと楽しんでいた様子が格好からも分かった。

「せっかくお祭り楽しんでたのに、なんでこんなヤツとまた会っちゃったんだろう。敦さんも、どっか行っちゃうし・・・。」

けど今度ばかりは、アズも彼のことを覚えていたようだ。

「久しぶりだね、なっちゃん。」

「はァ!?誰が『なっちゃん』だって!?!?」

しかし独自で付けたあだ名が、ナギくんの逆鱗に触れた模様。
敵意丸出しでムキーッと、怒られてしまう。



なっちゃん

「てっちゃんからナギくんは、ナギくんって聞いたから。だから、なっちゃん。」

「だったら普通に、そう呼んでくれない?そんな変な名で、オレのこと呼ばないでくれない?」

でもアズは動じず、マイペースでニコニコと。
何を言われても単純に、ナギくんと再会出来たことを喜んでいた。

「アズ!」

するとそこへ捜し回ってたエヴァがアズを見つけ、こっちにやって来る。
そこでエヴァも、ナギくんのことに気付いたが、

「・・・知り合い?」

「ううん。あんまりよく知らない人。」

「!?」

と。尋ねられたことを、アズが正直に言ったせいで、また彼の逆鱗に触れてしまうのだった。

「オレだって『にしの あずさ』なんて知るもんか!知り合いじゃないから知るもんかー!」



敦さん

そんな3人の元へ、もう1人。

「ナギ!」

「敦さん!」

人柄も声色も凄く落ち着いていて、この3人の中じゃ誰よりも年上な『敦』と呼ばれた彼。
メンズハットの帽子を深く被り、色サングラスも掛けていて、シックでダンディな魅力を溢れさせている。

「もー!どこ行ってたのさ!大の大人が、オレから逸れないでくれない。」

「ごめんごめん。あっちでリンゴ飴売ってたから、つい。」

「また買ったの!?それで何本目のリンゴ飴!?」

「でもよく見てナギ。さっきのよりこっちのが可愛くない?」

「分かんないよ!そんな飴の可愛さなんか!」

ナギくんのように浴衣を着てなかったが、彼も彼でしっかりこのお祭りを楽しんでる様子だった。



結局分からないまま

彼の名前も徹夜から教えてもらったが、確かアッシュくん。本名が敦さん・・・だっけ?
でも教えてもらったのは、それだけ。それ以外のことはよく分からない。

「キミもそのお面買ったんだ。僕の知り合いも同じ屋台で狐の方を買ってたけどー・・・うん。やっぱり全然、可愛くないね。」

「ねー、敦さん。そろそろ行こうよ。こんな奴らに構ってないでさー。」

「はいはい。それじゃあ僕らはこれで。またどこかで会ったらよろしくね。アズ君とエヴァ君。」

「「え!?」」

だけど敦さんからは、アズのこともエヴァのことも分かっていたのか。
まだ名乗ってもないのに名を呼ばれ、2人が驚いている間にナギくんと一緒に去ってしまう。



またね

「なんか不思議な人だったね。」

「うん・・・。」

結局、ナギくんも敦さんも、よく分からず謎のまま。
次、また会えたとき、もうちょっとだけでも知ること出来たらいいな。
だからアズからナギくんへ。

「またね、なっちゃん。」

「だから誰が『なっちゃん』だー!!」

「さよなら」ではなく「またね」で。
また会えることを期待して、バイバイと手を振って、今回はここでお別れしたのでした。

「くすくす。なっちゃん、だって。・・・可愛いね、なっちゃん。」

「もー!敦さんまで、オレをそう呼ばないで!」


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