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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.50 Eva episode EX(3/3)
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本編はこれから

すれ違いはこれで終息したが、本編はまだこれから。
枝葉は燐之助を看病しにやって来たのだ。

「具合はどうだ?」

「・・・別に。昨日よりはだいぶマシ。」

「そっか。」

着替えさせた後も甲斐甲斐しく世話を焼こうとする。が、燐之助は不貞腐れたのか。
枝葉と顔を合わせないように背を向けて、返す言葉もどこか素っ気ない。
それどころか。

「・・・帰れよ。」

「え。」

「帰れって。枝葉に見舞られるほど、もう悪くねえから。」

見舞いそのものをお断り。要らないと告げて、帰らせようとしてきた。



風邪は万病のもと

「でもさっきおばさんから聞いたよ。一昨日の夜からリンが寝込んでるって。」

「んのクソババア。余計なこと言いやがって。」

「リン。おばさんにそんな言い方ないだろ。おばさんだってリンを心配してたし、俺だってリンが心配で。言ってくれればもっと早く来れたのに。」

彼は、クロスカルテットを辞めなかった。
彼は、自分で続けることを選んだのだ。
そしてそれは堀北食堂の方も一緒。

「・・・だから言ってなかったのに。」

けどここが原因で自分の風邪を感染させたら、また彼を無理させてしまう。
枝葉が、これまで通りを変えない。
辞めることを選ばなかったからのだから。
万が一でもそんな可能性、もう生まれてほしくないのだ。

「さっさと帰れよ。風邪うつってまたぶっ倒れたりしたら、あっちにも迷惑かかるんだから。」

「リン・・・。」



不器用な性格

どんな気持ちも思いも、言葉にして発さなければ人には伝わらない。
不器用に語った中でも、そこには燐之助なりの優しさがあった。
『帰れ』を連発されながら、枝葉はそれを静かに気付く。
それが彼の性格でもあったから。

「リン、ありがとう。俺が怪我していた間も、ずっと心配してくれていて。ずっと心配させていて、ほんとごめん。・・・ごめんなさい。」

「・・・・・・。」

心配してくれていたことには、ありがとうを。
心配させてしまったことには、ごめんなさいを。



複雑な友達思い

「いや。謝るのは、俺の方だから。」

すると燐之助は寝返り、背けるのをやめて顔を合わす。
枝葉のごめんなさいを聞いて、自分も心残りだったことがあったのだろう。

「・・・ちょっと寂しかった、から。枝葉をアイツらにとられるって思って、東森を始めに嫌がらせばかりしてた。でも結局、それは枝葉にも迷惑かかせたよな。・・・ごめんなさい。」

だから自分からも謝った。
行っていた全ての行動は、そんな寂しい気持ちからやってきた、ただのワガママ。
でももうこんな幼稚な気持ちで、縛りたくはない。
彼の負担や重荷になることや、邪魔したくない。

「リン・・・。」

「ー・・・あっちに専念して、堀北を辞めてもいいんだぜ。人手は俺がしっかりさえすれば、お袋だって事足りるんだから。」

だから本当は言いたくなかったけど、枝葉に堀北食堂を辞めるよう勧めた。



燐之助にも枝葉をエヴァとして

「リン。俺は、もう大丈夫だから。」

けど枝葉は頷かない。
首を横に振って、燐之助の案を断る。

「俺にとって、どっちも譲れないから。堀北食堂も俺にとっては大事な場所だから。」

自分が続ける理由が、そこにあって譲れないから。
それでもこんな自分を燐之助に少しでも安心してもらいたいから。

「リンやみんなに余計な心配掛けさせないよう、ちゃんとするから。リンにも俺をエヴァとして、ちゃんと応援してもらえるよう、またここから頑張るから。」

彼の前で口にして、己のこれからの決意にさせたのだった。

「・・・頑張るのはいいけど、ほどほどにしとけよ。次、またぶっ倒れたりしたら堀北辞めさせるからな。」



燐之助の願いごと

『枝葉を、辞めさせてあげて下さい。お願いします。』

高校生なのに金色に染めたその頭で。
プライドが高くて軽そうなその頭で。

『枝葉が続けたいと言った、その時はー・・・。』

深く深く頭を下げて、燐之助は『お願い』をしてきた。

『その時は枝葉を続けさせてあげてください。枝葉が辞めないなら、俺も枝葉をエヴァとして応援したいから!』

あの日は、短冊も笹の葉も何もなかったけれど、7月7日の七夕。
それを叶えてさせてほしかったから、天にいる彦星様や織姫様でもなく、志摩にしっかり伝えたのだ。
枝葉を大事に思う友だちとしての願いごとを。

「リンが友だちでよかった。これからもこんな俺をよろしくな。」



『CRO×QUAR』第50話を
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