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CRO×QUAR
夢の続きを歩き出す彼らの物語
[アイドルグループ仲良しコメディ]


登場人物紹介
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Act.40 Eva episode(1)(1/3)
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いつかの日の夕方

それは今日も学校があった平日の日。
夕方からいつものレッスンスタジオで稽古があるのに、珍しく1人で事務所に訪れたエヴァ。
お客様を待ち合わせる席のソファーに座り、一緒にいた徹夜と向かい合って何かを話している。

『じゃあ何?エーチだけに押し付けるつもり?』

『いえ!そんなことは・・・。ただ俺は俺で返させてほしいだけです。このままだとリンを・・・。』

だけど、

『ただいま戻りましー・・・。』

『あ、お疲れ。志摩くん。』

『・・・お疲れ様、です。』

外回りから志摩が戻ってきて、そこで途絶えてしまったのだ。

『それじゃあ僕は、もう行かないとだから。』

『待ってください!徹夜さん、まだ話が・・・!』

それはチェリーストーンに入社してから間もない頃の話。
けれど未だに根があるとは知らず、忘れてしまった出来事だった。

『志摩。エヴァのことよろしくね。』



6月の2週目

アリカのバースデーライブは7月7日。
それはクロスカルテットのデビュー日ともなる、とてもとても大事な日。
今は6月2週目の半ば。
クロスカルテットを結成してから、ついにここまでやってきたのだ。

「はい!もう一度始めから!」

レッスンも最終段階。
いつか志摩に披露してくれたあの曲以外にもデビューを飾る曲が1つ増えて、平日の日でも夜遅い時間まで4人とも全力で体に刻ませ覚えさせる。

「・・・・・・。」

どうか、このまま無事にその日を迎えられますように。
ずっと端で見ていた志摩は、なるべくエヴァから視界を反らさないよう。どこかの誰かにそう強く願った。



早朝招集

そうして、また別の日の週末。
事務所に集められたクロスカルテットの4人。
けど今日はそこにアリカの姿もあり、徹夜と志摩も合わせて計7人の男が揃う。

「眠いよ・・・、えいちゃん。」

「でもちゃんと起きれてえらいよアズ。」

現在時刻は朝の8時ジャスト。
アズがいつも起きる時間より10分も早いこんな時間に、移動用の社用車をブーンと走らせていた。

「こんな朝早くから僕らを連れてどこ行くの?アリカ。」

「てっさんから何も聞かされてないのか?」

「集合時間に遅刻しないように、とか。着いてからのお楽しみ、とか。それぐらいしか聞いてない。」

「ふぅーん。じゃあその通りにしておこうか♪俺もいる時点で察してほしいとこだけど。」

運転席は徹夜。
助手席にいるのは志摩。
後部座席には他5人がいて、遠足気分でガヤガヤと。1人除いてとても賑やかだった。



ぐっすりエヴァと空元気エーチ

その1人というのは勿論、エヴァのこと。
隅っこに座っていた彼は皆との会話に参加せず、静かに寝息を立ててグッスリと寝ていた。

「めっちゃ寝てるエヴァ。こういうのはアズの役なのに。」

「エヴァなら大丈夫だから。寝かしててあげてキィちゃん。あとその言い方アズに失礼。」

そんな珍しいエヴァの姿に、エーチがすかさずフォロー。

「昨日、堀北で団体客が来てたらしくて。エヴァ、限界まで手伝ってたみたいだから。」

「へー、頑張るねエヴァ。レッスン終わった後でも働くって。」

「・・・うん。」

けどエーチは己のアホ毛も朝からずっと萎れたまま。
笑顔を絶やすことはなかったが、どこか心苦しそうにしていた。

「・・・・・・。」



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